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新生児・乳児のRSウイルス感染症予防のため、抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤等を広く提供する体制整備を—日本小児科学会

2025.4.11.(金)

すべての新生児・乳児のRSウイルス感染症予防戦略として、「抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤およびRSウイルス母子免疫ワクチンを用いた予防法」を広く提供するための体制を整えてほしい—。

日本小児科学会が4月3日に、こうした要望書を福岡資麿厚生労働大臣へ宛てて提出しました(小児科学会サイトはこちら)。

小児ではRSウイルス感染症は非常に疾病負荷の高い疾患で、予防体制整備が重要

小児においては、RSウイルス感染症は非常に疾病負荷の高い疾患です。このため日本小児科学会では、厚労省へ「すべての新生児・乳児をRSウイルス感染症の重症化から守るため、抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤(一般名「ニルセビマブ」、販売名「ベイフォータス筋注50mgシリンジ、同筋注100mgシリンジ」)を広く提供できるよう、費用負担を軽減する」ことを求める要望書をすでに提出しています(小児科学会サイトはこちら)。



また小児科学会では、昨年(2024)年2月に「RSウイルス母子免疫ワクチン(組換えRSウイルスワクチン、販売名「アブリスボ筋注用」)への理解と接種が進むことを期待する」考え方を示しています(小児科学会サイトはこちら)。



さらに、次のようにRSウイルス母子免疫ワクチンの安全性を示すデータも蓄積されてきています。

▽本邦における「アブリスボ筋注用」の市販後直後調査第2回中間報告(推定被接種者数:1万5767例)によれば、「新たな安全性の懸念」は認められていない
▼中間報告対象期間中(2024年5月31日-同年9月30日)に報告された「妊婦への能動免疫による新生児・乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患予防」を目的とした使用における副反応を含む有害事象(以下、副反応等)は57例・87件あり、うち重篤な副反応等は10例・18件であった
▼また副反応等57例・87件の内訳は、▼母親の副反応等が45例・60件(ワクチン接種部位疼痛14例、ワクチン接種部位腫脹5例、発熱5例、倦怠感5例など)▼児の副反応等が12例・27件(早産児8例、低出生体重児2例など)—であった

▽米国におけるRSウイルス母子免疫ワクチンの安全性評価によれば、「母子免疫ワクチンの接種は早産やSGAのリスクと関連しない」と評価された
▼2024年10月のACIP(Advisory Committee for Immunization Practices:ワクチン接種に関する諮問委員会)において、Vaccine Safety Datalinkを用いた研究によると「接種群における早産・small for gestational age(SGA、在胎期間に比べて体重や身長が小さい新生児)のリスクは増加しない」ことが示され、「母子免疫ワクチンの接種は早産やSGAのリスクと関連しない」と評価された
▼ワクチンと妊娠高血圧症候群の関連を報告した論文があり、引き続き、同疾患を含め安全性モニタリングの継続が必要とされた



こうした情報が普及する中で「RSワクチン接種を受ける妊婦が増えてきている」点なども踏まえ、小児科学会では改めて次のような要望を福岡厚労相に宛てて行いました。

▽すべての新生児・乳児のRSウイルス感染症予防戦略として、「抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤およびRSウイルス母子免疫ワクチンを用いた予防法」を広く提供するための体制整備を要望する



今後の厚労省の動きに注目が集まります。



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