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ケアマネ人材確保のための処遇改善、ケアマネが本来業務(法定業務)に集中で器用な環境の整備を検討せよ—ケアマネ課題検討会

2024.11.15.(金)

ケアマネジャーの人材確保・定着を図るために、「処遇改善」がなどを検討する必要がある—。

ケアマネの業務は「本来業務」(法定業務)と「それ以外業務」との切り分けが求められ、「本来業務」に専念できるよう、行政や他サービスなどに適切につないでいける環境整備(地域づくり)を進める必要がある—。

11月7日に開催された「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」(以下、検討会)で、こうした内容を盛り込んだ「中間とりまとめの素案」が厚生労働省から示されました。さらに議論を詰め、近く中間とりまとめを目指します。

実務経験をもたずに「ケアマネ資格取得」を認めるべきか

検討会では、社会保障審議会・介護保険部会の意見を踏まえて、(1)ケアマネジャーの業務の在り方(2)人材確保・定着に向けた方策(3)法定研修の在り方(4)ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組み促進—の4テーマについて議論を深めてきています(関連記事は
こちらこちらこちらこちら)。

11月7日の検討会では、厚労省から(1)—(4)の各テーマについて、これまでの議論を踏まえた「中間とりまとめの素案」が示されました。素案を眺めると、次のような方向性等が示されています。

(1)ケアマネジャーの業務の在り方
▽居宅介護支援事業所において現にケアマネジャーが実施している業務は、(1)法定業務(2)保険外サービスとして対応しうる業務(3)他機関につなぐべき業務(4)対応困難な業務—などに分類される

ケアマネ業務の分類(ケアマネ課題検討会 241107)



▽(1)の法定業務の中には、▼アセスメントやモニタリングなど利用者と直接関わるもの▼給付管理をはじめとする事務的な業務—が存在し、事業所内でのそれぞれの業務の分担を検討することが必要である。前者の「利用者と直接関わるもの」については、更なる質の向上を図るとともに、その位置づけを整理する必要が、後者の「事務的な業務」については事務職員へのタスクシフトの促進が必要である

▽(2)の「保険外サービスとして対応しうる業務」や(3)の「他機関につなぐべき業務」については、地域の多様な主体が役割を担うことが考えられるが、利用者や家族、関係職種や市町村の共通認識づくりに課題があるとの指摘があるため、周囲の理解促進が必要であり、国や関係団体を中心として利用者・家族や関連職種等も含めた啓発を行っていくことも重要である

▽(1)の法定業務「以外」の業務については、基本的には「市町村が主体となって関係者を含めて協議し、必要に応じて社会資源の創出を図る」など、利用者への支援が途切れないよう地域の課題として対応すべきである

▽また「主任ケアマネ」について、地域や居宅介護支援事業所内における比較的経験の浅いケアマネへの指導・育成の役割があることを踏まえ、▼制度的位置付けの明確化▼居宅介護支援事業所や地域包括支援センターのそれぞれでの役割に応じた評価の在り方▼主任ケアマネのケアプラン点検における位置付け▼地域の実情による役割分担や柔軟な配置—などを検討する



(2)人材確保・定着に向けた方策
▽ケアマネが就労を継続しやすい環境の整備が重要であり、▼利用者との十分なかかわり▼他産業に見劣りしない処遇▼作成書類の様式見直し▼シニア層の延長雇用—などが重要

▽新規入職促進のために、▼受験対象である国家資格の範囲の見直し▼現行の「5年」の実務経験年数の見直し▼処遇の改善▼学卒者の入職の在り方—などを検討する

▽潜在ケアマネの復職支援に向けて「再研修の受講負担軽減」などを検討する▼



(3)法定研修の在り方
▽可能な限り経済的・時間的負担の軽減方策、オンラインでの研修実施、分割したオンデマンド研修実施などを検討する

▽法定研修のうち全国統一的な実施が望ましい内容を国で一元的に作成することを検討する。地域の実情に応じた研 修が必要であることから、一部の科目については引き続き都道府県で実施していくことも検討する



(4)ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組み促進
▽法定研修や法定外研修、事業所内におけるOJTなどを通じた能力の向上を図る

▽ケアマネジメントの質を評価するための手法等について引き続き検討する

▽「適切なケアマ ネジメント手法」について、ケアマネだけでなく、医療等の関係職種や地方自治体等の関係者も含めて周知する

▽ICTの効果的な利活用を推進する



さらに構成員からは、例えば▼市町村により「地域づくり」、保険者と職能団体が連携したケアプラン点検、が極めて重要であること、学卒者がダイレクトにケアマネ資格を得られる仕組みづくりなどが重要ではないか(柴口里則構成員:日本介護支援専門員協会会長)▼ケアマネの処遇について、まずは「介護業界の中で、他職種に見劣りしない水準への向上」を進めるべき。ケアマネ負担軽減のために「更新の廃止」も検討すべき(染川朗構成員:日本介護クラフトユニオン会長)▼利用者支援について、ケアマネから他機関などにつなぐ際に「どこまでの個人情報を共有すべきか」を関係職種などで共通認識を得られるようにすべき(相田里香構成員:青い鳥合同会社代表社員)▼ケアマネ業務全般に言えるが「相談援助技術の向上」が極めて重要となり、その部分での評価を検討すべきである。受験資格拡大でも「相談援助」業務を行っている職種への拡大から考えるべき(内藤佳津雄構成員:日本大学文理学部心理学科教授)▼ケアマネ受験資格を学卒者(実務経験のない者)にも与え、一方、業務の質確保のための研修充実などを図るべき(工藤英明構成員:青森県立保健大学健康科学部社会福祉学科教授)▼学卒者では「高齢者の生活像」までを想像することは困難であろう。受験資格に、短期間でも実務経験を求めるべきであろう。ケアマネには「相談援助」技術が非常に強く求められ、これは知識だけでは身に着けることはできない(石山麗子構成員:国際医療福祉大学大学院医療福祉経営専攻教授)▼ケアマネが本来業務に集中できる環境の整備が何より重要だが、たとえば事務スタッフを配置できるほどの報酬水準にはなっていない。地域で利用者やケアマネを支援していくことが重要で、例えば市町村に、ケアマネが困り事を相談できるような窓口を設置することを検討してはどうか(江澤和彦構成員:日本医師会常任理事)▼ケアマネは各種のインフォーマル・フォーマルな研修を受け、日々、技術・知識向上に努めており、これらを「研修受講に読み替える」ような仕組みを検討してはどうか(落久保裕之構成員:広島県介護支援専門員協会会長・広島県医師会常任理事)—などの意見・注文が付きました。

こうした声も踏まえてさらに議論を重ね、「中間とりまとめ」を目指します。



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