NSAIDs、妊婦等へは「治療上の有益性>危険性」となる場合に慎重に処方・投与してほしい―PMDA
2024.11.6.(水)
NSAIDsの妊婦等への処方・投与では、「治療上の有益性>危険性」となる場合に慎重に行うこと—。
シクロオキシゲナーゼ阻害剤を「妊娠中期以降の妊婦」に使⽤し、「胎児の動脈管収縮」が起きたとの報告がある点に留意してほしい—。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は10月25日に、関係学会(⽇本産科婦⼈科学会・⽇本産婦⼈科医会)からの適正使用等に関する情報提供として「NSAIDs 添付⽂書改訂に関する周知」を公表しました。医療機関・薬局において、改めて最大限の留意が必要です(PMDAのサイトはこちらとこちら(新旧対照表))。
シクロオキシゲナーゼ阻害剤の「妊娠中期以降の妊婦」使⽤で、胎児の動脈管収縮も
EU・英国からの情報、本邦における調査などを経て、「NSAIDsについて、添付⽂書の『使⽤上の注意』改訂」(妊婦への使用に留意する、心筋梗塞や脳血管障害の発生に留意する)が行われました。ただし、妊婦での禁忌の範囲は拡⼤せず、現⾏どおり「治療上の有益性>危険性」となる場合に投与する点に変更はありません。
こうした動きを踏まえて⽇本産科婦⼈科学会と⽇本産婦⼈科医会では、医療現場に対し、NSAIDsにあたっては次のような点に留意するよう要請しています。
【NSAIDsの全⾝作⽤を期待する製剤(経⼝剤、注射剤、坐剤等)】
(1)「妊娠後期の⼥性が禁忌に設定されている」または「『妊婦』の項に妊娠後期の⼥性に投与しないことが望ましい旨の記載がある薬剤」( PMDAサイトの1ページ目)
→シクロオキシゲナーゼ阻害剤を「妊娠中期の妊婦」に使⽤し、「胎児の動脈管収縮」が起きたとの報告がある
→投与する際には、「胎児の動脈管収縮を疑う所⾒」(四腔断⾯像にて「右⼼系の拡⼤等」の有無を観察し、その検査結果に応じて胎児の動脈管収縮に関するより精密な検査等の実施や、検査可能な施設へのコンサルテーションの必要性を判断する。超⾳波検査で明らかな動脈管の収縮が確認できたのは妊娠24週以降であり、妊娠週数が早い場合は評価が⼗分にできない)を妊娠週数や投与日数を考慮して適宜確認する
(2)「妊娠後期が禁忌設定でない製剤」( PMDAサイトの2ページ目)
→シクロオキシゲナーゼ阻害剤を「妊娠中期以降の妊婦」に使⽤し、「胎児の動脈管収縮」が起きたとの報告がある
→「妊娠後期」は胎児の動脈管収縮の発現リスクがより⾼くなる
→薬剤を投与する際には、「胎児の動脈管収縮を疑う所⾒」(同上)を妊娠週数や投与日数を考慮して適宜確認する
【NSAIDsの局所製剤(テープ、パップ、ゲル、軟膏等)】
(3)「妊娠後期の⼥性が禁忌に設定されている薬剤」(ケトプロフェン)( PMDAサイトの3ページ目)
→シクロオキシゲナーゼ阻害剤を「妊娠中期の妊婦」に使⽤し、「胎児の動脈管収縮」が起きたとの報告がある
(4)「妊娠後期が禁忌設定でない製剤」( PMDAサイトの4ページ目)
→ケトプロフェンの外⽪⽤剤を使⽤した「妊娠後期の妊婦」において、「胎児の動脈管収縮」が認められていることも考慮する
→シクロオキシゲナーゼ阻害剤を「妊娠中期以降の妊婦」に使⽤し、「胎児の動脈管収縮」が起きたとの報告がある
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