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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

糖尿病治療薬「フィアスプ注」のゲル化原因判明!薬剤が37度以上にならないよう暖房やカイロなどに使づけないこと!―PMDA

2023.2.17.(金)

糖尿病治療薬「フィアスプ注」をインスリンポンプで使用する際に「薬剤がゲル化→必要量が投与されず、高血糖等を引き起こす危険がある」ことが判明しているが、その原因として「インスリンポンプ使用時の温度上昇、機械的振動に相当するストレスが加わった結果、ゲル化する可能性」が明らかになった—。

同剤をインスリンポンプで使用する場合には、▼摂氏37度を超える高温を避ける▼インスリンポンプのリザーバーに充填されたインスリンは「6日以内」または「取扱説明書記載期間」の短い方で交換する▼インスリンポンプの動作状況・患者自身の血糖コントロール状況を確認する▼注射液中に変化(付着物、浮遊物など)が見られた場合には、ポンプの部品 (リザーバー・チューブ)を交換する▼ペンフィル・フレックスタッチに充填された注射液をシリンジで抜き取らない—よう、医師から患者へ十分に指導してほしい—。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は2月17日に、製薬メーカーからの適正使用等に関する情報提供として「『フィアスプ注』インスリンポンプでの適正使用のお願い(続報)」を公表しました。医療機関・薬局において最大限の留意が必要です(PMDAのサイトはこちら)。

不具合時に備えて「別のインスリン注射手段を携行する」ことが重要

「フィアスプ注100単位/mL」(一般名:インスリン アスパルト(遺伝子組換え))は「インスリン療法が適応となる糖尿病」治療薬で、2020年2月に販売開始されました。

添付文書によれば▼必要に応じポータブルインスリン用輸液ポンプを用いて投与する▼持続皮下インスリン注入療法(CSII療法)に用いる場合は、ポータブルインスリン用輸液ポンプの取扱説明書に記載された器具を用いる―旨が記載されています。

また同成分の「フィアスプ注フレックスタッチ」「フィアスプ注ペンフィル」も販売されています。後述するように、こちらの製剤では「カートリッジ内に充填された注射液をシリンジで抜き取って使用する」ことはできません。



これら製剤について、昨年(2022年)2月までに▼フィアスプペンフィルから注射液を抜き取ってインスリンポンプに充填し投与(誤った使用方法である)した患者において、インスリンポンプにセットされた注射液にゲル化がみられ、重篤な高血糖に至った▼「フィアスプ注100単位/mL」で注射液のゲル化がみられた—などの不具合が報告され、メーカーやPMDAは「注射液中に付着物、浮遊物、塊、薄片などが見られた場合には使用しない」ことなどを患者へ十分に指導するよう医療現場に注意喚起を行いました(関連記事はこちら)。



この点、製薬メーカーで各種情報をもとにゲル化の原因究明に関する試験を行ったところ、「インスリンポンプでの使用時に▼温度の上昇が加わる▼機械的振動に相当するストレスが加わる—場合にゲル化が生じる可能性がある」ことが判明しました。

あわせて「リザーバーに充填されたフィアスプ注は6日以内であれば安定している」ことも確認されました。

フィアスプ注ゲル化の原因



製薬メーカーは、こうした試験結果などをもとに「フィアスプ注をインスリンポンプで使用する場合」には次の点に十分に留意するよう、改めて注意喚起(根拠に基づく注意喚起)を行っています。医師や薬剤師から患者に対し、十分かつ丁寧に指導・助言することが強く求められます。

▽インスリンポンプに充填して使用する際は「摂氏37度を超える高温」を避ける
→例えば、ポンプを暖房器具やカイロなどの熱源に近づけないなど

▽インスリンポンプのリザーバーに充填されたインスリンは、「6日以内」、または「ポンプの取扱説明書の期日」のいずれか短い方の期間で交換する

▽インスリンポンプの動作状況・患者自身の血糖コントロール状況を確認する

▽インスリンポンプ内の注射液中に変化(付着物、浮遊物など)が見られた場合は、ポンプの部品(リザーバーまたはチューブ)を交換し、これまで使用していたフィアスプ注バイアル製剤は使用せず、新しいフィアスプ注バイアル製剤に変更する

▽適切に動作しない場合に備え、他のインスリン注射手段(ペン型インスリン注入器製剤等)を携帯する

▽フィアスプ注ペンフィル、フィアスプ注フレックスタッチは「インスリンポンプ」では使用できず、ペンフィル・フレックスタッチに充填された注射液をシリンジで抜き取らない

フィアスプ注使用時の注意事項



例えば「注射液のゲル化」を放置した場合、「インスリンポンプ内で閉塞してしまう」→「必要量のインスリンが投与されない」→「重篤な高血糖関連事象が生じる」可能性があります。繰り返しになりますが、医師・薬剤師は上記について患者へ懇切丁寧に説明することが強く求められます。



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