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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

2020年度の新卒看護師の給与、高卒+3年課程で26万2277円、大卒で27万292円―日看協

2021.4.22.(木)

日本看護協会は4月21日に「2020年病院看護実態調査報告書」を公表しました(日看協のサイトはこちら)。

すでに3月26日に速報が公表され、Gem Medでも紹介しております。今般、速報に盛り込まれなかった内容、Gem Medで報じきれなかった内容について、気になる部分をピックアップしてみます。

看護職員の離職、東京圏・大阪圏で依然として高い

日看協は毎年、病院看護職員の需給動向や労働状況、看護業務の実態などを調査(病院看護実態調査)しています。

速報では、2019年度における看護職の離職率が▼正規雇用で11.5%(前年度から0.8ポイント上昇)▼新卒で8.6%(同0.8ポイント上昇)―と過去10年間で最も高い数値となったことが紹介されました。

都道府県別の離職率を見てみると、次のような状況です。

【離職率の高い地域】
●正規雇用

▽東京都:14.9%
▽千葉県:14.3%
▽兵庫県:14.2%

●新卒
▽愛媛県:12.7%
▽香川県:12.2%
▽東京都:12.1%

【離職率の低い地域】
●正規雇用

▽青森県:5.6%
▽秋田県:6.7%
▽富山県:7.4%
▽鳥取県:7.4%
▽徳島県:7.4%

●新卒
▽山形県:3.1%
▽富山県:3.3%
▽福井県:3.4%

都道府県別の看護職員離職率(その1)(2020年病院看護実態調査報告書1 210421)

都道府県別の看護職員離職率(その2)(2020年病院看護実態調査報告書2 210421)



首都圏・大阪圏で離職率が依然として高く、「医療機関が数多くあるために、離職しても、すぐに次の職が見つかる」点が大きく関係していると思われます。ただし、それ以外の地域でも相当程度のバラつきがあり、「離職防止対策」などを詳しく見ていく必要があるでしょう。

2020年度の新卒看護師の給与、大卒では27万292円に

次に看護職員の労働条件を見てみましょう。

まず給与については、次のようになっています。

●2020年度採用の新卒看護師の初任給
▽高卒+3年課程:基本給(平均):20万2289円、税込給与(平均):26万2277円
▽大卒:基本給(平均):20万8918円、税込給与(平均):27万292円

●勤続10年(31-32歳)・非管理職の給与
▽基本給(平均):24万4587円、税込給与(平均):31万8916円

設置主体別、病床規模別、都道府県別にバラつきがあるとともに、「手当」の差異が大きくなっています。

例えば設置主体別に基本給(高卒+3年課程)を見ると、▼日本赤十字社:21万8529円▼社会保険関係団体(例えば国家公務員共済病院(KKR)など):21万6956円—が高くなっていますが、諸手当を加味した税込給与(同)では▼個人病院:29万1078円▼私立学校法人(私大病院など):27万4385円—が高くなっています。

病院設置主体別の新卒看護師の給与(高卒+3年課程)(2020年病院看護実態調査報告書3 210421)



一方、大卒では、基本給は▼社会保険関係団体:22万8194円▼日赤:22万3902円—が高くなっていますが、諸手当を加味した税込給与(同)では▼個人病院:29万6621円▼日赤:28万2662円—で高くなりました。

病院設置主体別の新卒看護師の給与(大卒)(2020年病院看護実態調査報告書4 210421)



また労働時間等は次のようになっています。
▽1週間当たりの所定労働時間は、平均38.9時間で、「40時間」(40.5%)、「38-39時間」(25.9%)が多い

▽超過勤務時間(2020年9月)は平均4.4時間で、「1-4時間」(34.7%)、「4-7時間」(20.7%)、「0-1時間」(12.2%)が多い

▽就業規則上の就業形態は、「4週に8日の休日」(47.9%)、「毎週必ず2日の休日」(25.5%)が多い

▽年次有給休暇の取得率は平均60.5%で、「50-60%」(15.2%)、「60-70%」(14.5%)、「40-50%」(13.0%)が多い

なお、夜勤等についてはすでにお伝え済です。

市区町村事業の「産後ケア事業」実施は病院の11.0%にとどまる

助産師の配置状況(1病院あたり平均)を見ると、2020年10月1日時点で、助産師免許保持者(正規雇用)は6.4人(非正規を含めると7.2人)で、うち▼産科関連病棟配置(正規):4.6人▼アドバンス助産師((CLoCMIPレベルIII認証)(正規):1.5人—となりました。

また、助産師配置病院において、院内助産の実施割合は12.2%(標榜ありはこのうちの60.9%)、助産師外来の実施割合は37.5%(標榜ありはこのうちの67.4%)となっています。

一方、「産後ケア事業」(市町村事業として、出産後の母子の心身の状態に応じた保健指導、療養に伴う世話または育児に関する指導、相談その他の援助などを行う)の実施状況を見ると、実施中は11.0%、検討中は2.2%にとどまり、64.4%では未実施となっています。

ただし未実施病院でも、ごく一部ながら「独自の産後ケア事業」を行っています(実施中が1.3%、検討中が0.5%)。

より積極的な「産後ケア事業」への参画に期待が集まります。



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