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2019年10月からの特定処遇改善加算、経験・技能ある介護職員を最優先に―2019年度介護報酬改定QA(2)

2019.7.24.(水)

 厚生労働省は7月23日に、2019年度介護報酬改定に関するQ&AのVol.2(疑義解釈その1)を公表しました(Q&AのVol.1に関する記事はこちら)。

 参議院選挙が終了し、2019年10月の消費税率引き上げ(8%→10%)がほぼ確実と見られます。この消費税率引き上げに合わせて、介護報酬については「基本単位数の引き上げ」(消費税対応改定)と「特定処遇改善加算の創設」という2つの改定が行われます(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

 今般のQ&Aでは、後者の特定処遇改善加算について介護現場のさらなる疑問に答えています。

特定処遇改善加算には、職場環境改善や処遇改善に向けた取り組みの見える化などが必要

 特定処遇改善加算は、今年(2019年)10月予定の消費税率引き上げに伴う増収分を財源として、(従前の【介護職員処遇改善加算】I-IIIを取得している介護サービス事業所・施設(以下、介護事業所等)において、おもに「勤続10年以上の介護福祉士」の処遇改善を行うための原資を提供するものです。各介護事業所等の判断で「それ以外の職員」(介護職員、介護職員以外)の処遇改善にも柔軟に充てることなども可能です。
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 特定処遇改善加算の運用が迫ってくる中で、厚労省は新たなQ&Aを示し、介護現場の疑問に答えています。

 
 特定介護職員加算を取得するためには、(1)現⾏の介護職員処遇改善加算I-IIIを取得していること(加算IV・Vの取得等では不可)(2)介護職員処遇改善加算の職場環境等要件における「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」のそれぞれを1項目以上実施していること(3)介護職員処遇改善加算に基づく取り組みをホームページに掲載するなど「見える化」していること―などが必要です。
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 このうち(2)の「資質の向上」に向けた取り組みについて、今般のQ&Aでは、シルバーサービス振興会による「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」(介護職員の実践的な職業能力を評価、認定する)を導入し、人事考課と連動させている場合、▼現行の介護職員処遇改善加算で求められるキャリアパス要件(Ⅱ)を満たしている▼「資質の向上」の項目の1つである「研修受講やキャリア段位制度と人事考課との連動」の取り組みを行っていると取り扱う―ことが明示されました。

 また(3)の「見える化」に向けた取り組みについて、▼特定処遇改善加算も含めた処遇改善加算の算定状況や、賃金以外の処遇改善に関する具体的な取り組み内容公表を想定しており、2019年度には要件として求めず、2020年度からの要件とする▼介護サービスの情報公表制度の対象となっていない場合、「ホームページの活用」に限らず、事業所・施設の建物内の入口付近など「外部者が閲覧可能な場所への掲示」等の方法により公表することも可能である―ことが明確にされています。

より高い特定処遇改善加算Iの取得には、介護福祉士等の配置要件を満たすことが必要

 特定処遇改善加算は、上述の要件を満たした介護事業所等((介護予防)訪問看護、(介護予防)訪問リハビリ、(介護予防)居宅療養管理指導、(介護予防)福祉用具貸与、特定(介護予防)福祉用具販売、居宅介護支援、介護予防支援は除く)において、「利用者に提供したサービスに係る介護報酬」に一定の割合(加算率)を上乗せする形で請求します。加算率は下表のとおりで、▼サービス提供体制強化加算などを取得している介護事業所等では「より高い加算率」の【特定処遇改善加算I】を(例えば訪問介護では介護報酬に6.3%の上乗せがなされる)▼そうでない介護事業所等ではやや低めの【特定処遇改善加算II】を(同じく4.2%の上乗せがなされる)―算定します。

 より高い【特定処遇改善加算I】を取得するには、▼サービス提供体制強化加算(最も⾼い区分)▼特定事業所加算(従事者要件のある区分)▼⽇常⽣活継続⽀援加算▼⼊居継続⽀援加算―のいずれかを取得していることが必要となります。これらの加算は、手厚い「介護福祉士」配置をしていることが要件となっており、特定処遇改善加算の創設目的である「勤続期間の長い介護福祉士の処遇改善を行い、職場定着を促す」という点に合致するためです。
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 この点、例えば「特定施設入居者生活介護等において、喀痰吸引を必要とする利用者の割合についての要件(利用者全体の15%以上)などを満たせなくなり、入居継続支援加算等を算定できない状況」になった場合には、これを取得要件とする【特定処遇改善加算I】の取得もできなくなります。ただし、前者の入居継続支援加算等の変更届け出(言わば取得の取り下げ)は、「要件を満たせなくなった状況が常態化し、3か月間を超えて継続した場合」に行うことになります(利用者の状況は変動するため経過措置が設けられている)。したがって、【特定処遇改善加算I】についても、「喀痰吸引等の要件を満たせなくなったら直ちに取得できなくなる」ものではなく、こうした状態が継続し、変更の届け出を行った翌月(つまり4か月目)より算定できなくなることを厚労省は明示しています。

 なお、訪問介護における特定事業所加算については、「喀痰吸引を必要とする利用者の割合についての要件(利用者全体の20%以上)を一時的に満たせなくなった場合の経過措置」が設けられていません。この場合、特定事業所加算Iは取得できなくなりますが、特定事業所加算IIを取得できるためです(入居継続支援加算は、取得できるか否かの二者択一となってしまうため経過措置で救済される)。したがって、特定事業所加算Iの取得事業所が「喀痰吸引を必要とする利用者の割合についての要件(利用者全体の20%以上)を満たせなくなった」場合には、直ちに特定事業所加算IIへの変更が必要となりますが、【特定処遇改善加算I】は継続算定が可能です(訪問介護では、【特定処遇改善加算I】の取得要件は特定事業所加算I・IIのいずれでもよいため。ただし、特定事業所加算III・IVでは、【特定処遇改善加算I】の取得要件を満たさない)。

 このほか、より高い【特定処遇改善加算I】については、原則として「計画書策定時点」でサービス提供体制強化加算等を算定(介護福祉士の配置等要件を満たす)していなければならないが、計画書策定時点では無理であるが「介護福祉士の配置等要件を満たすための準備を進め、特定処遇改善加算の算定開始時点では介護福祉士の配置等要件を満たしている」場合でも算定可能である、ことなどが示されています。

  
 一方、やや低めの【特定処遇改善加算II】については、介護福祉士の配置等要件を満たす必要はありません。ただし、介護事業所等内で「加算で取得した財源を、具体的な処遇改善として配分する」際のルール(後述)があるため、「経験・技能のある介護職員のグループ」設定が必要となる点に厚労省は留意を求めています。なお、設立から日が浅いなどの理由で「経験・技能のある介護職員に該当する介護職員がいない」場合には、「経験・技能のある介護職員のグループ」を設定する必要はないものの、その理由を処遇改善計画書・実績報告書に具体的に記載することが必要です。

具体的な処遇の改善、経験・技能ある介護職員グループを最優先に

 介護事業所等では、加算を原資に、「勤続10年以上の介護福祉士」を中心にスタッフの給与改善等を行うことになります。給与改善等の方法は、介護事業所等の裁量が相当程度認められますが、全くの自由とすれば「勤続10年以上の介護福祉士の処遇改善」という本来の趣旨が損なわれることもあるため、一定のルールが定められています。
 
 具体的には、「勤続10年以上の介護福祉士」を基本とする経験・技能のある介護福祉士(経験・技能のある介護職員のグループ、介護福祉士であることは必須)に対しては、▼事業所等の中で「月額8万円の処遇改善となる者」または「改善後の賃金が年収440万円(役職者を除く全産業平均賃金)以上となる者」が1人以上▼平均の引き上げ幅が「その他の介護職員」の引き上げ幅の2倍以上(さらにその他の介護職員の引き上げ幅は、その他職種の2倍以上、つまり)―となるような処遇改善を行う、ことなどが最低限必要となります。
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 この点について今般のQ&Aでは、次のような考えを明確にしました。

▽Q&A(Vol.1)では「月額8万円の処遇改善を計算するに当たっては、現行の介護職員処遇改善加算による賃金改善分と分けて判断することが必要」とされているが、「役職者を除く全産業平均賃金(440万円)以上か」を判断するに当たっては、現行の介護職員処遇改善加算による改善を含めて計算することが可能である

▽「経験・技能のある介護職員のグループ」では、月額8万円改善・年収440万円となる者の設定が必要だが、「現に賃金が年額440万円以上の者」がいる場合には、加算創設の主知である「リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準を目指す」という趣旨をすでに達成しているため、新たに(別に)月額8万円改善・年収440万円となる者の設定を行わずともよい

▽特定処遇改善加算の配分は、「介護職員の処遇改善という趣旨を損なわない」程度で柔軟な運用(介護職以外の処遇改善に充てるなど)も可能だが、最低限のルールとして「経験・技能のある介護職員のグループ以外の『他の介護職員』の平均賃金改善額が、『その他職種』(介護職以外)の平均賃金改善額の2倍以上となる」ことを求めている。ただし、その他職種(介護職以外)の平均賃金額が「他の介護職員」(経験・技能のある介護職員のグループ以外)の平均賃金額を上回らない場合は、柔軟な取扱いを認め、両グループの平均賃金改善額が等しくなる(1:1)までの改善が可能である

▽介護給付サービスと介護予防・日常生活支援総合事業を一体的に運営し、同一の就業規則等が適用されるなど「労務管理が同一」と考えられる場合は、同一事業所とみなし(法人単位とは取り扱わない)、▼月額8万円改善・年収440万円となる者の設定は1人でよい▼配分ルール(経験・技能のある介護職:他の介護職:その他職種が2:1:0.5)を適用する―ことで特定処遇改善加算を算定できる。「介護給付サービスと予防給付サービス」「特別養護老人ホームと併設されている短期入所生活介護」「介護老人保健施設と短期入所療養介護」などでも同様の取り扱いとする

▽本部の人事、事業部等で働く者など、法人内で介護に従事していない職員についても、「特定処遇改善加算の算定対象サービス事業所における業務を行っている」と判断できる場合には、「その他職種」として処遇改善の対象とすることが可能

▽介護職員の定着が進んだ介護事業所等では、勤続年数が長くなったことなどにより、介護職員全てが「経験・技能のある介護職員」となることも考えられ、こうした場合には▼経験・技能のある介護職員グループ▼その他職種グループ―のみの設定(他の介護職グループを置かない)となることも可能。ただし、「経験・技能のある介護職員」グループの平均賃金改善額が、「その他職種」グループの平均賃金改善額の4倍以上とする必要がある

▽「経験・技能のある介護職:他の介護職:その他職種が2:1:0.5」ルールを満たした上で、事業所の持ち出しで更なる処遇改善をすることは可能。その際、「特定処遇改善加算による賃金改善分で配分ルールを満たしている」ことが分かるように実績報告書に記載する必要がある

▽部分的に介護業務を行っている者(看護と介護の仕事を0.5ずつ勤務する場合など)については、介護職員として「経験・技能のある介護職」「他の介護職員」に区分することは可能(どのグループに区分し、どのような賃金改善を行うかは、労働実態等を勘案し各介護事業所等で検討する)。その際、「実際にその介護職員が収入として得ている額」(介護業務について按分などせずに)をその者の賃金と考える

▽「その他職種」への配分がない場合、計画書は空欄にせず(記載漏れと誤解される)、「0(ゼロ)人」等と記載することが望ましい

▽年額440万円の判断に当たっては、「役職者であるかどうか」ではなく、事業所毎に設定した「経験・技能のある介護職員の基準に該当するかどうか」で判断する

 
 
 
 このほか、厚労省は「年度単位の賃金とする(例えば、10月から月2万円の賃金改善とせず、4月に遡って月1万円の賃金改善とするなど)ことも可能である」旨を明確にしています。この場合、4-9月分の賃金改善に、10月以降に取得する特定処遇改善加算の財源を充てることになりますが、厚労省は「介護職員の賃金低下につながらないようするととも に、事業所内でよく検討し、計画等を用いて職員に対し周知することが必要」と指摘しています。

【更新履歴】本文中、「(訪問介護では、【特定処遇改善加算II】の取得要件は特定事業所加算I・IIのいずれでもよいため・・・)」とありましたが、「(訪問介護では、【特定処遇改善加算I】の取得要件は特定事業所加算I・IIのいずれでもよいため・・・)」の誤りです。大変失礼いたしました。お詫びして訂正いたします。本文は訂正済みです。

 
 

 

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