外国人介護人材活用では監理コストがハードル、報酬や補助金での手当て検討が必要—日慢協・橋本会長、富家隆樹事務局長
2024.9.13.(金)
介護人材確保が困難になる中、介護施設や医療機関等では「外国人介護人材」に注目が集まっているが、「監理費」負担が大きい。この点、埼玉県では、非営利組織である「埼玉県慢性期医療協会」が監理団体となることで、監理費の低減を実現できている。他県からの出向者を募って監理を行うことにより「監理費の低減→外国人介護人材の定着」を推進していく—。
「監理費」でも「医療スタッフ確保に向けた人材紹介会社への手数料」でも同様だが、人材確保のための医療機関コストについて、診療報酬・介護報酬や補助金などでの手当てを考えていく必要がある—。
日本慢性期医療協会が9月12日に定例記者会見を開き、橋本康子会長、富家隆樹事務局長がこうした考えを明らかにしました。
埼玉では非営利団体が監理を行い、監理コストの低減を実現
Gem Medでも繰り返し報じているとおり、少子化を背景に「医療・介護人材」の確保が困難さを増しています。2025年度から2040年度にかけて現役世代人口がさらに急速に減少していくため、ますます人材確保が厳しくなっていきます。
この点、「外国人介護人材」に注目が集まっています(関連記事はこちら)。
しかし、外国人介護人材を雇用する場合、「監理団体」に監理費を支払う必要があり、そのコストが介護施設や医療機関には大きな負担となり、「外国人介護人材の雇用」に後ろ向きになってしまうケースも少なくないようです。富家事務局長は、▼監理費は全国平均で、1人・1か月当たり4万4351円▼富家グループ全体では管理費が2024年度に2500万円程度になる—と紹介しています。
ところで、埼玉県では、非営利組織である「埼玉県慢性期医療協会」が監理団体となることで、監理費の低減を実現できています(▼2019年8月から1人・1か月:4万5000円、2023年10月から:3万5000円、2024年9月から:2万円)。
こうした状況を背景に富家事務局長は、「他県から埼玉県への出向者を募って監理を行うことにより『監理費の低減→外国人介護人材の定着』を推進していく」考えを明らかにしました。監理費が「4万5000円」から「2万円」に下げられれば、外国人介護人材雇用にかかる介護施設・医療機関のコストを「56%抑える」ことが可能になります。今後の動きに注目が集まります。
また、外国人介護人材の雇用に向けて富家事務局長は▼人材確保が厳しい中で、まだ「外国人を雇用する」ことに難色を示す介護施設・医療機関もあるが、「海を渡って、我々日本人を助けに来てくれるヒーローである」点をしっかり見るべき▼働きやすい環境づくりが大事である(日本人が働きやすい環境は、当然、外国人も働きやすい)。言語対応は富家グループではスマートフォンの翻訳機能を活用している—とコメント。
また、橋本康子会長は、▼外国人介護人材を受け入れる場合、最初の数名について受け入れ側も外国人側も「不安」があり、そこを乗り越えればその後は円滑に進む▼「日本の優れた高齢者医療、看護、ケアを海外に輸出する」という視点を持つ必要がある▼「医療スタッフ確保に向けた人材紹介会社への手数料」問題でも同様だが、人材確保のための医療機関コストについて、診療報酬・介護報酬や補助金などでの手当てが何もない点が最大の問題である。何らかの手当などを考えていく必要がある—との考えを述べています。
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