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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

徐放性製剤の「グラセプター」と普通製剤の「タクロリムス」とは製剤的特徴が異なる、両者を明確に区別した処方・調剤を―PMDA

2023.11.6.(月)

臓器移植や骨髄移植時の拒絶反応抑制に用いる医薬品として、徐放性製剤の「グラセプターカプセル」と普通製剤の「タクロリムス」(プログラフカプセル、ほか後発品あり)があるが、両者は製剤的特徴が異なる。両者を取り違えた場合には「十分な薬効が得られない」「副作用の発現につながる」おそれがあるため、両者を明確に区別して処方・調剤を行ってほしい—。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は11月1日に、製薬メーカーからの適正使用等に関する情報提供として「グラセプターとタクロリムス普通製剤(後発医薬品を含む)との取り違え注意のお願い」を公表し、こうした点への注意喚起を行いました(PMDAのサイトはこちら)。

グラセプターと普通製剤タクロリムスとの違い

徐放性製剤と普通製剤を取り違えると、十分な薬効が得られない、副作用発現も

「グラセプターカプセル」(製剤名:タクロリムス水和物徐放性カプセル)は▼腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植における拒絶反応の抑制▼骨髄移植における拒絶反応・移植片対宿主病の抑制—に用います(本年(2023年)11月時点で後発品は登場していない)。

一方、後発品を含めた「タクロリムス普通製剤」(プログラフカプセル5mg)も同様の効能効果(▼腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植における拒絶反応の抑制▼骨髄移植における拒絶反応・移植片対宿主病の抑制▼難治性(ステロイド抵抗性、ステロイド依存性)の活動期潰瘍性大腸炎(中等症-重症に限る)—)が認められていますが、製剤的特徴・服薬後の体内動態が異なることから、両者取り違えられて投与された場合「十分な薬効が得られない」「副作用の発現につながる」おそれがあります。

しかし、両者を取り違える事例が散発していることから、製薬メーカー(アステラス製薬社)は次のような点に留意するよう、医療機関・薬局に注意喚起を改めて行っています。

【医師などによる処方箋発行時の留意事項】
→グラセプターカプセルnの在庫が近隣薬局を含めてなかったため、「タクロリムス普通製剤カプセル(後発品)」を選択する事例が生じている

▽タクロリムス製剤の処方時には一般名が同じでも製剤的特徴が異なることで製品名が異なる薬剤が存在することを認識してほしい

▽タクロリムス製剤の処方時にはお薬手帳や過去の薬歴等を参照いただき、徐放性製剤・普通 製剤のいずれの処方内容であるか、また過去に誤った切り換えが行われていないかを確認してほしい

▽徐放性製剤のグラセプターカプセルの一般名処方を行う場合は、「徐放性」と明記した一般名の表示等の工夫をしてほしい

▽一般名処方による取り違えリスクが特に懸念される名称のものについては、「先発品使用が誘引されることがない範囲で、先発品の製品名を参考として備考欄等に記載する」などの工夫が可能である



【薬局における調剤時の留意事項】
▽「本年(2023年)11月時点でグラセプターカプセルの後発品は販売されていない」、「タクロリムス製剤には一般名が同じでも製剤的特徴が異なることで製品名が異なる薬剤が存在する」ことを周知してほしい

▽処方医の事前確認なく「先発品→後発品」へ変更調剤することが認められている条件について、改めて確認してほしい(2012年の厚労省通知「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」

▽タクロリムス製剤の調剤時にはお薬手帳や過去の薬歴等を参照し、「徐放性製剤・普通製剤のいずれの処方内容であるか」「過去に誤った切り換えが行われていないか」を改めて確認してほしい

▽一般名処方で処方されたタクロリムス製剤について、「徐放性製剤、普通製剤のどちらの処方かが判別できない」場合には処方医へ確認してほしい

▽患者から「後発医薬品への切り換え」要望を受けた際は、現時点(2023年11月時点)でグラセプターカプセルの後発品は販売されていない旨を指導してほしい



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