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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

極めて多くの高血圧症治療薬で「胎児への悪影響」の可能性、知らずに服用続ける妊婦等に必要な情報提供を—厚労省

2023.5.15.(月)

厚生労働省は5月9日に事務連絡「アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤含有製剤、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤及び直接的レニン阻害剤の添付文書等に記載する『使用上の注意』の改訂に係る患者向け資材の活用について」を示し、医療現場等での活用を呼びかけました(厚労省サイトはこちら)。



Gem Medでも報じているとおり、ミカルディスやディオバンなど極めて多くの高血圧症治療薬について「妊婦が服用した場合に、胎児に悪影響が出る」可能性が判明し、▼妊娠している可能性のある女性には慎重な投与が求められる(代替薬を検討し、仮に使用する場合には「治療上の効果 > 危険性」となることを慎重に判断する)▼服用患者が「妊娠していないか」を定期的に確認する▼妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止する—ことなどの注意喚起が行われました。

【対象薬剤の例】
・アジルサルタン(販売名:アジルバ10mg、同錠20mg、同錠40mg、顆粒1%、ほか後発品多数)
・アジルサルタン・アムロジピンベシル酸塩(販売名:ザクラス配合錠LD、同錠HD、ほか後発品(ジルムロ配合錠)多数)
・アラセプリル(販売名:セタプリル錠25mg、ほか後発品あり)
・アリスキレンフマル酸塩(販売名:ラジレス錠150mg)
・イミダプリル塩酸塩(販売名:タナトリル錠2.5、同錠5、同錠10、ほか後発品多数)
・イルベサルタン(アバプロ錠50mg、同錠100mg、同錠200mg、イルベタン錠50mg、同錠100mg、同錠200mg、ほか後発品多数)
・イルベサルタン・アムロジピンベシル酸塩(販売名:アイミクス配合錠LD、同錠HD、ほか後発品(イルアミクス配合錠)多数)
・イルベサルタン・トリクロルメチアジド(販売名:イルトラ配合錠LD、同錠HD)
・エナラプリルマレイン酸塩(販売名:レニベース錠2.5、同錠5、同錠10、ほか後発品多数)
・オルメサルタン メドキソミル(販売名:オルメテックOD錠5mg、同錠10mg、同錠20mg、同錠40mg、ほか後発品多数)
・オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン(販売名:レザルタス配合錠LD、同錠HD)
・カプトプリル(販売名:カプトリル−Rカプセル18.75mg、カプトリル錠12.5mg、同錠25mg、同細粒5%、ほか後発品あり)
・カンデサルタン シレキセチル(販売名:ブロプレス錠2、同錠4、同錠8、同錠12、他後発品多数)
・カンデサルタン シレキセチル・アムロジピンベシル酸塩(販売名:ユニシア配合錠LD、同錠HD、ほか後発品(カムシア配合錠)あり)
・カンデサルタン シレキセチル・ヒドロクロロチアジド(販売名:エカード配合錠LD、同錠HD、ほか後発品(カデチア配合錠)あり)
・テモカプリル塩酸塩(販売名:エースコール錠1mg、同錠2mg、同錠4mg、ほか後発品多数)
・デラプリル塩酸塩(販売名:アデカット7.5mg錠、同15mg錠、同30mg錠)
・テルミサルタン(販売名:ミカルディス錠20mg、同錠40mg、同錠80mg、ほか後発品多数)
・テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩(販売名:ミカムロ配合錠AP、同錠BP、ほか後発品(テラムロ配合錠)多数)
・テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩・ヒドロクロロチアジド(販売名:ミカトリオ配合錠)
・テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド(販売名:ミコンビ配合錠AP、同錠BP、ほか後発品(テルチア配合錠)あり)
・トランドラプリル(販売名:オドリック錠0.5mg、同錠1mg、ほか後発品あり)
・バルサルタン(販売名:ディオバン(OD)錠20mg、同錠40mg、同錠80mg、同160mg、ほか後発品多数)
・バルサルタン・アムロジピンベシル酸塩(販売名:エックスフォージ配合(OD)錠、ほか後発品(アムバロ配合錠)多数)
・バルサルタン・シルニジピン(販売名:アテディオ配合錠)
・バルサルタン・ヒドロクロロチアジド(販売名:コディオ配合錠MD、同錠EX)
・ベナゼプリル塩酸塩(販売名:チバセン錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg、ほか後発品あり)
・ペリンドプリルエルブミン(販売名:コバシル錠2mg、同錠4mg、ほか後発品あり)
・リシノプリル水和物(販売名:ロンゲス錠5mg、同錠10mg、同錠20mg、ほか後発品多数)
・ロサルタンカリウム(販売名:ニューロタン錠25mg、同錠50mg、同錠100mg、ほか後発品極めて多数)
・ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド(販売名:プレミネント配合錠LD、同錠HD、ほか後発品(ロサルヒド配合錠)多数)
・サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(販売名:エンレスト錠50mg、同錠100mg、同錠200mg)

▽妊娠していることが把握されずに、これらの薬剤(アンジオテンシン変換酵素阻害剤・アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤)を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡など)が認められた例が報告されている

▽妊娠する可能性のある女性に投与する場合には、本剤投与に先立ち代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、「治療上の有益性 > 危険性」と判断される場合にのみ投与する

▽投与が必要な場合には次の注意事項に留意する
▼本剤投与開始前に「妊娠していない」ことを確認し、投与中も「妊娠していない」ことを定期的に確認する。妊娠が判明した場合には直ちに投与を中止する
▼次の事項を本剤投与開始時に患者に説明し、投与中も必要に応じ説明する
・妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがある
・妊娠が判明した、疑われる場合は、速やかに担当医に相談する
・妊娠を計画する場合は、担当医に相談する



併せて厚労省は、上記を踏まえた「患者等への説明文書の雛形」を作成。医療現場において、これらを活用し患者等に十分な説明を行うことを求めています。

ミカルディスやディオバンなど多くの高血圧症治療薬、妊婦が服用すると「胎児に悪影響が出る」可能性



高血圧症治療薬は「何年にもわたって服用する」医薬品です。このため「投与中の患者が妊娠する」可能性も高く、病院・診療所・薬局のすべての関係者が、患者の状況をしっかりと把握し、十分に情報提供などを行うことが求められます。例えば、情報提供がなされた5月9日の直前に対象薬剤を投与された患者は、上記の旨を知らずに「1か月間服用し続ける」可能性があります。既に妊娠している女性や、この間に妊娠する女性がおられることも考えられ、上記薬剤を投与した患者(妊娠している、妊娠する可能性のある患者)を追跡・把握し、上記の情報提供や、必要に応じた医療機関等の受診勧奨を行うことなども重要です。



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