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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

医療機関等の患者窓口負担(1-3割負担)、電子マネー等での支払いは可能だが、ポイント付与に当たっては留意を—厚労省

2023.10.11.(水)

医療機関等の患者窓口負担(1-3割負担)について、クレジットカードや一定の汎用性ある電子マネーによる支払い(キャッシュレス支払い)を利用することは、患者の利便性向上、医療機関等における事務効率化の観点から差し支えない—。

ただし「ポイントの付与」については、「一部負担金の減額を可能とする」「負担金の1%を超えたポイントを付与する」「ポイント付与を大々的に宣伝、広告する」ことは認められず、指導・個別指導の対象になる点に留意が必要である—。

厚生労働省は9月29日に事務連絡「医療機関等における一部負担金のキャッシュレス支払いについて」を示し、こうした考え方を明確にしました。

医療保険制度では「患者窓口負担の値引き」が認められてない点に留意を

我が国の医療保険制度においては、患者が年齢や所得に応じた一部負担金(患者窓口負担1-3割)を医療機関等に支払い、残りの7―9割を医療保険者(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)が負担します。

この患者窓口負担について「クレジットカードや電子マネー等で支払うことが認められるのか」との疑問が医療現場などにありました。

この点について厚労省は、今般の事務連絡で次のような考えを明確にしています。

▽現金と同様の支払い機能を持つクレジットカードや、一定の汎用性のある電子マネー(交通系電子マネーなどのタッチ式決済、QRコード決済・バーコード決済など)による支払いを利用することは、患者の利便性向上、医療機関等における事務効率化の観点から差し支えない



電子マネーやクレジットカードの普及により現金を持ち歩かない国民も増えてきており、また「お釣りの渡し間違い」防止等の観点からも、今後も「カード支払い」「電子マネー決済」(キャッシュレス支払い)などが医療機関等に更に広く普及していくことが予想されます。



ところで、キャッシュレス支払いの際に「ポイント」が生じることが少なくありません。この「ポイント」については、療養担当規則(保険医療機関及び保険医療養担当規則)で禁じられている「経済上の利益の提供による誘引」(端的に上記の1-3割負担を「値引きしてはならない」旨の規定)に該当しないのだろうか?という別の疑問も生じます。

(参考)保険医療機関及び保険医療養担当規則(編集部で一部改変)
第2条の4の2
第1項 保険医療機関は、患者に対して第5条(一部負担金)の規定により受領する費用の額に応じて当該保険医療機関が行う収益業務に係る物品の対価の額の値引きをすること、その他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益の提供により、当該患者が自己の保険医療機関において診療を受けるように誘引してはならない。
第2項 保険医療機関は、事業者またはその従業員に対して、患者を紹介する対価として金品を提供すること、その他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険医療機関において診療を受けるように誘引してはならない。



この規定を踏まえて厚労省は、キャッシュレス支払いにより生じるポイントについて、次のような点に留意するよう医療現場に呼びかけています。

(1)キャッシュレス支払いにより生じるポイントの付与は、「保険医療機関及び保険医療担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(2012年厚労省通知)に示すとおり、 あくまで「当面やむを得ないものとして認める」ものであることに留意すること

(参考)「保険医療機関及び保険医療担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(編集部で改変)
▽一部負担金等の受領に応じて専らポイントの付与、その還元を目的とするポイントカードについては、ポイントの付与を認めないことを原則とする
▽ただし、現金と同様の支払い機能を持つクレジットカードや、一定の汎用性のある電子マネーによる支払いに生じるポイントの付与は、これらのカードが患者の支払いの利便性向上が目的であることに鑑み、当面、やむを得ないものとして認める



(2)保険調剤に係る一部負担金の支払いにおいて、キャッシュレス支払いまたは他の支払い方法に併せて「独自のポイントカード等を使用してポイントを付与する」ことについては、「保険調剤等に係る一部負担金の支払いにおけるポイント付与に係る指導について」(2017年1月25日付の厚労省事務連絡、関連記事はこちら)で示している(保険薬局において一部負担金にポイント(積み上げて商品やサービス購入などにつなげられるようなもの)を付与することは医療保険制度の中では好ましくなく、必要があれば口頭での指導を、改善がみられなければ個別指導を行う)



(3)医療機関における一部負担金においてもこれと同様の考え方が当てはまり、以下のいずれかに該当する医療機関等については、口頭による指導を行い、改善がみられない場合には個別指導を行う
▼ポイントを用いて一部負担金の減額を可能としているもの
▼一部負担金の1%を超えてポイントを付与しているもの
▼一部負担金に対するポイントの付与について大々的に宣伝、広告を行っているもの(例えば、当該保険医療機関等の建物外に設置した看板、テレビコマーシャルなど)



上述のとおり「患者負担(1-3割負担)の値引き」で患者を誘引することは医療保険制度の中では認められません。医療の質向上・地域医療機関等との連携などにより「自院の評価」を高めることで、多くの患者に支持されることを目指さなければなりません。



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