多発性骨髄腫・全身性ALアミロイドーシスの治療効果判定する【免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合)】(776点)を保険適用—厚労省
2024.11.5.(火)
多発性骨髄腫・全身性ALアミロイドーシスの治療効果を判定する【免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合)】(776点)を保険適用する—。
厚生労働省は10月31日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。11月1日から適用されています。
多発性骨髄腫および全身性ALアミロイドーシスの治療効果を判定する新検査
多発性骨髄腫および全身性ALアミロイドーシスの治療効果判定に関しては、日本骨髄腫瘍学会の「多発性骨髄腫の診療指針 2024」において「抗体薬であるダラツムマブ(ダラザレックス点滴静注100mg、同点滴静注400mg)を使用した場合には『抗体薬由来のIgG-κの影響により、治療効果を正確に判定できない』場合がある」ことが示されています。
この場合、「血清中のIgG、IgA、IgM、L鎖κ型およびL鎖λ型の検出を行う体外診断用医薬品」で治療効果を判定することが推奨されています。
こうした点を踏まえて10月9日の中医協総会では、「血清中のIgG、IgA、IgM、L鎖κ型およびL鎖λ型の検出を行う体外診断用医薬品」の保険適用が承認されました(関連記事はこちら)。
これを受けて厚労省は今般、保険診療の中で本検査を実施する場合のルールを定めました。
具体的には、D015【血漿蛋白免疫学的検査】に「免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合)」を位置づけ、次のような点数算定ルールを設けました。
【免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合)】
▽目的・対象患者
→ダラツムマブ(ダラザレックス点滴静注)が投与された患者における多発性骨髄腫または全身性ALアミロイドーシスの治療効果判定
▽方法
→「ダラツムマブ由来のIgG-κの影響を回避することができるものとして薬事承認・認証を得たる体外診断用医薬品」を用いて、免疫固定法により実施する
▽算定点数
→776点(D015【血漿蛋白免疫学的検査】の「29 免疫グロブリン遊離L鎖κ/λ比」の所定点数2回分を合算した点数を準用する)。
▽ほか、免疫電気泳動法(抗ヒト全血清)、免疫電気泳動法(特異抗血清)および【免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合)】の留意事項
▼「17」の免疫電気泳動法(抗ヒト全血清)、「24」の免疫電気泳動法(特異抗血清)および【免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合)】については、同一検体につき1回に限り算定する
▼同一検体について「17」の免疫電気泳動法(抗ヒト全血清)、「24」の免疫電気泳動法(特異抗血清)または【免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合)】のうち、いずれかを併せて行った場合は、「主たる検査の所定点数」のみを算定する
▼「24」の免疫電気泳動法(特異抗血清)は、免疫固定法により実施した場合にも算定できる
血液がん患者にとっては、大きな朗報の1つと言えるでしょう。
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