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悪性腫瘍遺伝子検査の「複雑なもの」(5000点)の対象検査などを5月1日から拡大—厚労省

2024.5.7.(火)

悪性腫瘍遺伝子検査の「複雑なもの」(5000点)の対象検査、がんゲノムプロファイリング検査における他検査実施減算の対象検査をそれぞれ拡大する—。

厚生労働省は4月30日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』等の一部改正について」を発出し、こうした点を明確にしました(厚労省サイトはこちら)。

悪性腫瘍遺伝子検査の「複雑なもの」(5000点)の対象検査を拡大

D004-2【悪性腫瘍組織検査】は、がん患者に対し「どの抗がん剤が効果的か、適切か」を選択するために行う遺伝子検査などを評価する診療報酬項目です。「Xという遺伝子変異がある場合に、●●という抗がん剤等が奏効する」といった知見が集積されてきたことを受けたもので、次のように複雑な点数設定がなされています。

1 悪性腫瘍遺伝子検査
イ 処理が容易なもの
(1)医薬品の適応判定の補助等に用いるもの:2500点
(2)その他のもの:2100点
ロ 処理が複雑なもの:5000点

2 抗悪性腫瘍剤感受性検査 2500点

▽注1 患者から1回に採取した組織等を用いて同一がん種に対して「1のイ」の検査を複数実施した場合は、検査の項目数に応じて次の点数を算定する
イ 2項目:4000点
ロ 3項目:6000点
ハ 4項目以上:8000点

▽注2 患者から1回に採取した組織等を用いて同一がん種に対して「1のロ」の検査を複数実施した場合は、検査の項目数に応じて次の点数を算定する
イ 2項目:8000点
ロ 3項目以上:1万2000点



点数表の解釈通知(▼2022年度診療報酬改定における「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」▼2024年度診療報酬改定における「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」—)では、上記の各項目にどういった種類の検査が該当するのかなどを詳細に示しています。

今般の通知では、「1 悪性腫瘍遺伝子検査」の「ロ 処理が複雑なもの」について、算定対象となる検査を拡大しました。

これまでは、以下の遺伝子検査を、「医薬品の適応を判定するための補助等に用いるものとして薬事承認・認証を得ている体外診断用医薬品・医療機器を用いて次世代シーケンシング等により行う」場合に算定できるとされていました(厚労省サイトはこちら)。
(ア)肺がんにおけるBRAF遺伝子検査(次世代シーケンシング)、METex14遺伝子検査 (次世代シーケンシング)、RET融合遺伝子検査、HER2遺伝子検査(次世代シーケンシング)
(イ)悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子検査(リアルタイムPCR法、PCR-rSSO法)
(ウ)固形がんにおけるNTRK融合遺伝子検査、腫瘍遺伝子変異量検査
(エ)胆道がんにおけるFGFR2融合遺伝子検査
(オ)甲状腺がんにおけるRET融合遺伝子検査
(カ)甲状腺髄様がんにおけるRET遺伝子変異検査
(キ)固形腫瘍(肺がん、および大腸がんを除く)におけるBRAF遺伝子検査(PCR-rSSO法)
(ク)悪性リンパ腫におけるBRAF遺伝子検査(PCR-rSSO法)

今般、この詳細分類に次のような見直しが行われました。

▽(ウ)の固形がん検査について、上記の検査手法に加えて、新たに「RET融合遺伝子検査」を追加する

▽(オ)の甲状腺がん検査について、上記の手法に加えて、新たに「BRAF遺伝子検査」を追加する

▽新たに「ケ」として、「乳がんにおけるAKT1遺伝子変異検査、PIK3CA遺伝子変異検査、PTEN遺伝子変異検査」を追加する



この結果、「1 悪性腫瘍遺伝子検査」の「ロ 処理が複雑なもの」は、以下(ア)から(ケ)の遺伝子検査を、「医薬品の適応を判定するための補助等に用いるものとして薬事承認・認証を得ている体外診断用医薬品・医療機器を用いて次世代シーケンシング等により行う」場合に算定できることとなりました。
(ア)肺がんにおけるBRAF遺伝子検査(次世代シーケンシング)、METex14遺伝子検査 (次世代シーケンシング)、RET融合遺伝子検査、HER2遺伝子検査(次世代シーケンシング)
(イ)悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子検査(リアルタイムPCR法、PCR-rSSO法)
(ウ)固形がんにおけるNTRK融合遺伝子検査、腫瘍遺伝子変異量検査、RET融合遺伝子検査
(エ)胆道がんにおけるFGFR2融合遺伝子検査
(オ)甲状腺がんにおけるRET融合遺伝子検査、BRAF遺伝子検査
(カ)甲状腺髄様がんにおけるRET遺伝子変異検査
(キ)固形腫瘍(肺がん、および大腸がんを除く)におけるBRAF遺伝子検査(PCR-rSSO法)
(ク)悪性リンパ腫におけるBRAF遺伝子検査(PCR-rSSO法)
(ケ)乳がんにおけるAKT1遺伝子変異検査、PIK3CA遺伝子変異検査、PTEN遺伝子変異検査

がんゲノムプロファイリング検査における他検査実施減算の対象を拡大

また、D006-19【がんゲノムプロファイリング検査】(4万4000点)については、「抗がん剤選択を目的として他検査を実施した場合で、当該他検査の結果によりB011-5【がんゲノムプロファイリング評価提供料】を算定する場合は、所定点数(4万4000点から)から当該他検査の点数を減算する」というルールが定められています。

この減算の対象となる「他検査」は、解釈通知の中で次のように規定されています。
(ア)肺がんにおけるEGFR遺伝子検査、ROS1融合遺伝子検査、ALK融合遺伝子検査、RAS遺伝子検査、HER2遺伝子検査
(イ)大腸がんにおけるRAS遺伝子検査、HER2遺伝子検査、BRAF遺伝子検査
(ウ)乳がんにおけるHER2遺伝子検査
(エ)固形がんにおけるマイクロサテライト不安定性検査
(オ)肺がんにおけるMETex14遺伝子検査
(カ)悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子検査
(キ)固形がんにおけるNTRK融合遺伝子検査、腫瘍遺伝子変異量検査
(ク)胆道がんにおけるFGFR2融合遺伝子検査
(ケ)卵巣がん、または前立腺がんにおけるBRCA1遺伝子およびBRCA2遺伝子検査

今般、この詳細分類に次のような見直しが行われました。

▽(キ)の固形がん検査について、上記の手法に加えて、新たに「RET融合遺伝子検査」を追加する

▽新たに「コ」として、「乳がんにおけるAKT1遺伝子変異検査、PIK3CA遺伝子変異検査、PTEN遺伝子変異検査」を追加する



この結果、減算対象となる他検査は次のようになります。
(ア)肺がんにおけるEGFR遺伝子検査、ROS1融合遺伝子検査、ALK融合遺伝子検査、RAS遺伝子検査、HER2遺伝子検査
(イ)大腸がんにおけるRAS遺伝子検査、HER2遺伝子検査、BRAF遺伝子検査
(ウ)乳がんにおけるHER2遺伝子検査
(エ)固形がんにおけるマイクロサテライト不安定性検査
(オ)肺がんにおけるMETex14遺伝子検査
(カ)悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子検査
(キ)固形がんにおけるNTRK融合遺伝子検査、腫瘍遺伝子変異量検査、RET融合遺伝子検査
(ク)胆道がんにおけるFGFR2融合遺伝子検査
(ケ)卵巣がん、または前立腺がんにおけるBRCA1遺伝子およびBRCA2遺伝子検査
(コ)乳がんにおけるAKT1遺伝子変異検査、PIK3CA遺伝子変異検査、PTEN遺伝子変異検査

1人1人のがん患者に、適切な抗がん剤を選択できる環境がまた一つ整ったと言えます。



なお上記の見直しは2024年5月1日から行われます(2022年度診療報酬改定における「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」の見直し)が、6月1日からは新点数が施行されるため、2024年度診療報酬改定における「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」でも同趣旨の見直しが行われます。



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