2024年5-9月の熱中症による救急搬送患者は9万7578人で過去最高、120名が死亡、2178名が3週間以上入院—総務省消防庁
2024.10.31.(木)
本年(2024年)5月から9月における熱中症での救急搬送状者は、全国では9万7578名となり、前年度同期と比べて6111名・6.7%増加した。また、2008年の調査開始以降「最も多い搬送人員数」となった—。
高齢者だけでなく成人(18歳以上65歳未満)も33.0%を占め、死亡者(0.1%・120名)・重症者(3週間以上の入院、2.2%・2178名)も決して稀ではなかった—。
総務省消防庁が10月29日に公表した「令和6年(5月―9月)の熱中症による救急搬送状況」から、こういった状況が明らかになりました(総務省消防庁のサイトはこちら)。
猛暑が長引く中、熱中症予防の必要性がさらに高まる
昨今、我が国を猛暑が遅い、熱中症による救急搬送患者が増加しています(総務省消防庁の熱中症による救急搬送状況サイトはこちら)。
今般発表された、本年(2024年)5月から9月における熱中症での救急搬送状者を見ると、全国では9万7578名となり、前年度同期と比べて6111名・6.7%増加したことが分かりました。2008年の調査開始以降「最も多い搬送人員数」となっています。
また、9月が過去最多の、6月、7月が過去2番目の搬送人員数となっています。
同じ期間の熱中症による救急搬送者を年齢区分別に見ると、▼65歳以上の高齢者:57.4%(前年に比べて2.5ポイント増)▼18-64歳の成人:33.0%(同0.8ポイント減)▼7-17歳の少年:9.0%(同1.5ポイント減)▼生後28日-6歳の乳幼児:0.6%(同0.3ポイント減)▼生後28日未満の乳児:0.0%(2名)—となっています。高齢者の搬送が増えていますが、「18-64歳の成人」も3分の1を占めており、「高齢者だけの問題ではない」点に注意する必要があります。
また、初診時における傷病の程度別にみると、▼軽症(入院は必要なし):65.3%(前年に比べて1.9ポイント減)▼中等症(入院、軽症・重症以外):32.0%(同1.9ポイント増)▼重症(3週間以上の入院が必要):2.2%(同0.1ポイント増)▼死亡:0.1%(同増減なし)—となっています。死亡者は割合こそ小さいものの120名も、重症者も2178名もおられます。「重症、死亡」者が稀ではない点にも今後、最大限の留意が必要です。
なお、軽症とは「入院の必要はない」というものですが、「医学的に軽微な症状である」ことを必ずしも意味しない点にも注意すべきでしょう。
発生場所を見ると、▼住居:38.0%(前年に比べて1.9ポイント減)▼道路:19.0%(同2.8ポイント増)—などが多くを占めており、「住居で熱中症になる」ケースが4割近くあります。
高齢者の中には「電気代がかかる、人工的な風が不快である」などの理由でエアコンの使用を控える方もおられます。また、一般に高齢になると「暑さを感じにくくなる」ため、高温や自身の体調変化(脱水など)に気づかない方も少なくありません。家族や近隣居住者などの地域コミュニティを活用しながら、「高齢者がエアコンを使用せず、熱中症になっていないか」を気遣うような環境整備も重要です(厚労省・経済産業省・環境省によるパンフレット「高齢者のための熱中症対策」)。
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