看護必要度A項目の創傷処置、「医師が自ら行った処置」も評価対象となる―厚労省
2016.6.15.(水)
一般病棟用およびハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度において、A項目の「創傷処置」では、看護職員だけではなく「医師が処置を実施した場合」も評価対象となる―。
厚生労働省は14日の事務連絡「平成28年度診療報酬改定関連通知の一部訂正及び官報掲載事項の一部訂正について」の中で、こうした点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。
救急搬送後の入院、救急用自動車とドクターヘリによる搬送のみが対象
2016年度の診療報酬改定では、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度についてC項目が新設されたほか、7体1一般病棟における重症患者割合の基準値が引き上げられるなど大幅な見直しが行われました(関連記事はこちらとこちら)。
一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の詳細は、施設基準の解釈通知で示されていますが、厚労省は今般、この内容について一部訂正を行っています。
具体的にはA項目「モニタリング及び処置等」の1「創傷処置」について、これまで「看護職員が医師の介助を行った場合」と「看護職員が自ら処置を実施した場合」を評価対象としていました。このうち後者について、看護職員だけでなく、医師が自ら処置を実施した場合も評価対象とすることを明らかにしました。評価対象が拡大されることを意味しますので、看護必要度のチェックに当たってはご注意ください。
この訂正は、ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度についても同様です。
ところで、2016年10月からDPC病院や7対1病院などでは、Hファイルとして新たに看護必要度の生データを提出することが義務付けられます。この点も踏まえて、GHCコンサルタントの森本陽介は、「DPCデータと看護必要度を突合させる厚労省の意思表示ではないか」と見ています。
同じくA項目の8「救急搬送後の入院」(新設)について、「救急用の自動車」「救急医療用ヘリコプター」での搬送入院が対象になることも明確にされました。これまでは「救急用の自動車『等』」と記載されていた点を訂正したものです。
療養病棟の在宅復帰機能強化加算、届出添付書類の記載ぶりを訂正(内容は変更なし)
療養病床入院基本料1を算定する病棟のうち、在宅復帰に力を入れている病棟では「在宅復帰機能強化加算」を算定できますが、その内容は2016年度改定で一部見直されています(関連記事はこちら)。
ところで、この加算を算定するためには、在宅復帰率50%以上などの施設基準を満たしていることを地方厚生局に届け出て、受理されることが必要です。
届け出に当たっては、「様式10の8」という書類に退院患者の状況や病床の利用状況を記載して、添付しなければなりませんが、在宅復帰率の計算について一部訂正が行われました。ただし、計算式や考え方が変更となるわけではありません。
このほか、誤字脱字の訂正や、新点数表の表記に合わせた訂正なども行われています。
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