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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

2022年2-9月の介護職員処遇改善補助の概要固まる、「基本給等の引き上げ」軸に処遇改善―社保審・介護給付費分科会

2021.12.27.(月)

来年(2022年)2-9月に「介護職員の処遇改善」に向けた補助金を交付する。介護職員処遇改善加算(I)(II)(III)のいずれかを取得し、かつ来年(2022年)2・3月に実際に賃上げを行っている介護事業所・施設を対象とする―。

対象事業所・施設には「毎月の介護報酬請求額」にサービス種類ごとに設定した交付率を乗じて算出した金額の補助金を交付。事業所・施設では、それを原資に裁量を持って職員の処遇改善を行うことになる―。

ただし、補助金の3分の2以上は「基本給の引き上げ」などに活用することが求められ、一時金による処遇改善は一部に限定される点に留意が必要である―。

厚生労働省は12月24日に社会保障審議会・介護給付費分科会を持ち回り開催し、こうした内容を委員に報告しました(関連記事はこちら)。年明けからは「10月以降の介護報酬による新たな介護職員処遇改善」について議論を行います。

来年(2022年)2-9月における補助金の概要(介護給付費分科会1 211224)

「賃上げ効果の継続」を重視し、補助金の3分の2以上は「基本給等の引き上げ」に支弁を

11月19日に閣議決定された新たな「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」、12月20日に成立した2021年度補正予算で「介護職員について、賃上げ効果が継続される取り組みを行うことを前提として、収入を3%程度(月額9000円)引き上げるための措置(補助金交付)を来年2月(2022年2月)から9月まで実施する」ことが正式決定しました。

今般の介護給付費分科会には、この詳細が報告されたものです。

まず、補助金の大枠を確認すると次のような流れとなります。
▽国が、対象となる事業所・施設に補助金を交付する

▽事業所・施設では、補助金を原資に介護職員等の給与引き上げを行う。その際、配分や対象者については事業所・施設に相当程度の裁量を認める



「補助金がどういった事業所・施設に交付されるのか」「交付される補助金はどのように計算されるのか(いくらになるのか)」「事業所サイドで行う賃上げはどのようなルールの下でおこなわなければならないのか」などを見ていきましょう。



補助金の交付が行われるのは、(1)介護職員処遇改善加算(I)(II)(III)のいずれかを取得している(2)来年(2022年)2・3月(つまり2021年度中)から実際に賃上げを行っている(3月中(つまり2021年度中)に2月分も含めて賃上げを行っていればよい)―のいずれも満たす事業所です。

(1)から、介護職員処遇改善加算(I)(II)(III)を取得していない事業所、あるいは取得できないサービス((介護予防)訪問看護、(介護予防)訪問リハビリ、(介護予防)福祉用具貸与、特定(介護予防)福祉用具販売、(介護予防)居宅療養管理指導、居宅介護支援、介護予防支援)の事業所では補助金を受けられないことが分かります。

また(2)の賃上げ実績については、事業所から都道府県に対し「賃上げを実施している」旨の報告(紙あるいはメールなどでの提出)によって確認されます。



次に補助金がどの程度の金額になるのかを見ると、上述した経済対策などを踏まえれば「事業所・施設の介護職員(常勤換算)について、1人当たり月額平均9000円の賃金引き上げを行える」金額と考えられます。

これを簡便に計算できるようにするため、厚労省では次のような計算式を準備しました。介護職員処遇改善加算と同様の考え方です。

▼各事業所の総報酬(毎月、請求する介護報酬の総単位数、既存の処遇改善加算なども含む)
×
▼サービス種類ごとの交付率(下表)

補助金は、各事業所・施設における「毎月の総介護報酬」に交付率(サービス種類ごと)を乗じて計算する(介護給付費分科会2 211224)



この計算式で算出された補助金が事業所・施設に交付され、事業所・施設ではそれを原資に「介護職員等の賃金等引き上げ」を行います。

主な引き上げ対象は「介護職員」とされていますが、事業所・施設の裁量で「他の職員の処遇改善に充てる」ことが可能です。対象職種などの縛りは特段設けられておらず、事業所・施設で「各職種の賃金バランス」を考慮して、相当程度の裁量をもって決定することができます。

ただし、賃金等引き上げの方法・内容については▼補助金の全額を賃金等の引き上げに充てなければならない(他の事項に支弁してはならない)▼補助金の3分の2以上を「介護職員等のベースアップ」など(「基本給」または「毎月決まって支払われる手当」の引き上げ)に使わなければならない―という縛りがあります。経済対策などで「賃上げ効果が継続される取り組みを行う」こととされている点を踏まえ「基本給などの引き上げ」を求めているものです。

なお、就業規則や賃金テーブルの改正には一定の時間がかかることも考慮し、「来年(2022年)2・3月分は一時金による支給も可能とする」ことになりました(4月分以降は基本給などの引き上げが必要となる)。



また補助金は待っているだけでは交付されません。事業所が都道府県に申請し、要件等を満たしているかを審査し、それをクリアした後に交付されます。

申請は、▼賃金引き上げの開始月(2022年2・3月)に「賃金引き上げの計画書」を都道府県に提出する▼2022年4月から補助金申請を受け付ける―こととなっています。

計画書には、賃金引き上げを行う介護職員・その他職員の「月額の賃金改善額」の総額(対象職員全体の引き上げ額)を記載することが求められます。また賃金改善期間後には「実績報告」(介護職員・その他職員全体の月額賃金改善額の実績を報告)を行うことが求められます。ここでは「職員個々人の賃金改善額の記載」までは求められていません。

こうした要件をクリアし、手続きを滞りなく完了した事業所・施設には▼2022年6月に「2-4月分の補助金」を交付する▼同7月に「5月分の補助金」を交付する▼同8月に「6月分の補助金」を交付する―という具合のスケジュールで補助金交付が行われます。



また、介護職員処遇改善加算の計画書届け出について「補助金交付とタイミングを合わせる」(通常は2月届け出としているところを4月届け出に遅らせる)ことが厚労省内で検討されています。事業所の事務負担軽減を狙うもので、厚労省では「急ぎ関連の通知等を整理・発出する」考えです。



なお10月(2022年10月)以降については「介護報酬で対応する」ことが12月22日の後藤茂之厚生労働大臣・鈴木俊一財務大臣の間で決定しています。今後、介護給付費分科会で「どのような報酬設計にする」のかを議論していくことになります。



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