指定難病にも指定される「抗リン脂質抗体症候群」の鑑別診断を行う検査、7月1日から新たにFIA法での検出も点数算定可能に—厚労省
2024.7.2.(火)
指定難病にも指定される「抗リン脂質抗体症候群」(APS)の鑑別診断を行うために、原因物質である「抗リン脂質抗体」(▼抗カルジオリピンIgG抗体▼抗カルジオリピンIgM抗体▼抗β2グリコプロテインIIgG抗体▼抗β2グリコプロテインIIgM抗体—)を検出する検査が保険適用されている。この点、新たな検査手法(FIA法)についても保険診療の中で実施することを認め、より広範に鑑別診断できる環境を整備する—。
厚生労働省は6月28日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。7月1日から適用されています。
指定難病にも指定される「抗リン脂質抗体症候群」(APS)の鑑別診断を行う検査
「抗リン脂質抗体症候群」(APS)は、血液中に抗リン脂質抗体とよばれる自己抗体が存在し、さまざまな部位の動脈血栓症や静脈血栓症、習慣流産などの妊娠合併症を来す疾患です。指定難病にも指定され、原発性で、重症の場合には、医療費助成が行われます。
この疾患に罹患した患者について、適切な治療(抗血栓療法や抗血小板凝固療法など)につなげるためには「鑑別診断」、つまり検査が重要です。
保険診療の中でも、本疾患に関する検査を行うことができ、診療報酬ではD014【自己抗体検査】の「30」で、原因物質である抗リン脂質抗体(▼抗カルジオリピンIgG抗体▼抗カルジオリピンIgM抗体▼抗β2グリコプロテインIIgG抗体▼抗β2グリコプロテインIIgM抗体—)を検出する検査が評価されています(226点)。
今般、この検査について、次のように「検査手法の拡大」が認められました。
▽抗カルジオリピンIgM抗体
(旧算定要件)抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、ELISA法またはCLIA法による実施した場合に、一連の治療につき2回に限り算定する
↓
・新たに「FIA法」による実施でも検査点数算定を可能とする
↓
(新算定要件)抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、ELISA法、CLIA法またはFIA法により実施した場合に、一連の治療につき2回に限り算定する
▽抗β2グリコプロテインIIgG抗体
(旧算定要件)抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、CLEIA法またはCLIA法により実施した場合に、一連の治療につき2回に限り算定する
↓
・新たに「FIA法」による実施でも検査点数算定を可能とする
↓
(新算定要件)抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、CLEIA法、CLIA法またはFIA法により実施した場合に、一連の治療につき2回に限り算定する
▽抗β2グリコプロテインIIgM抗体
(旧算定要件)抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、CLEIA法またはCLIA法により実施した場合に、一連の治療につき2回に限り算定する
↓
・新たに「FIA法」による実施でも検査点数算定を可能とする
↓
(新算定要件)抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、CLEIA法、CLIA法またはFIA法により実施した場合に、一連の治療につき2回に限り算定する
なお、「抗カルジオリピンIgG抗体、抗カルジオリピンIgM抗体、抗β2グリコプロテインIIgG抗体、抗β2グリコプロテインIIgM抗体を併せて実施した場合は、主たるもの3つに限り算定する」との併算定ルールに変更はありません。
検査手法の拡大は、「抗リン脂質抗体症候群」(APS)と闘う患者にとって朗報と言えます(より広範に鑑別診断が可能な環境が整う)。より簡便に適切な簡便診断がなされることに期待が集まります。
【関連記事】
「百日咳菌核酸検出」検査(360点)、従前からのLAMP法に加え、6月1日から新たにPCR法での測定でも算定可能—厚労省