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「医療事故再発防止に向けた提言」は医療者の裁量制限や新たな義務を課すものではない―医療安全調査機構

2019.11.6.(水)

すべての医療機関等から報告される医療事故情報をもとに策定してきている「医療事故の再発防止に向けた提言」は、医療従事者の裁量を制限したり、新たな義務を課すものではない。提言については、▼患者の傷病の状況▼患者の年齢▼患者本人や家族の希望▼医療機関の診療体制や規模―などを総合的に勘案して活用してほしい―。

日本で唯一の医療事故調査・支援センター(以下、センター)である日本医療安全調査機構は10月31日にこういった点を明らかにし、医療現場に注意を呼びかけました(機構のサイトはこちら)。

頭部CT撮影、医師が個別具体的に必要と判断した場合に推奨する趣旨

2015年10月より、すべての医療機関の管理者(院長等)には「予期しなかった『医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産』」のすべてをセンターに報告することが義務付けられました【医療事故調査制度】。この制度は「医療事故の再発防止」を目的としたもので、事故事例を集積・分析する中で「具体的な再発防止策などを構築」していくことがセンターに課せられた重要な役割の1つとなっています。

センターは、これまでに医療事故医療事故再発防止に向けて次の9つの提言を行っており、今後も積極的に提言を行っていく見込みです。

◆過去の提言に関する記事
(1)中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析―第1報―
(2)急性肺血栓塞栓症に係る死亡の分析
(3)注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析
(4)気管切開術後早期の気管切開チューブ逸脱・迷入に係る死亡事例の分析
(5)腹腔鏡下胆嚢摘出術に係る死亡事例の分析
(6)栄養剤投与目的に行われた胃管挿入に係る死亡事例の分析
(7)一般・療養病棟における非侵襲的陽圧換気(NPPV)及び気管切開下陽圧換気(TPPV)に係る死亡事例の分析
(8)救急医療における画像診断に係る死亡事例の分析
(9)入院中に発生した転倒・転落による頭部外傷に係る死亡事例の分析



この(9)の提言「入院中に発生した転倒・転落による頭部外傷に係る死亡事例の分析提言」では、▼高齢患者の増加によりベッド等からの転倒・転落事故が増加すると見込まれること▼術後の塞栓予防のために抗凝固剤投与を受けている患者などでは、転倒・転落は、例えば頭蓋内出血などの生命予後を危うくする事態に直結しかねないこと―などを踏まえ、例えば(A)転倒・転落による頭部打撲(疑い含む)の場合、受傷直前の意識状態と比べて明らかな異常を認めなくても、頭部CT撮影を推奨する(B)頭部打撲が明らかでなくても、「抗凝固薬・抗血小板薬を内服している患者」が転倒・転落した場合は、頭蓋内出血が生じている可能性があることを認識する(C)「ベッド柵を乗り越える危険性」のある患者では、転落による頭部外傷予防のため、▼衝撃吸収マット▼低床ベッド―の活用を検討する―ことなどが提案されています。

このうち(A)の「転倒・転落による頭部打撲(疑い含む)の場合、受傷直前の意識状態と比べて明らかな異常を認めなくても、頭部CT撮影を推奨する」という提案内容に対し、医療現場からは「頭部打撲の疑いがある事例『全例』について頭部CT撮影を義務付けるものなのか」という懸念の声が寄せられているといいます。

CT撮影は医療被曝にもつながり、またCT撮影装置を保有していない医療機関では「CT撮影のための搬送を常に行うべきなのか」という疑問も生じます。

センターではこうした懸念・疑問に応える必要があると考え、今般、次のような点を明確にするとともに、頭部CTは「医師が個別具体的に必要と判断した場合に、撮影を推奨する」趣旨であることを強調しています。

▽「医療事故の再発防止に向けた提言」は、「死亡に至ることを回避する」という視点からの考え方を示したものであり、医療従事者の裁量を制限するものでも、新たな義務を課すものでもない

▽提言は、▼患者の傷病の状況▼患者の年齢▼患者本人や家族の希望▼個々の医療機関の診療体制・規模―などを総合的に勘案して活用してほしい
 
 
 

 

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