訪問看護の医療保険レセプト、2024年5月請求分よりオンライン請求をスタート—厚労省
2023.1.5.(木)
Gem Medで報じているとおり、来年(2024年)5月請求分(4月診療分)より、訪問看護ステーションにおいてもレセプトのオンライン請求・オンライン資格確認がスタートします(関連記事はこちら)。
円滑な訪問看護レセのオンライン請求に向けて厚生労働省は周知用の資料を12月28日に公開しました。
訪問看護ステーションでは、社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険連合会への医療保険レセプト請求を専用回線を用いて行うことになります。オンライン請求により、訪問看護ステーションには▼レセプトの印刷・発送作業が不要となる▼レセプト請求の受付時間が長くなる▼資格過誤による返戻レセプトが減少する▼審査後に返送される還元帳票が電子データで一元管理できるようになる—というメリットが生まれます。
さらに、オンライン請求とあわせて「オンライン資格確認」も可能となります。これにより、患者の「過去の医療情報」(どのような医薬品を服用しているのか、どのような傷病で、どのような治療を受けたのかなど)を、患者同意の下で確認できることとなり、より安全かつ有益な医療・看護提供が可能になると期待されます。現在のオンライン資格確認等システムは「医療機関の窓口」においてマイナンバーカードを用いて行うものですが、訪問看護や訪問診療などの患者向けの仕組みが今後開発されます(2024年4月スタート予定、関連記事はこちら)。このオンライン資格確認のためのコスト(カードリーダーやシステム改修費用など)には公費による補助が行われる見込みで、詳細は今後示されます。
厚労省は、訪問看護ステーションにおいて「どのようなスケジュールで、どのような機器導入・システム改修などが必要になるのか」を明らかにしています。これまで「医療保険分の訪問看護レセプト作成をパソコン等の端末で行っていない」事業所では、新たにレセプト作成・請求用の端末(いわゆるレセコン)を新規購入したり、システム事業者(いわゆるベンダー)との新規契約が必要になるケースも出てきます。
また、現場からの疑問にも例えば次のような回答を行っています。
▽介護保険請求と医療保険請求とでは、オンライン請求に使用するネットワーク回線が異なる(医療保険請求では専用回線を用いる)
▽介護保険請求方法に変更はない。ただし、同じパソコンで介護保険請求と医療保険請求を行う場合には、ネットワーク回線の切り替え等が必要となる可能性がある
▽オンライン請求とオンライン資格確認は1台のパソコンで実施可能であり、オンライン資格確認用として端末を導入する場合には導入費用が補助対象となるよう調整中である(詳細は別途示される)
▽オンライン請求を開始するための初期費用は事業所によって異なるが、例えばネットワーク回線の敷設とオンライン請求用端末の購入が必要な訪問看護事業所では「約11万2900円」(電子証明書発行料:1500円+郵送費用、ネットワーク回線敷設費用:約1万1400円、 オンライン請求端末購入費用:約10万円)に、別途システム改修費用(金額はシステムベンダによって区々)がかかるイメージである
▽オンライン請求を行う場合の、毎月のネットワーク回線の費用は事業所によって異なるが、一般的なIP-VPN接続を利用する場合には「回線使用料」(月6000円)+インターネットプロバイダ料金(事業者によって区々)がかかるイメージである
現在、調整中の部分(補助の内容、届け出の詳細、スケジュールの詳細など)もあり、今後、随時、情報提供が行われていきます。
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