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介護職員不足を感じる特養ホームは75%近く、「即戦力」求める施設では短期間退職が多い傾向―福祉医療機構

2019.8.22.(木)

特別養護老人ホームの75%近くは介護職員等の不足を感じており、介護人材不足が深刻さを増している。3年未満の短期間退職の少ない施設では、▼扶養手当▼都道府県・区市町村の共済(福利厚生)▼福利厚生委託サービス―を実施している。また短期間退職の多い施設では自施設で職員を養成することができず、「即戦力を求める」傾向が強い―。

このような状況が、福祉医療機構(WAM)が8月21日に公表したリサーチレポート「平成30年度『介護人材』に関するアンケート調査の結果について」から明らかになりました(機構のサイトはこちら)(前年度の調査結果はこちら)。

平均11床分のベッドで受け入れ制限、介護人材不足が利用者・経営へも悪影響

従前より介護人材不足が指摘され、さらに少子高齢化が進む中で「介護人材の確保・定着」が極めて重大な課題となっています。厚生労働省は「2025年度には約245万人の介護人材が必要で、これを充足するには毎年6万人程度の人材確保が必要」との推計を行っています(関連記事はこちら)。

こうした中でWAMは、特別養護老人ホーム(853施設)を対象に、介護人材に関するアンケート調査を今年(2019年)3-5月に実施。その結果を分析・公表しました。回答者の施設形態は▼従来型:40.3%▼個室ユニット型:46.0%▼一部個室ユニット型:13.7%—、定員規模は▼29人以下:15.6%▼30-49人:4.9%▼50-79人:40.1%▼80-99人:23.1%▼100人以上:16.3%―という状況です。

まず今年(2019年)3月1日時点の要員状況を聞いたところ、全体の72.9%が「不足している」と回答。前年度調査に比べ、「不足」との回答が8.6ポイント増加、前々年度調査に比べ、同じく26.5ポイント増加しており、WAMは「特養ホームでの要因不足が深刻化いている」と見ています。

また、特養施設全体の4.1%で「本体施設での受け入れ制限」が、8.8%で「併設施設での受け入れ制限」が行われており、要員不足が「介護保険の利用」にも影響を及ぼしています。

 
次にベッドの利用率・空床数を見ると、▼「要員不足なし」施設では96.6%(前年度から0.3ポイント上昇)・2.1床(同0.3床減少)▼「要員が不足しているが、受け入れ制限はしていない」施設では96.6%(同0.4ポイント低下)・2.4床(同0.4床増加)▼「要員が不足しており、本体・一部ユニットで受け入れを制限している」施設では82.2%(同3.1ポイント低下)・13.9床(同2.8床増加)―となっています。単純計算になりますが、約11床(空床数の差)分について「入所者を受け入れず、空床にしている」状況が伺えます。前年度調査に比べて、要員不足施設では、「ベッド利用率の低下」「空床の増加」が進み、経営にも悪影響を及ぼしていると考えられます。
WAM2018年度介護人材調査1 190821
 
さらに、要員不足施設において、「不足要員は何人と考えているのか」また「不足しているのはどの職種と考えているのか」を見ると、不足人数は▼1人:8.8%(前年度に比べて0.6ポイント増加)▼2人以上3人未満:24.1%(同3.1ポイント低下)▼3人以上4人未満:28.5%(同6.0ポイント増加)▼4人以上5人未満:11.1%(同0.2ポイント増加)▼5人以上6人未満:12.7%(同5.7ポイント低下)▼6人以上7人未満:6.6%(同2.6ポイント増)▼7人以上10人未満:3.4%(同0.4ポイント増)▼10人以上:4.8%(同1.1ポイント減)―という状況です。「5人以上の不足」を感じる施設の割合は、前年度に比べて1.6ポイント減少しており、「少しだけ要員が不足している」と感じる施設が多くなっているようです。
 
不足職種(複数回答)としては、▼介護職員:99.0%(前年度と変わらず)▼看護職員:32.6%(同5.8ポイント減少)▼リハビリ専門職:4.3%(同2.6ポイント減少)▼介護助手:3.9%(同0.6ポイント減少)―などとなっており、「介護職員の確保」に依然として苦労していることを再確認できます。
WAM2018年度介護人材調査2 190821
 
さらに、「要員不足感のある業務」(複数回答)としては、▼食事介助:74.4%(前年度から8.1ポイント増加)▼入浴介助:74.0%(同0.5ポイント増加)▼夜勤:69.6%(同5.2ポイント減少)▼排泄介助:55.3%(同1.1ポイント増加)―など、前年度と同じ項目が目立ちます。

 
こうした要員不足感に対し、ほとんどの施設(95.8%)では「求人活動」を行っていますが、すぐに応募・採用と進むものでもありません。そこで、▼時間外労働の増加(50.6%、前年度に比べて2.1ポイント増加)▼労働時間の変更・調整(42.6%、同2.3ポイント増加)▼派遣職員の採用(38.6%、同5.7ポイント増加)▼法人内部での異動(30.5%、同3.5ポイント増加)―などでやりくりしています。こうした「やりくり」をせざるを得ない施設の増加が確認できるとともに、一部の施設では「事業の縮小・廃止」も考えています(5.1%、同1.3ポイント低下)。

体調不良による介護職員等の退職が増加

 人手不足は、▼退職者の発生▼新規入職者の不足―という2つの要素に分けられます。

 前者「退職者」の状況(定年退職を除く)を見ると、2018年度には、施設ごとに▼ゼロ人(退職者なし):2.1%▼1-2人:16.1%▼3-5人:30.1%▼6-8人:19.2%▼9人以上:32.5%―という状況です(前年度調査と集計方法が変更されており、比較できない)。

退職理由(複数回答)を見ると、▼他の介護施設・事業所への転職:52.9%(前年度に比べ8.0ポイント減少)▼体調不良:48.0%(同6.3ポイント増加)▼職場の人間関係:45.9%(同3.4ポイント増加)▼福祉・医療業界以外への転職:29.6%(同3.7ポイント増加)―などが多くなっています。「体調不良」による退職が大きく増加しており、「介護職員の負担軽減」策が急務と言えます。
WAM2018年度介護人材調査3 190821
 

短期間退職の少ない施設では、扶養手当・自治体の共済、福利厚生委託サービスを実施

 後者「新規採用」状況(新卒、平均)を見ると、▼2017年度:1.22人▼2018年度:1.16人▼2019年度:1.00人―と年々減少しています。また、2019年度の採用計画では、平均で「2.41人の採用」を予定していましたが、その実績は「1.00人」で、計画の半数も採用できない厳しい状況にあることを再確認できます。

 また、新卒者以外の2016年度採用実績を見ると、▼ゼロ人(採用なし):11.7%▼1-2人:23.2%▼3-5人:27.8%▼6-8人:15.5%▼9人以上:21.8%―となっています。新卒採用が難しい中で、中途採用に力を入れている状況が伺えます。

 
 正規職員の採用経路としては、▼ハローワーク:94.1%▼法人ホームページ:73.5%▼職員からの紹介:69.2%▼合同説明会参加・出典:56.4%―などが多くなっていますが、「効果」から見ると、対新卒では▼学校訪問(就職課):54.9%▼学校訪問(説明会):37.5%▼資格取得実習受け入れ:36.5%▼養成校教員等の推薦:34.3%—などを推す声が多くなっていますが、「効果あり」との声は前年度調査から減少しています。より効果的な採用経路を、関係者全体で考えることが必要でしょう。

 また対中途で効果の高い採用経路は、▼ハローワーク:64.9%▼人材紹介会社:57.7%▼福祉人材センター:54.1%▼合同説明会参加・出典:44.1%―などです。
WAM2018年度介護人材調査4 190821
 
 ここで、若い職員(40歳未満)の多い施設で特徴的な取り組みとして、WAMは▼合同説明会参加・出展▼一般介護スタッフの採用への関与▼人事考課制度の導入▼資格取得に向けた勉強会の開催▼研修の充実・補助▼事業所内保育所―などをあげています。

 また、短期間退職(3年未満の退職)が少ない施設で特徴的な取り組みとして、WAMは▼扶養手当▼都道府県・区市町村の共済(福利厚生)▼福利厚生委託サービス―の実施に注目しています。
WAM2018年度介護人材調査5 190821
 
さらにWAMでは、「特養が職員に即戦力を求める」傾向の強い施設では、短期間退職が多い点にも注目。この背景には「自施設での職員養成に余裕があるか否か」(余裕のない施設では即戦力を求める)があり、「スタッフが定着しない」→「職員養成ができない」→「短期退職が増える」→「さらに養成能力が低くなる」という負のスパイラルに陥ることにつながります。上述のような取り組みをして、短期退職を防止し、自施設での職員養成能力を高めていくなどの方策が重要でしょう。

 

 

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