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2019年10月に新設される【特定処遇改善加算】、事業所等の柔軟な裁量認める―介護給付費分科会

2019.3.7.(木)

 2019年10月から、経験・技能のある介護福祉士を中心に処遇(給与等)改善を行う【特定処遇改善加算】を創設することが決まっている。この加算を取得するためには、現⾏の介護職員処遇改善加算の「職場環境等要件」に関し、複数の取組を⾏っていることが必要となるが、具体的には▼資質の向上▼労働環境・処遇の改善▼その他―の各区分について「1つ以上」の実施を求めることとする。また経験・技能のある介護職員などについては、「事業所の柔軟な裁量」を認める―。

3月6日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会でこういった方針が固まり、【特定処遇改善加算】の解釈通知などに活かされます(関連記事はこちらこちらこちら)。

3月6日に開催された、「第169回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

3月6日に開催された、「第169回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

 

経験・技能のある介護福祉士を中心に、さらなる処遇改善を実施

 2019年10月から消費税率が8%から10%に引き上げられる予定で、これに伴って介護事業所・施設(以下、介護事業所等)の「控除対象外消費税負担」も増加することから、負担増を補填するための特別の介護報酬プラス改定(消費税対応改定)が行われます。

 あわせて消費税増収を財源として、経験・技能のある介護福祉士を中心に処遇(給与等)改善を行う【特定処遇改善加算】が創設されます。非常に複雑な加算ですが、そのポイントは次のように整理できるでしょう。

【加算率】
▽加算I(サービス提供体制強化加算などの取得事業所):1.2%(通所介護)-6.3%(訪問介護等)
▽加算II(加算I取得事業所以外の事業所):1.0%(通所介護)-4.2%(訪問介護等)
介護給付費分科会(1)の2 190213
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【取得要件】
▽現⾏の介護職員処遇改善加算(I)から(III)までを取得していること
▽介護職員処遇改善加算の「職場環境等要件」に関し、複数の取り組みを⾏っていること
▽介護職員処遇改善加算に基づく取り組みについて、ホームページへの掲載等を通じた⾒える化を⾏っていること

【処遇改善等のルール】
▽経験・技能のある介護職員(リーダー級介護職員):▼事業所等の中で「月額8万円の処遇改善となる者」または「改善後の賃金が年収440万円(役職者を除く全産業平均賃金)以上となる者」が1人以上▼平均の引き上げ幅が「その他の介護職員」の引き上げ幅の2倍以上―となるような処遇改善を行う

▽その他の介護職員:平均の引き上げ幅が「その他の職員」の引き上げ幅の2倍以上となるような処遇改善を行う

▽その他の職種:改善後の賃金額が「役職者を除く全産業平均賃金(年収440万円)」を超えない場合に、処遇改善を可能とする
介護給付費分科会(1)の1 190213
 
 
 詳細は「解釈通知」や「Q&A」で明らかにされますが、3月6日の介護給付費分科会では、異例の「通知等の内容設定に関する議論」が行われました。【特定処遇改善加算】の制度設計論議においては委員から具体的な提案が多数行われており、厚生労働省老健局老人保健課の眞鍋馨課長が「通知にも委員の意見を可能な限り反映させるべき」と判断したためと考えられます。

 眞鍋老人保健課長は、今後の解釈通知等の設定におけるポイントとして次の5点の提案を行いました。

(1)取得要件の1つである「職場環境等要件に関する複数の取り組み」の内容
(2)取得要件の1つである「介護職員処遇改善加算に基づく取り組みの⾒える化」の内容
(3)「小規模な事業所で開設したばかりである」などの内容
(4)「経験・技能のある介護職員」の考え方
(5)「事業所内における配分」の考え方

介護人材の確保・定着を目指し、「職場環境等要件」の広範な実施を求める

まず(1)については、介護人材の確保・定着という【特定処遇改善加算】の主目的に照らし、「職場環境等要件に関する複数の取り組み」を実施していることが求められます。さらに眞鍋老人保健課長は、「職場環境等要件」の3区分(▼資質の向上▼労働環境・処遇の改善▼その他―)について、「各区分で1つ以上」(つまり3項目以上の取り組み)とするなど、実効性のあるものとする考えを眞鍋老人保健課長は強調しています。3区分すべてに取り組んでいる介護事業所等は全体の89.3%(2017年度介護従事者処遇状況等調査)であり、およそ9割がこの要件を満たすと推測できます。
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 この考えに異論は出ていませんが、「『その他』要件には、『資質の向上』などに振り分けられる内容もあり、今後、区分などの内容見直しが必要ではないか」(齋藤訓子委員:日本看護協会副会長ら)、「職場環境等要件のうち、どの項目がどの程度の効果を持つのかを調べ、それに基づいて【特定処遇改善加算】の要件も見直していくべき」(河本滋史委員:健康保険組合連合会常務理事ら)、「将来、すべての項目実施を求めるなど、要件の厳格化を検討していくべき」(安藤伸樹委員:全国健康保険協会理事長)といった将来に向けた提案がなされています。

 眞鍋老人保健課長は、この提案を受け「職場環境等要件の内容については、効果等を検証し、適切なタイミング(2021年度の次期介護報酬改定など)に見直しを検討する」考えも示しています。

 
 また(2)は、利用者・国民はもちろん、介護分野の求職者が「当該事業所等では介護スタッフの処遇をどう考えているのか」を把握可能とするよう求めるものです。こうした情報が、介護事業所等選択の重要要素になると考えられるためです。「良き処遇」は、求職者にとって職場選択の重要要素であることはもちろん、「良きサービス」にもつながり、利用者等のサービス選択の重要要素にもなります。

この点、厚労省の「介護サービス情報公表制度」の中で、▼「提供サービスの内容」において【特定処遇改善加算】の取得状況を報告する▼「従業者に関する情報」において、賃金改善以外の処遇改善に関する具体的な取組内容の報告を求める―ことを要件化する考えが示されました。なお、介護サービス情報公表制度では、現在「介護職員処遇改善加算の詳細」に関する項目がない(加算取得の有無のみ)ことから、「処遇改善に取り組む事業所であることの明確化」などを検討することになります。
介護給付費分科会2 190306
  

算定要件等の明確化を求める声もあるが、「事業所の柔軟な裁量」を歓迎する意見も

 上述のように、【特定処遇改善加算】を取得するには、少なくとも1名以上の介護福祉士に「月額8万円の処遇改善」などを実施することが必要です。ただし、「小規模な事業所」「開設から間もない事業所」などでは、こうした処遇改善が難しいケースもあり(勤続10年に届く介護福祉士がいないなど)、その場合「合理的な理由」を説明することで【特定処遇改善加算】の取得が可能となります。

この点(3)では、「小規模な事業所」が定員何名程度であるのか、「開設から間もない事業所」は何年未満を指すのか、が気になりますが、眞鍋老人保健課長は▼小規模事業所等で加算額全体が少額▼職員全体の賃金水準が低い事業所などで、直ちに1人の賃金を引き上げることが困難▼8万円の賃金改善等に当たり、事業所内の階層や役職、能力や処遇を明確にする必要があり、規定整備や研修・実務経験の蓄積などに一定期間が必要―な場合が考えられ、「現時点で一律のラインを引くことは考えていない。現場の状況を丁寧に把握し、検討していきたい」と述べるにとどめています。

さらに(4)では、「経験・技能のある介護福祉士」の定義について、基本的に「勤続10年以上の介護福祉士」が想定されるものの、事業所の裁量で▼勤続年数には、同一法人のみの経験でなく、他法人や医療機関等での経験等も通算できる▼10年以上の勤続年数を有しなくとも、業務や技能等を勘案し対象とできる―との考えが眞鍋老人保健課長から示されました。「労使間の協議が基本となる」旨の考えも強調しています。

また(5)では、「法人内のでスタッフに対する処遇改善」について、「現行の介護職員処遇改善加算と同様に、法人単位での対応(例えば複数の介護サービス事業所を有する法人では、法人一括での申請を認めるなど)を可能とする」考えも示されました。

こうした考えに、石本淳也委員(日本介護福祉士会会長)や東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)らは「漠然としすぎていないか。大きなバラつきが生じる可能性もあり、一定の基準明確化を図るべき」と要望しました。たしかに、若手の多いA事業所では「8年以上の介護福祉士」が経験・技能ありとされ、月8万円の処遇改善を行う一方で、ベテランの多いB事業所では「12年以上の経験ある介護福祉士」でなければ経験・技能ありと判断されない、などの事態が生じれば「バラつきが大きい」とも思えます。

しかし武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、「介護現場では一律のラインを引けない。都市部を基準にしたラインを明確化し、そのラインをクリアできない地方では【特定処遇改善加算】は取得できないという仕組みではない。全国で【特定処遇改善加算】を取得できるように、事業所の柔軟な裁量を認めてくれるものだ」とし、「基準の明確化」要望に強く反対。さらに「介護事業所等の中には、(国が基準を定め、事業所はそれに従うのみという)措置制度の名残があるのではないか」との皮肉も述べています。

 
厚労省では、こうした意見を踏まえて本年度中(2019年3月31日まで)を目指して【特定処遇改善加算】や消費税改定対応の関連告示・通知などを発出する考えです。

 
 
 
なお、3月6日の介護給付費分科会では、2019年度から創設される「特定技能1号の外国人」について、技能実習3年修了の人材と介護技能が同等であることを踏まえ、▼就労と同時に配置基準に含めて算定する▼就労から6か月間程度、「他の日本人職員とチームでケアに当たる等、受け入れ施設における順応をサポートし、ケアの安全性を確保する」ための体制をとる―ことが承認されました。今年度内(2019年3月31日まで)に関連通知等が発出される見込みです。
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