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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

リハマネ加算など大きな見直し、リハ・口腔・栄養を一体的に推進—社保審・介護給付費分科会(6)

2021.1.22.(金)

Gem Medでお伝えしているとおり、1月18日の社会保障審議会・介護給付費分科会で2021年度介護報酬改定の内容(単位数等改定)が了承されました(科学的介護に関する記事はこちら、通所介護に関する記事はこちら、訪問看護に関する記事はこちら、介護医療院・介護療養に関する記事はこちら、ケアマネジメントに関する記事はこちら)。

本稿では、リハビリテーションを中心に自立支援・重度化防止に向けた改定内容を探ってみます(関連記事はこちら)。

リハビリマネジメント加算、報酬体系を大きく見直し、データ提出を要件化

リハビリテーションは要介護者・要支援者の自立を促すために極めて重要であり、介護保険では「通所リハビリ」と「訪問リハビリ」があります。2015年度の介護報酬改定から、漫然とADLの維持・向上を目指すのではなく、医師の関与を明確にし、利用者の意向を踏まえた活動・参加への取り組みを評価していく方向が明確にされ、2021年度改定でもこの方向に沿った見直しが行われます。

まず【リハビリテーションマネジメント加算】の見直しを見てみましょう。この加算は、リハビリへの医師の関与を強め、計画・管理されたリハビリを行う事業所を評価するもので、次のような大きな加算体系の組み換え・見直しが行われます。

(1)「加算I」、「介護予防のリハビリマネジメント加算」を廃止し、加算要件であった▼医師による詳細な指示▼計画的なリハビリ実施―などを「通所リハ・訪問リハにおける基本報酬」の要件に組み込む(逆に言えば、「医師による詳細な指示」などの実施がなければ加算はおろか、基本報酬を算定できなくなる。ただし要件化を踏まえた基本報酬の引き上げも行われている)

(2)現行の「加算(II)」「加算(III)」について要件を整理し直すとともに、評価体系の組み換えを行う

(3)VISITへのデータ提出等を評価する「加算(IV)」を廃止し、LIFE(CHASE・VISITの統合)へのデータ提出を要件とする加算項目を設ける



これらの見直しの結果、リハビリテーションマネジメント加算は次のような体系になります。

〇リハビリテーション計画の説明を、計画作成に関与したリハビリ専門職が行う場合
→【リハビリテーションマネジメント加算(A)】

●加算(A)イ
[主な要件](現行のリハマネ加算(II)に相当)
▽リハビリの内容や目標を、リハビリ事業所の職員、その他関係者と共有するための会議を行い、内容の記録を行う(医師への共有はテレビ電話でも可)
▽利用開始月から6か月以内は「1か月に1回」、それ以降は「3か月に1回」の会議を開き、計画を適宜見直す
▽リハビリ専門職が介護支援専門員(ケアマネジャー)に対し、リハの観点から「有する能力」「自立のための支援方法」「日常生活の留意点」などの情報提供をする
▽リハビリ専門職が利用者宅等を訪問し、他の介護サービススタッフや家族に対し、リハの観点から「日常生活の留意点」「介護のアドバイス」などを行う
▽医師からリハビリ専門職に対し、「リハの目的」「リハ実施に伴う指示」を行う
▽これらについて「記録」を残す

●加算(A)ロ
▽加算(A)イの各要件を満たす
▽利用者毎のリハビリテーション計画書等の情報を厚生労働省に提出するとともに、リハビリ提供に当たり、当該情報、その他リハビリの適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用する(LIFEへの情報提出と、フィードバック情報を踏まえたPDCAサイクルの実施)



〇リハビリテーション計画の説明を、医師が行う場合
→【リハビリテーションマネジメント加算(B)】

●加算(B)イ
[主な要件](現行のリハマネ加算(III)に相当)
▽加算(A)イの「リハビリ専門職による計画説明」以外の要件を満たす

●加算(A)ロ
[主な要件](現行のリハマネ加算(IV)に相当)
▽加算(B)イの各要件を満たす
▽利用者毎のリハビリテーション計画書等の情報を厚生労働省に提出するとともに、リハビリ提供に当たり、当該情報、その他リハビリの適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用する(LIFEへの情報提出と、フィードバック情報を踏まえたPDCAサイクルの実施)

訪問リハにおけるリハビリマネジメント加算の見直し(介護給付費分科会(6)1 210118)

通所リハにおけるリハビリマネジメント加算の見直し(介護給付費分科会(6)2 210118)



なお、現場の負担を考慮して、データ提出について▼必須項目▼任意項目—の設定を行う、定期的なリハビリ会議について、利用者の了解を得たうえで「テレビ会議等での実施」を可能とする、といった見直しも行われます。

詳細については、今後示される「通知」や「事務連絡(Q&A)」を待つ必要がありますが、要件そのものは現行から大きく変わるものではないと考えられます。

老健施設・介護医療院においてリハビリマネジメントを評価する新加算創設

関連して、介護老人保健施設・介護医療院においては、リハビリテーション実施計画を入所者・家族等に説明して継続的にリハビリの質を管理するとともに、LIFEへのリハビリデータ提出・フィードバック情報に基づくPDCAサイクル推進を評価する新加算が創設されます。

▽介護老人保健施設における【リハビリテーションマネジメント計画書情報加算】(1月あたり33単位)

▽介護医療院における【理学療法、作業療法または言語聴覚療法に係る加算】(1月あたり33単位)

社会参加支援加算、生活行為向上リハ実施加算も大幅に見直し

リハビリについては「利用者のニーズを十分踏まえず、身体機能の向上のみを目的とした漫然としたものが行われがちである」との指摘が従前よりあります。このため2015年度の介護報酬改定において、利用者が何を求めているのか(1人で買い物に行けるようになりたいのか、1人で料理ができるようになりたいのか)を十分に把握し、その意向を踏まえたリハビリ計画を立て、評価を行いながらリハビリを実施することが重要であることを確認。状中の【リハビリテーションマネジメント加算】を創設するとともに、次のような加算も創設されました。

(1)社会参加支援加算(通所リハビリから他の社会参加に資する取り組みへの移行状況などを評価する)
(2)生活行為向上リハビリテーション実施加算(廃用などで活動能力が低下した高齢者に対し計画的なリハビリを提供し、生活活動能力を向上させることを評価する)

重要な加算ですが、実態を見ると「算定要件の整理が必要である(例えば、クリアが容易い要件と、非常に難しい要件とか混在している)」「名称と実態がマッチしていない」などの課題があることが確認され、次のように見直すこととなりました。

まず(1)の社会参加支援加算については、名称を【移行支援加算】に見直し、要件を次のように設定しなおします。単位数等は従前から据え置かれ、訪問リハでは1日につき17単位、通所リハでは同じく12単位のままです。

社会参加支援加算、改め【移行支援加算」の算定要件(介護給付費分科会(6)3 210118)



また(2)の【生活行為向上リハビリテーション実施加算】については、現行の「開始から3か月」>「3-6か月」>「6か月以降の継続に係る減算」という階段を、次のように簡素化することになります。6か月以降も継続したリハビリが必要な利用者に配慮して「減算」を廃止し、利用者負担の平準化を目指すものです。

【通所リハ】
〇現行
▽利用開始から3か月以内:1月あたり2000単位
▽3か月超6か月以内:1月あたり1000単位
▽6か月超も継続する場合:基本報酬を15%減算

〇改定後
▽利用開始から6か月以内:1月あたり1250単位

【介護予防通所リハ】
〇現行
▽利用開始から3か月以内:1月あたり900単位
▽3か月超6か月以内:1月あたり450単位
▽6か月超も継続する場合:基本報酬を15%減算

〇改定後
▽利用開始から6か月以内:1月あたり562単位

生活行為向上リハビリ実施加算の見直しイメージ(介護給付費分科会(6)4 210118)

リハビリ・栄養・口腔を「一体的」に推進し、自立支援・重度化防止を強力に進める

なお、2021年度介護報酬改定に当たっては、▼リハビリテーション・機能訓練▼口腔▼栄養―の取り組みを「一体的に推進する」ことの重要性が再三にわたり確認されました。

各種の調査研究において、「リハビリの効果と栄養との間に強い関連がある」こと(つまりエイ状態が低下すればリハビリの効果が上がらず、リハビリの効果を高めるためには栄養状態の改善が極めて重要である)、また、こちらは言わずもがなですが「栄養状態の改善には、口腔機能の向上が極めて重要である」ことを踏まえたものです。昨今の診療報酬改定でも、この点が意識され「栄養状態の改善に向けた管理栄養士等の関与の評価」「医科・歯科連携の推進」などが評価されており、介護報酬でも同様の視点に立っていることが分かります。

この視点に立って膨大な量の改定項目が盛り込まれており、例えば、次のような点が目立ちます。介護サービス事業所・施設において「栄養士」「歯科医療機関」との連携をこれまで以上に高めることで、利用者の状態が改善するとともに、報酬上の評価も受けることが可能となります。

▽「リハビリテーション・機能訓練」「口腔」「栄養」に関する加算等の算定要件とされている計画作成や会議について、必要に応じて▼リハビリ専門職▼管理栄養士▼歯科衛生士―が参加することを明確化する

▽介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護療養型医療施設(一部除く)、介護医療院において、【口腔衛生管理体制加算】(1月あたり30単位)を廃止するとともに、LIFEへのデータ提出・フィードバック情報によるPDCAサイクル推進を評価する【口腔衛生管理加算(II)】(1月当たり110単位)を新設する

▽介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護療養型医療施設(一部除く)、介護医療院において、【栄養マネジメント加算】を廃止する一方で、【栄養ケア・マネジメントの未実施減算】(1日あたり14単位の減算)を新設し、手厚い管理栄養士体制を敷き、計画的な栄養改善を行うことを評価する【栄養マネジメント加算】(1日あたり11単位)の新設などを行う(介護保険施設での栄養マネジメント充実を目指す)

▽通所介護、地域密着型通所介護、療養通所介護、(介護予防)認知症対応型通所介護、(介護予防)通所リハビリ、(介護予防)小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、(介護予防)特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護において、口腔機能・栄養状態の「いずれか」を確認し、ケアマネジャーに情報連携する取り組みを評価する【口腔・栄養スクリーニング加算(II)】(1回あたり5単位)、【口腔機能向上加算(II)】(1回あたり160単位)を新設する(口腔機能・栄養状態の「双方」を確認し情報連携することを評価する【加算(I)】の下位区分を設け、取り組みやすくする)

▽通所介護、地域密着型通所介護、(介護予防)認知症対応型通所介護、(介護予防)通所リハビリテーション、看護小規模多機能型居宅介護において、管理栄養士を配置し、利用者ごとの栄養状態把握・改善等の取り組みを評価する【栄養アセスメント加算】(1月あたり50単位)を新設し、居宅訪問による栄養改善を評価する【栄養改善加算】の単位数を引き上げる(現行の150単位から200単位に引き上げ)

▽(介護予防)認知症対応型共同生活介護において、管理栄養士(外部連携でも可)による栄養ケアに係る介護スタッフサポート体制等を評価する【栄養管理体制加算】(1月あたり30単位)を新設する



なお、通所リハビリについては「月額単位の包括基本報酬」創設案(日額単位の基本報酬との選択を認める)が浮上していましたが、2021年度改定項目には盛り込まれませんでした。2024年度の次期改定に向けた宿題事項という位置づけになると思われます。



●2021年度介護報酬改定に向けた、これまでの議論に関する記事●
【第1ラウンド】

▽横断的事項▼地域包括ケアシステムの推進▼⾃⽴⽀援・重度化防⽌の推進▼介護⼈材の確保・介護現場の⾰新▼制度の安定性・持続可能性の確保―、後に「感染症対策・災害対策」が組み込まれる)

▽地域密着型サービス(▼定期巡回・随時対応型訪問介護看護▼夜間対応型訪問介護小規模多機能型居宅介護▼看護小規模多機能型居宅介護▼認知症対応型共同生活介護▼特定施設入居者生活介護―)

▽通所系・短期入所系サービス(▼通所介護▼認知症対応型通所介護▼療養通所介護▼通所リハビリテーション短期入所生活介護▼短期入所療養介護▼福祉用具・住宅改修介護―)

▽訪問系サービス(▼訪問看護訪問介護▼訪問入浴介護▼訪問リハビリテーション▼居宅療養管理指導▼居宅介護支援(ケアマネジメント)―)

▽施設サービス(▼介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)介護老人保健施設(老健)介護医療院・介護療養型医療施設—)

【第2ラウンド】
▽横断的事項
(▼人材確保、制度の持続可能性自立支援・重度化防止地域包括ケアシステムの推進―)

▽地域密着型サービス(▼定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、小規模多機能型訪問介護、看護小規模多機能型訪問介護(以下、看多機)認知症対応型共同生活介護、特定施設入居者生活介護―)

▽通所系・短期入所系サービス(▼通所介護・認知症対応型通所介護、療養通所介護通所リハビリテーション、福祉用具・住宅改修短期入所生活介護、短期入所療養介護―)

▽訪問系サービス(▼訪問看護訪問介護、訪問入浴介護訪問リハビリ、居宅療養管理指導居宅介護支援(ケアマネジメント)―)

▽施設サービス(▼介護医療院・介護療養型医療施設介護老人保健施設、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)短期入所生活介護、短期入所療養介護―)

▽横断的事項(その2)(▼地域包括ケアシステムの推進▼自立支援・重度化防止の推進(関連記事はこちら(ADL維持等加算)こちら(認知症対策、看取り対応、科学的介護など)、▼処遇改善、▼人材確保、制度の安定性・持続可能性の確保など―)

▽実態調査(▼介護事業経営処遇改善―)

▽詰めの議論(▼多機能型サービス短期入所系サービス通所系サービス訪問看護「介護医療院・介護療養型医療施設」科学的介護の推進(データ提出)ADL維持等加算ケアマネジメント―)

▽最終調整の議論(▼運営基準見直し、▼GHの夜勤配置・個室ユニット定員の緩和、▼ICT活用した場合の夜勤スタッフ配置緩和等、▼訪問看護―)

審議報告論議



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