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GemMed塾 看護モニタリング

末期がんなどで要介護等状態の方が迅速に介護サービス利用できるよう、暫定ケアプラン作成・認定の柔軟化など積極的実施を—厚労省

2024.6.5.(水)

末期がんなどで要介護等状態の方が、介護保険を利用できずに死亡されるケースが決して少なくない。迅速に介護サービス利用できるよう、暫定ケアプラン作成・認定の柔軟化などを積極的実施するとともに、医療サイドから「介護保険利用」に関する情報提供を—。

厚生労働省は5月31日に事務連絡「がん等の方に対する速やかな介護サービスの提供について」を示し、こうした点への留意を関係者に求めました(厚労省サイトはこちら)。

がん患者等で死亡した方のうち、少なからぬ割合が介護サービス利用ができなかった

公的介護保険は、▼65歳以上の第1号被保険者には「原因を問わず」要介護・要支援状態になった場合に▼40-64歳の第2号被保険者では「加齢に伴う疾病(特定疾病)が原因」で要介護・要支援状態になった場合—にサービスを受けることができます。

特定疾病には、▼がん(末期)▼関節リウマチ▼筋萎縮性側索硬化症▼後縦靱帯骨化症▼骨折を伴う骨粗鬆症▼初老期における認知症▼進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病▼脊髄小脳変性症▼脊柱管狭窄症▼早老症▼多系統萎縮症▼糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症▼脳血管疾患▼閉塞性動脈硬化症▼慢性閉塞性肺疾患▼両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症—の16疾患が規定されています。

このため、「がん(末期)」で要介護・要支援状態になった場合には、40歳以上であれば公的介護サービスを受けることができます。

ところで、公的介護保険サービスを受けるためには市町村から「要介護・要支援状態である」と認定されることが必要です。しかし、申請から認定までには1か月以上かかることが多いことから、「介護サービスが必要でありながら、認定が間に合わず、公的介護サービスを受けられずに亡くなってしまう」ケースが残念ながら生じてしまうことがあります。

国立がん研究センターによる「がん患者の療養生活の最終段階における実態把握事業」にお ける調査報告書(遺族調査)では、▼死亡前6か月間に介護保険を1回も利用したことがない者(2万807名)のうち、23.3%(4849名)が「申請したが利用できなかった」、7.5%(1565名)が「介護保険を知らなかった」と▼「申請したが利用できなかった」と回答した4849名のうち、49.8%(2413名)が「要介護認定に必要な調査を受ける前に患者が死亡」と—回答していることが分かりました。

こうした事態は解消しなければならず、厚労省は「がん患者等のうち、急速に病状が変化する者については要介護認定(新規、区分変更)手続き、速やかな介護サービス開始について特段の配慮が必要である」とし、今般、(1)迅速なサービス提供の開始に向けた暫定ケアプランの作成等(2)迅速な要介護認定の実施(3)介護認定審査会の柔軟な運用(4)医療機関における適切な対応(5)福祉用具貸与の取扱い—に関する考え方を整理しました(これまでの事務連絡などを整理、関連記事はこちら)。

まず(1)の暫定ケアプランとは「要介護認定の申請がなされた後、認定の結果が出るまえであっても市町村(保険者)の判断で作成が認められるケアプラン」です。

厚労省は、▼がん患者等「迅速な対応が必要と判断される者」からの申請を受けた場合、同日のうちに、認定調査員が認定調査を実施し、ケアマネジャーが暫定ケアプランを作成し、介護サービスの提供を開始する対応を積極的に行う▼がん患者等の心身の状況変化に対応するため、複数回、要介護状態区分変更が必要となる場合があるが、がん患者等では区分変更申請が提出された場合に、速やかに要介護状態区分の変更等を行う—ことを関係者(都道府県、市町村、ケアマネジャー、介護サービス事業者等)に要請しています。



また(2)では、「入院中のがん患者等の認定調査」については、保険者の判断で、必要に応じ「オンラインによる認定調査」の実施が可能であることを明確にしています。その際には▼認定調査に一定の知見を有する医師・看護師等が同席し、「認定調査員の指示・指導下、麻痺の状況を確認する」など適切に関与する▼認定調査員が「再度の対面調査が不要」と判断する▼介護認定審査会が把握できるよう、「オンラインのみにより認定調査を実施した」こと等を特記事項に記載する—ことが条件となります。

このほか、円滑・迅速な要介護・要支援認定の実施に向けて、▼主治医意見書の簡易な作成(傷病名、一次判定に必要な項目(認知症高齢者の日常生活自立度、短期記憶、日常の意思決定を行うための認知能力、自分の意思の伝達能力・食事行為)、特記すべき事項等に限定したものを受理してよい)▼一次判定ソフトの活用等—にも留意する必要があります。



他方、(3)の「介護認定審査会の柔軟な運用」に関しては、▼がん患者等など、特に迅速な対応が必要と判断される者からの申請を受けた場合、「同日のうちに認定調査を実施」「直近の介護認定審査会で二次判定」を行い、迅速に認定する▼委員の確保が困難な場合などは「委員定数を3人とする」(合議体を縮小する)ことができる、介護認定審査会を持ち回りやオンラインで開催することができる、審査判定結果を市町村に通知する際に「サービスの有効な利用に関する留意事項」の意見を付すことができる、など柔軟な取り扱いを行う—ことを求めています。市町村(保険者)において積極的に柔軟な認定審査会運用がなされ、円滑・迅速な要介護・要支援認定が実施されることに期待が集まります。



また、上記の国立がん研究センターの調査では、7.5%と、決して少なくないがん患者が「介護保険を知らない」という状況が明らかになりました。この点を重くみて厚労省は、「がんや臓器不全の末期など、末期の状態で心身の状況が急激に変化する患者の診療を行っている医療機関」に対し、▼患者の心身の状況に応じ、介護サービスの活用を提案する▼40-64歳の者が介護サービスを受けるためには、特定疾病(上記16疾病)に該当することが必要である点に留意する—よう依頼しています。

このほか、▼医療機関から速やかに地域包括支援センター等に相談する等、できるだけ迅速に介護保険サービスと連携し、要介護認定申請や暫定ケアプランの作成等の必要な手続を進める▼入院中の段階からケアマネジャー等と医療機関が連携し、退院後の介護サービスを 調整すること等が診療報酬上及び介護報酬上評価されている(介護報酬の【退院時共同指導加算】、診療報酬の【介護支援等連携指導料】など)—点にも留意するよう要請しました(関連記事はこちら(2024年度診療報酬改定)こちら(2024年度介護報酬改定))。

がん患者等に限りませんが、医療・介護連携が極めて重要です。



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