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重症スギ花粉症への「ゾレア皮下注」用いた治療、最適使用推進ガイドライン等遵守を―厚労省

2019.12.17.(火)

気管支喘息等治療薬「ゾレア皮下注」について、「季節性アレルギー性鼻炎」、つまり花粉症への効能効果が拡大されたが、非常に高額な薬剤であることから、対象患者を「重症のスギ花粉症で、既存治療で効果が不十分な患者」に限定するなどの「最適使用推進ガイドライン」が作成されている―。

本剤を保険診療で用いる場合には、この最適使用推進ガイドラインを遵守するとともに、必要事項をレセプトの摘要欄に記載しなければならない―。

厚生労働省は12月11日に通知「ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項について」を発出し、こうした点について注意を呼びかけました(厚労省のサイトはこちら)。

「本剤の十分な知識を有し、花粉症診断・治療に精通する医師がいる施設」でのみ使用可

既存治療が十分に効かない気管支喘息・特発性慢性蕁麻疹の治療に用いる「オマリズマブ(遺伝子組換え)」(販売名:ゾレア皮下注用75mg、同150mg、ゾレア皮下注75mgシリンジ、同150mgシリンジ)について、「既存治療で効果不十分な重症・最重症の季節性アレルギー性鼻炎」への効能効果追加が承認されました。

本剤については高額な薬価が設定され、例えばゾレア皮下注用150mgでは1瓶当たり4万6422円となっていることから、「1回当たり600㎎を2週間ごと投与する」となると、1か月で37万円余り、花粉の多く飛ぶ2-5月にこの量で使用したとすれば1人当たりの薬剤費は150万円弱となります。

「国民病」となっている季節性アレルギー性鼻炎(つまり花粉症)に本剤が広く使用されれば、薬剤費が大きく膨らんでしまうことから、「本剤を適正使用する」ための最適使用推進ガイドラインが作成されました。ガイドライン案は11月13日の中央社会保険医療協議会・総会で報告されており、すでにGem Medでもお伝えしていますが、次の要件をすべて満たす医療機関のみで使用が認められます。

▽次の要件を満たす「季節性アレルギー性鼻炎の病態、経過と予後、診断、治療(参考:鼻アレルギー診療ガイドライン)を熟知し、本剤についての十分な知識を有し、季節性アレルギー性鼻炎の診断・治療に精通する医師」が、本剤に関する治療の責任者として配置されていること

【成人季節性アレルギー性鼻炎患者に投与する場合】(いずれかを満たす)
▼初期臨床研修修了後に、4年以上の耳鼻咽喉科診療の臨床研修を行っている
▼初期臨床研修修了後に、4年以上の臨床経験を有し、うち3年以上「季節性アレルギー性鼻炎を含むアレルギー診療の臨床研修」を行っている

【小児季節性アレルギー性鼻炎患者に投与する場合】(いずれかを満たす)
▼初期臨床研修修了後に、4年以上の耳鼻咽喉科診療の臨床研修を行っている
▼初期臨床研修修了後に、「3年以上の小児科診療の臨床研修、かつ3年以上の季節性アレルギー性鼻炎を含むアレルギー診療の臨床研修」を含む4年以上の臨床経験を有している

▽「製造販売後の安全性・有効性を評価するための製造販売後調査」を適切に実施できること

▽製薬企業等からの有効性・安全性等の薬学的情報の管理や、有害事象が発生した場合の適切な対応・報告業務等を速やかに行うなどの医薬品情報管理、活用の体制が整っていること

▽喘息等を合併する患者に本剤を投与する場合に、アレルギー性疾患担当医と連携し、その疾患管理の指導・支援を受ける体制が整っていること

▽アナフィラキシー等の副作用に対し、自施設または近隣医療機関の専門医と連携し、副作用の診断・対応に関する指導・支援を受け、直ちに適切な処置ができる体制が整っていること



また対象患者については、次のような「限定」がかけられました。

▽「鼻アレルギー診療ガイドライン」を参考に「スギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎の確定診断」がなされている

▽初回投与前のスギ花粉抗原に対する血清特異的IgE抗体がクラス3以上(FEIA法で3.5UA/mL以上、CLEIA法で13.5ルミカウント以上)である

▽過去にスギ花粉抗原の除去と回避を行った上で、医療機関で「鼻アレルギー診療ガイドライン」に基づき、鼻噴霧用ステロイド薬・ケミカルメディエーター受容体拮抗薬による治療を受けたものの、コントロール不十分な鼻症状が1週間以上持続したことが診療録、問診等で確認できる

▽12歳以上で、体重・初回投与前血清中総IgE濃度が投与量換算表で定義される基準を満たす

▽投与開始時点で、季節性アレルギー性鼻炎とそれ以外の疾患が鑑別され、本剤の投与が適切な季節性アレルギー性鼻炎であると診断されている



さらに「投与期間」について、▼スギ花粉の飛散時期(概ね2-5月)を考慮する▼既に発現しているアレルギー症状を速やかに軽減する薬剤ではなく、季節性アレルギー性鼻炎の「症状発現初期」の投与開始が望ましい▼臨床試験で「12週以降」の使用経験は無いため、12週以降の継続投与は必要性を慎重に判断する―ことが示されました。

レセプトの摘要欄に「患者の状態」や「本剤使用の理由」など記載を

今般の通知では、本剤を保険診療で使用する場合には、こうした最適使用推進ガイドラインを遵守するとともに、次のような点に留意することを求めています。

▽最適使用推進ガイドラインに従い、有効性・安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、「本製剤の恩恵を強く受ける」と期待される患者に対して使用するとともに、副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定要件を満たす医療機関で使用する

▽本剤投与で「合併する他のアレルギー性疾患の症状が変化する」可能性があり、▼本剤の投与状況を「合併する他のアレルギー性疾患を担当する医師」に連絡するなど、適切な連携体制を取れる▼その疾患管理に関して指導・支援を受ける体制が整っている―施設で投与する

▽本剤について「12週以降の使用経験は無い」ため、本剤をスギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎に12週以降も継続して投与する場合は「患者の状態」「原因花粉抗原の飛散時期」を考慮し、必要性を慎重に判断する

▽本剤投与前に「既存治療を行ってもコントロール不十分な鼻症状が1週間以上持続する」ことを同一の医療機関で確認し、その後、血清中総IgE濃度を検査し、当該濃度を基に投与量を設定する。本剤の投与対象は「スギ花粉抗原に対する血清特異的IgE抗体がクラス3以上(FEIA法で3.5UA/mL以上またはCLEIA法で13.5ルミカウント以上)の患者」である

▽アレルゲン免疫療法(減感作療法)は長期寛解も期待でき、その説明を患者に十分に行う

▽本剤の投与開始に当たっては、次の事項をレセプトの摘要欄に記載する
▼最適使用推進ガイドラインに規定される「季節性アレルギー性鼻炎の病態、経過と予後、診断、治療(参考:鼻アレルギー診療ガイドライン)を熟知し、本剤についての十分な知識を有し、季節性アレルギー性鼻炎の診断・治療に精通する医師」が、本剤に関する治療の責任者として配置されている施設である旨(上述)
▼投与量設定に用いた血清中総IgE濃度、および当該検査の実施年月日
▼患者が「スギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎」であると判断した理由
▼「前」スギ花粉シーズンにおける鼻症状(くしゃみ発作の1日回数、擤鼻の1日回数、鼻閉の状態)、および本剤投与時における鼻症状(同)
▼「前」スギ花粉シーズンに治療に用いた鼻噴霧用ステロイド・ケミカルメディエーター受容体拮抗薬の成分名、および1日投与量
▼既存治療で効果不十分と判断した理由
▼アレルゲン免疫療法(減感作療法)に関する説明内容

▽本剤の継続投与に当たっては、次の事項をレセプトの摘要欄に記載する
▼本製剤の前回投与時および当該継続投与時における鼻症状くしゃみ発作の1日回数、擤鼻の1日回数、鼻閉の状態)
▼本製剤と併用しているヒスタミンH1受容体拮抗薬の成分名および1日投与量
▼12週間を超えて本剤を投与する場合は、継続して投与することが必要かつ適切と判断した理由

【更新履歴】通知の名称が誤っておりました。お詫びして訂正いたします。本文は修正済です。
 
 

 

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