「救急活動時における適正な観察」実施徹底を、「死亡している」と先入観持たず、判断に迷う場合は医師の指示を仰げ—総務省消防庁
2024.11.19.(火)
救急業務においては、「意識レベル300、呼吸が全くない、瞳孔の拡散、体温が感じられない、死後硬直等があるといった場合に、傷病者が死亡していると判断する」という一般基準の再確認を行ってほしい—。
また、「死亡している」という先入観を持たず、聴診器などの器材活用、判断に迷う場合は医師の指示を仰ぐなどの点にも留意してほしい—。
総務省消防庁は11月13日に通知「救急活動時における適正な観察の実施について」を示し、こうした点への留意を都道府県等に要請しました(総務省消防庁サイトはこちら)。
聴診器などの器材活用によって心静止を確認することも重要
このほど、救急出動した救急隊が傷病者を「明らかな死亡状態」と判断して医療機関へ搬送せずに引き揚げた後、「体動がある」との警察官からの通報を受けて再度出動し、医療機関へ搬送するという事案が発生しました(結果、患者は死亡)。
事態を重く見た総務省消防庁は、下記の「救急活動時における適正な観察」を実施するべきことを改めて都道府県等に要請しました。
【1】「救急業務において傷病者が明らかに死亡している場合の一般的な判断基準」の再確認(消防実務質疑応答集から抜粋)
▽以下の「すべて」が該当する場合
(1)意識レベル(JCS)が300である
(2)呼吸が全く感じられない
(3)総頸動脈で脈拍が全く触知できない
(4)瞳孔の散大が認められ、対光反射が全くない
(5)体温が感じられず、冷感が認められる
(6)死後硬直または死斑が認められる
【2】「救急業務において傷病者が明らかに死亡している場合の一般的な判断基準」のほか、次の事項についても十分に留意する
▽傷病者の観察にあたっては、「明らかに死亡している」という先入観を持たないこと
▽聴診器、心電計等の観察用資器材を活用し心静止を確認するなど、的確な観察を実施すること
▽判断に迷う場合は指示医師に連絡し、指示・指導・助言を受けること
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