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2023年7月分医療費、医科全体・医科入院・医科入院外のいずれでもコロナ感染症が再びトップに、感染対策の重要性再認識せよ―健保連

2024.1.23.(火)

昨年(2023年)7月分医療費の上位疾患を見ると、医科全体、医科入院、医科入院外のいずれにおいても再び「新型コロナウイルス感染症」がトップとなった。感染対策の重要性再認識する必要がある―。

健康保険組合連合会(健保連)が1月17日に公表した「健保組合医療費上位30疾病に関する動向調査」(2023年7月診療分)結果から、こうした状況が明らかになりました(健保連のサイトはこちら)。

なお、「乳がん」医療費が極めて大きなシェアを占めていることにも改めて驚かされます。乳がん検診の早期受診をより強く勧奨し、早期治療を促すことが、医療費の適正化にとっても、女性自身のQOL向上にとっても、社会にとっても非常に重要です。

医療費全体のトップ疾患は再びコロナ感染症に、感染対策の重要性を再確認せよ

健康保険組合(健保組合)は、主に大企業に勤める会社員とその家族が加入する公的医療保険です。健保組合の連合組織である健康保険組合連合会(健保連)は、さまざまな角度からレセプトを分析し各種提言を行うなど、従前より「データヘルス」に積極的に取り組んでいます。

今般、昨年(2023年)7月診療分のレセプトをもとに、「健保組合加入者はどのような疾患に多くかかり、医療費はどの程度なのか」を分析しました。調査対象は1284組合の加入者2660万4116人のデータです。

まず医科全体で見ると、医療費シェアトップ3は、(1)covid-19:同7.61%(3か月前調査と比べて4.31ポイント増)(2)喘息:2.72%(同0.06ポイント増)(3)本態性(原発性<一次性>)高血圧(症):同2.59%(同0.36ポイント減)—となりました。上位3疾患で医療費の12.92%(同2.82ポイント増)を消費しています。コロナ感染症の医療費シェアが再び拡大している点が注目されます。健保連の別調査では「医療現場が通常に戻りつつある」状況も明らかにされており、今後も状況を注視していくことが必要です。

医科計の上位疾患1(健保組合上位疾患(23年7月)1 240117)

医科計の上位疾患2(健保組合上位疾患(23年7月)2 240117)


医科入院、コロナ感染症が医療費第1位で、シェアも拡大

次に医科の「入院」に限定して医療費シェアを見てみましょう。

トップ3は、(1)covid-19:医科入院医療費全体の4.23%(3か月前の調査に比べて0.17ポイント増)(2)心房細動及び粗動:2.41%(同0.49ポイント減)(3)脳梗塞:1.99%(同0.05ポイント減)—となり、上位3疾患で医科入院医療費の8.63%(同0.38ポイント減)を占めています。やはりコロナ感染症が増加していることが伺えます。

なお、ほぼ女性のみの疾患である「乳房の悪性新生物」は「男女計の医科入院医療費第7位」となりました(シェア1.63%、3か月前調査に比べて0.29ポイント減。シェアは他疾患の状況で変動しますが、「乳がん患者が依然として多い」状況を再確認できます。早期の治療が生存率向上にとって重要なことから、検診の適正受診、自己点検などをさらに啓発していく必要があります。

医科入院の上位疾患1(健保組合上位疾患(23年7月)3 240117)

医科入院の上位疾患2(健保組合上位疾患(23年7月)4 240117)

コロナ感染症が入院外医療費の第1位に戻る、依然として「感染対策」が重要

医科の「入院外」に目を移すと、医療費シェアトップ3は、(1)covid-19:8.63%(3か月前調査に比べて5.57ポイント増)(2)喘息:3.36%(同0.01ポイント減)(3)本態性(原発性〈一次性〉)高血圧(症):同3.16%(同0.49ポイント減)—となりました。上位3疾患で医科入院医療費の15.15%(同3.06ポイント増)を占めています。コロナ感染症が大幅に増加し、再び医療費シェア1位となっています。依然として「感染対策」が重要であることを再認識できます。

医科入院外の上位疾患1(健保組合上位疾患(23年7月)5 240117)

医科入院外の上位疾患2(健保組合上位疾患(23年7月)6 240117)



なお外来においても、「乳がん」が医療費シェアの上位疾患(第12位:シェア1.71%、3か月前調査に比べて0.10ポイント減)に入っていることに改めて驚かされます。医療保険者も、こうした点を重く受け止めた対策(検診受診勧奨の強化など)を検討・実施する必要があります。



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