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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

市区町村別の医療・介護データ(要介護者の状況、医療・介護提供体制の状況等)を公表、地域包括ケアシステム構築急げ―日医総研

2023.8.22.(火)

日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は8月14日、ワーキングペーパー「地域の医療介護提供体制の現状—市区町村別データ集(地域包括ケア関連)—(2023年4月第6版)」を公表しました(日医総研のサイトはこちら)。

いわゆる団塊世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年に向けて「地域包括ケアシステム」を各地域で構築することが強く求められています。

地域包括ケアシステムは、要介護度が高くなっても可能な限り住み慣れた地域で生活できるよう、地域において▼医療▼介護▼予防▼住まい▼生活支援―の各サービスを整備し、それを有機的に結合する体制です。

しかし2025年を目前に迎えた現在においても「全国津々浦々に整備が進んでいる」状況とは言い難いのが実際です。

日医総研では、地域ごとの「地域包括ケアシステム」構築に資するよう、最新の市区町村別の人口動態、医療施設、病床、医療従事者、介護施設、介護職員など「地域包括ケアシステムを支える医療資源・介護資源」の多寡を実数と人口当たりの指標を用いて示しました。先にGem Medで報じた「地域の医療提供体制の現状―都道府県別・二次医療圏別データ集―(2023年4月)」とセットで、「地域の医療・介護提供体制の在り方をどう考えるか」「自院、自施設の将来像をどう考えるか」に役立てることができます。

例えば、介護ニーズについて「高齢化率」「要介護認定率」「要介護認定者に占める要介護3以上(重度者)の比率」を北海道と東京都で比較すると次のような状況です(偏差値、つまり全国平均を50として、そこからどれだけ高いか、低いかなどを見てみる)。

【高齢化率】
▽北海道:偏差値「55」
▽東京都:偏差値「43」

【要介護認定率】
▽北海道:偏差値「50」
▽東京都:偏差値「50」

【要介護認定者に占める要介護3以上(重度者)の比率】
▽北海道:偏差値「39」
▽東京都:偏差値「51」

これらの数字を眺めると「北海道では高齢化がやや進んでいるが、要介護3以上の重度者は少ない」「東京都は高齢化の進行が遅いが、要介護3以上の重度者が多い」ように見えます。



しかし市町村ごとに見ると、同じ北海道・東京都の中でも状況はまちまちであることが分かります。

【高齢化率】
▽北海道:最も偏差値が高いのは歌志内市の「81」、最も低いのは千歳市の「43」
▽東京都:最も偏差値が高いのは西多摩郡檜原村の「81」、最も低いのは中央区、小笠原村の「32」

【要介護認定率】
▽北海道:最も偏差値が高いのは夕張市、増毛郡増毛町の「55」、最も低いのは千歳市などの「48」
▽東京都:最も偏差値が高いのは利島村、新島村の「56」、最も低いのは稲城市の「47」

【要介護認定者に占める要介護3以上(重度者)の比率】
▽北海道:最も偏差値が高いのは上川郡下川町の「84」、最も低いのは利尻郡利尻富士町の「23」
▽東京都:最も偏差値が高いのは青ヶ島村の「148」、最も低いのは八王子市の「37」



このように、同じ都道府県の中でも、「高齢化率」「要介護認定率」「要介護認定者に占める要介護3以上(重度者)の比率」には非常に大きなバラつきがあります。同様に医療・介護資源(医療機関数、医療従事者数、介護施設・事業者数、介護スタッフ数など)にも大きな差があります。あわせて将来の動向にも差があります。「高齢化がピークを迎えたのか、これから迎えるのか?」「さらにその先にどう動くのか」も勘案して、地域ごとに医療・介護提供体制の在り方を考えていく必要があります。

日医総研では、地域ごとのデータにとどまらず、「医療・介護の需要」「医療・介護の供給」に関する分析も行っています。

こうしたデータ・分析内容も勘案し、地域の医療・介護関係者が膝を突き合わせて「地域の医療・介護提供体制をどう考えていくか」を議論し、あわせて「自院・自施設の将来像をどう考えていくのか」を検討することが重要です。



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