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病床機能報告 DPC特定病院群への昇格・維持のために今やるべきこと

CRE感染症治療薬「フェトロージャ」、抗菌薬適正使用支援チーム等に相談の上「抗微生物薬適正使用の手引き」に沿った使用を—厚労省

2024.9.19.(木)

カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)感染症の治療薬「フェトロージャ点滴静注用1g」(一般名:セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物)については、抗菌薬適正使用支援チーム等に相談の上、「抗微生物薬適正使用の手引き」に沿った適正使用を行ってほしい—。

厚生労働省は9月17日に事務連絡「カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)感染症治療薬セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物(フェトロージャ点滴静注用1g)の適正使用について(依頼)」を提示し、医療現場にこうした点を要請しました。

五類感染症である「CRE感染症」の治療薬、有効性を保つために厳格な抗菌薬適正使用を

カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)感染症については、感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)上「五類感染症」として位置づけられており、また治療手段が限定される感染症です。

(参考)
五類感染症:国が感染症発生動向調査を行い、その結果等に基づいて必要な情報を国民一般や医療関係者に提供・公開していくことで発生・蔓延を防止すべき感染症
例)アメーバ赤痢、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症、急性弛緩性麻痺、急性脳炎、クロイツフェルト・ヤコブ病、後天性免疫不全症候群、破傷風、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、百日咳、風しん、麻しんなど



CRE感染症に対する抗菌薬の適正使用の観点に基づく治療指針については、「抗微生物薬適正使用の手引き 第三版」で示されています。



ところで、2023年12月に新たに薬事承認された「セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物」(販売名:フェトロージャ点滴静注用1g)は「CRE感染症への有効性」が期待されていますが、厚労省は、その有効性を保つために「厳格な抗菌薬適正使用」を実施する必要があるとし、次のような取り組みを実施する方針を明らかにしました。

(1)CRE感染症の患者に対する本剤使用に当たっては、「抗微生物薬適正使用の手引き 第三版」の別冊「入院患者の感染症で問題となる微生物について」のP15-20を参照の上、「真に必要な場合に限り使用」する

(参考)
「入院患者の感染症で問題となる微生物について」
(iv)CRE(カルバペネム耐性腸内細菌目細菌)(Gem Med編集部で抜粋・一部改変)
▽【総論】日本のCRE菌血症では、尿路感染症や非尿路感染症の軽症例、さらには重症例であっても経静脈抗菌薬治療によって状態が安定した後の経口ステップダウン治療において、フルオロキノロン系抗菌薬やST合剤等の抗菌薬単剤での治療を検討できない合理的な理由はない。
▽一方で、非尿路感染症や重症例で新規β-ラクタム系抗菌薬が利用できず、フルオロキノロン系抗菌薬やST合剤、あるいは既存薬を利用せざるを得ない場合には、臨床的有効性がまだ十分に確立していないために単剤治療よりも併用療法が提案される。ただし、一旦状態が安定した後は有害事象のリスクを考慮して単剤治療への変更を検討する

▽【日本におけるCPE感染症での治療戦略】欧州・米国のガイドライン・ガイダンスでは、IMP型を含むMBL産生CPE感染症では、Ceftazidime-Avibactamとアズトレオナムの併用療法、あるいはCefiderocol単剤治療を推奨している。Cefiderocolは、IMP型やNDM型を含むMBL産生CPEによる感染症において、現存する唯一の単剤で治療可能なβ-ラクタム系抗菌薬であり、その活性をMBL産生CPEに対して温存するために、MBL産生以外のCPE感染症、non-CP-CRE感染症での使用は極力控えるべきである
▽国内で主流のCPEであるIMP型産生株と(米国で主流の)KPC型産生株を、抗菌薬感受性という視点で比較した場合の最大の相違点は、IMP型は非β-ラクタム系の抗菌薬、具体的にはST合剤やフルオロキノロン系、アミノグリコシド系抗菌薬の感受性が維持されやすいという点である。したがって、非尿路感染症であればフルオロキノロン系抗菌薬やST合剤、尿路感染症であればこれらに加えてアミノグリコシド系抗菌薬を治療選択肢とすることができ、実際の治療経験でも最も頻度の高い選択肢となっている

▽【感染症での治療戦略】抗菌薬non-CP-CRE感染症でもCPE感染症と同様に、感受性が確認できているかぎり、非β-ラクタム系抗菌薬を治療に利用することができる。加えて、CPE感染症との相違点として、イミペネムにのみ非感受性でメロペネムには感受性を示すnon-CP-CRE 感染症では、(特に軽症例や尿路感染症において)長時間投与法によるメロペネムを治療選択肢とすることができる。また、2023年7月17日時点で日本でも利用できる新薬レレバクタム/イミペネム/シラスタチン(およびCeftazidime/Avibactam、Cefiderocol)はnon-CP-CRE感染症に対する活性が維持されることが報告されており、他の抗菌薬が利用できない場合に限定して、治療選択肢となるかもしれない

CRE感染症治療例

CRE診断・標準治療のフローチャート」

重症例/非重症例の判断目安



(2)本剤使用に当たっては、感染症治療に十分な治療と経験を持つ医師、または抗菌薬適正使用支援チームに相談の上、投与する

(3)本剤は、本年度(2024年度)の抗菌薬確保支援事業において支援対象として採択されており、CRE感染症の治療目的で本剤を使用した全症例を対象に、その適正使用がなされているかの確認をするための「カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)感染症の治療薬(フェトロージャ点滴静注用1g)の適正使用に関するアンケート調査」を実施することとしているため、協力してほしい



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