2020年末、全看護師の4.9%(常勤換算では4.6%)が訪問看護ステーションに勤務―厚労省
2022.1.31.(月)
2020年末時点で、就業している看護師は128万911人で、2年前に比べ6万2305人・5.1%増加した。また人口10万人に対して1015.4人となり、同じく51.6人増加した―。
また訪問看護ステーションに勤務する看護師は5万1740人で、看護師全体の4.9%となり、2年前に比べて0.7ポイント増加した。常勤換算ベースでは4.6%(同0.6ポイント増加)となっている―。
こういった状況が、厚生労働省が1月27日に公表した2020年の「衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)
訪問看護ステーションに勤務する看護師、全体の4.9%に増加しているが・・・
2020年末時点における就業保健師などの人数を見ると、▼保健師:5万5595人(2年前に比べて2640人・5.0%増加)▼助産師:3万7940人(同1029人・2.8%増加)▼看護師:128万911人(同6万2305人・5.1%増加)▼准看護師:28万4589人(同1万9890人・6.5%減少)―となっています。
また人口10万対で見ると、▼保健師:44.1人(2年前に比べて2.2人・5.3%増加)▼助産師:30.1人(同0.9人・3.1%増加)▼看護師:1015.4人(同51.6人・5.4%増)▼准看護師:225.6人(同15.2人・6.3%減)―という状況です。准看護師の減少は、看護師(正看護師)への移行が進んでいることなどが背景にあります。
次に「業看護師がどこで勤務しているのか」を見てみましょう。実人員ベースでは、▼病院:69.0%(88万3715人)▼診療所:13.2%(16万9343人)▼介護保険施設:7.9%(10万701人)▼訪問看護ステーション:4.9%(6万2157人)▼社会福祉施設:1.7%(2万2021人)▼看護師等学校養成所または研究機関:1.4%(1万7519人)―などとなりました。
常勤換算数ベースでは、▼病院:72.2%(84万6036.3人)▼診療所:11.5%(13万5240.4人)▼介護保険施設:7.1%(8万2697.4人)▼訪問看護ステーション:4.6%(5万3404.2人)▼社会福祉施設:1.6%(1万8332.5人)▼看護師等学校養成所または研究機関:1.4%(1万6868.1人)―などという状況です。
訪問看護ステーションに勤務する看護師の割合を経年的に見ると、次のようになっています。
【2014年末】実人員ベース:3.6%、常勤換算ベース:3.0%
↓
【2016年末】実人員ベース:3.7%、常勤換算ベース:3.3%
↓
【2018年末】実人員ベース:4.2%、常勤換算ベース:4.0%
↓
【2020年末】実人員ベース:4.9%、常勤換算ベース:4.6%
徐々に増加はしているものの、「地域包括ケアシステムの要」としては心もとない数字と言わざるを得ません。厚労省は、類似の診療報酬改定・介護報酬改定で「訪問看護ステーションの評価充実」に力を入れています。2022年度の次期診療報酬改定に向けても、例えば▼機能強化型訪問看護ステーションの強化▼専門性の高い看護師の訪問評価充実―などを予定しています。さらに「訪問看護に従事する看護師」が増加することに期待が集まります。
人口10万対の看護師配置、最多は高知、最少は埼玉で、依然として2.2倍の格差
また、都道府県別に人口10万人対の就業看護師数を見ると、最も多いのは高知県で1623.4人(2年前に比べて112.4人増)。ほか、鹿児島県の1476.0人(同81.7人増)、佐賀県の1403.6人(同68.2人増)と続きます。
逆に最も少ないのは埼玉県で736.9人(同43.3人増)。ほか、千葉県の770.0人(同47.3人増)、神奈川県791.8人(同53.4人増)で少ない状況です。
最多の高知県と最少の埼玉県との間には、依然として「2.2倍の開き」があります。またトップ3、ワースト3の顔ぶれは2年前・4年前と変わっていません。医療機関の施設数などと近似した分布になっており、今後、地域医療構想の実現を急ぐ中で「看護職員の適正配置(偏在の是正)」にもしっかりと目を向ける必要があるでしょう。
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