自己免疫性肺胞蛋白症の診断補助を行う新検査、胆道がん患者に抗がん剤「タスフィゴ」投与が適切かを判断補助する新検査を保険適用—厚労省
2024.12.4.(水)
自己免疫性肺胞蛋白症の診断を補助する新たな検査、胆道がんにおいて抗がん剤「タスフィゴ錠」が奏功するかどうかの判断を補助する検査を保険適用する—。
TARCタンパク質検査を、薬剤性過敏症症候群の鑑別診断に用いることも保険診療の中で認める—。
厚生労働省は11月29日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。12月1日から適用されています。
TARCタンパク質検査を、薬剤性過敏症症候群の鑑別診断に用いることも可能に
11月13日の中央社会保険医療協議会・総会において、(1)血清の抗GM―CSF抗体を検出し、自己免疫性肺胞蛋白症の診断を補助する新たな検査方法(2)がん組織中のFGFR2融合遺伝子を検出し、胆道がん患者に「タスルグラチニブコハク酸塩」(販売名:タスフィゴ錠35mg)が奏功するかどうかの判断を補助する新たな検査方法―の保険適用が認められました(関連記事は こちら)。
これを受け、両検査を保険診療の中で両検査を行う場合のルールを厚労省が定めました。
●血清の抗GM―CSF抗体を検出し、自己免疫性肺胞蛋白症の診断を補助する検査
D014【自己抗体検査】に、新たに「抗GM-CSF抗体」検査を位置づける
▽対象患者
→自己免疫性肺胞蛋白症が疑われる患者
▽検査法
→イムノクロマト法
▽算定点数
→1380点(D014【自己抗体検査】の「43 抗GM1IgG抗体、抗GQ1bIgG抗体」(460点)の2回分に、「希少疾病等の検査に用いるものとして配慮が必要な体外診断用医薬品に係る技術料の設定方法」に基づく係数150/100を乗じる)
▽算定回数
→診断時に1回に限り算定できる(経過観察時は算定できない)
●がん組織中のFGFR2融合遺伝子を検出し、胆道がん患者に「タスルグラチニブコハク酸塩」(販売名:タスフィゴ錠35mg)が奏功するかどうかの判断を補助する検査
N005-2【ALK融合遺伝子標本作製】に「FGFR2融合遺伝子標本作製」を位置づける
▽対象患者
→治癒切除不能な胆道がん患者
▽目的
→FGFR阻害剤の投与の適応を判断する
▽作成方法
→FISH法(Break-apart法)
▽算定点数
→7850点(N005-2【ALK融合遺伝子標本作製】(6520点)に「希少疾病等の検査に用いるものとして配慮が必要な体外診断用医薬品に係る技術料の設定方法」に基づく係数120/100(予想年間算定回数が600回以上800回未満の場合)を乗じる
▽算定回数
→当該薬剤の投与方針決定までの間に「1回」を限度に算定する
また、今般の通知では、D015【血漿蛋白免疫学的検査】の「18 TARC」(179点)の点数算定ルールの見直し(下記「イ」のケースの追加)を行っています。
▽「18 TARC」は以下のいずれかの場合に算定できる
(ア)アトピー性皮膚炎の重症度評価の補助を目的として、血清中のTAR量を測定する場合に、月1回を限度として算定できる
(新)(イ)薬剤性過敏症症候群が疑われる患者に対し、当該疾患の鑑別診断の補助を目的として、血清中のTARC量を測定する場合に、一連の治療につき1回を限度として算定できる
→医学的な必要性から一連の治療につき2回以上算定する場合には、その詳細な理由をレセプトの摘要欄に記載する
(ウ)COVID―19と診断された患者(呼吸不全管理を要する中等症以上の患者を除く)の重症化リスクの判定補助を目的として血清中のTARC量を測定する場合は、一連の治療につき1回を限度として算定できる(関連記事はこちらとこちら)
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