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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

2024年度診療報酬改定、病棟への介護専門職配置・評価、入院基本料の引き上げ、高齢入院患者対応の評価充実など実現せよ—日病協

2023.10.26.(木)

急性期病棟においても高齢の入院患者が増加し、今後も増加する点を踏まえ、「病棟への介護専門職配置」を診療報酬で評価すべきである—。

昨今の物価・エネルギー費・人件費などの急騰・高騰を踏まえ、病院収益の柱である「入院基本料」をすべて大幅に引き上げるべきである—。

医療DXを推進し、サイバー攻撃に備えるために「ICT対応への診療報酬評価」を充実する必要がある—。

日本病院団体協議会が10月23日、武見敬三厚生労働大臣に宛てて、こうした内容を盛り込んだ「令和6年度(2024年度)診療報酬改定に係る要望書【第2報】」を提出しました(日本病院会のサイトはこちら)(【第1報】の記事はこちら)。

極めて有用な入退院支援加算・入院時支援加算、「より広範な患者」への算定など認めよ

日本病院団体協議会は、日本病院会、日本私立医科大学協会、地域医療振興協会など15の病院団体で構成される組織で、主に「診療報酬改定に向けて病院団体の意見をすり合わせ、共同提案・要望を行う」などの活動をしています(もちろん、診療報酬以外の医療の諸課題について議論を行っている)。

2024年度には、診療報酬・介護報酬の同時改定(障害福祉サービス等報酬の改定も加わりトリプル改定でもある)が行われ、すでに中央社会保険医療協議会などで個別具体的な議論が始まっています。そうした状況を踏まえ、今般「個別的・具体的な要望」となる第2報を武見厚労相に提出しました。

要望内容は、(1)入院基本料の引き上げ(2)適切な食事療養費の設定(3)病棟における介護専門職の評価(4)病院におけるICT推進のための評価(5)急性期入院医療におけるリハビリテーションの充実(6)急性期病院からの、後方支援病院への転送の評価(7)地域医療体制確保加算の新たな評価の新設(8)薬剤費が包括される病棟における高額薬剤の除外薬剤の新設(9)高額医薬品の管理に関する評価の新設(10)夜間休日救急搬送医学管理料、院内トリアージ実施料の再診症例での算定(11)精神科における地域包括ケアシステムの推進に資する入院料の新設(12)入退院支援加算、入院時支援加算の見直し—の12項目です。

まず(1)は、昨今の物価、エネルギーコスト、人件費の「高騰」に対応できるように、「すべての入院基本料の大幅引き上げ」を求めるものです。一時的な補助金や加算での対応ではなく、「病院経営を根本から安定させる必要がある」との強い考えが伺えます。

また(2)も、繰り返しGem Medで報じている「20年超に渡り据え置かれている入院時食事療養費」を引き上げ、物価、エネルギーコスト、人件費の「高騰」に対応できるようにすべきとの要望です。学校給食事業者が倒産するなどのニュースも飛び込んできており、今後、どういった対応が図られるのか注目が集まります。

他方、(3)は「高齢の入院患者が急性期・高度急性期病棟でも増加し、今後もますます増加していく」中で、介助業務の専門家である介護福祉士などを病棟に配置し、それを診療報酬で評価することを求めるものです。この点、「看護職員の増員で対応することが第1であろう」との考えもあり、今後、どういった議論に発展していくのか注目する必要があります。

あわせて(5)では、「高齢の入院患者」のADLを入院中も維持するために「ADL維持向上等促進加算」について、評価を充実するとともに、疾患別リハビリテーション料との併算定を可能とすることなどを求めています。

さらに(4)も、Gem Medで繰り返し報じている「サイバーセキュリティ対策」や、「医療DX対応」にかかる経費について、診療報酬での対応を求めるものです。

また、2024年度診療報酬改定論議の中で「最重要事項」の1つとされる「高齢の救急搬送患者対応」に関連して、(6)で「救急外来で対応した患者を後方支援病院に転送する際に、直接救急外来からの転送と、入院してからの転送について、双方の評価を行う」ことを、(10)で「再診患者にも夜間休日救急搬送医学管理料や院内トリアージ実施料を算定可能とする」ことを求めています。

あわせて、2024年4月からは「勤務医の時間外労働規制の強化」が行われるなど、今後、医師働き方改革を進める必要性が高くなる中で、(7)では、現在救急搬送2000件(年間)以上が要件となっている「地域医療体制確保加算」について、「1000から2000件未満」を対象とする加算2、「500件以上1000件未満」を対象とする加算3を新設して、医師働き方改革を後押ししてほしいと求めています。

さらに、(8)では「薬剤料が包括される地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟で、高額薬剤を使用する患者の忌避が生じないような工夫を行う(高額薬剤を包括範囲から除外する、除外しないのであれば入院料を大幅に引き上げる)」ことを、(9)では繊細な管理(低温管理など)が求められる薬剤に関する評価の新設(患者都合でキャンセルとなった場合の対応なども含めて)を行うよう求めています。

他方(12)では、「入退院支援加算について、増点、専従要件の緩和を行う」こと、「入院時支援加算について、加算対象の拡大を行う」ことなどを求めています。本加算は極めて有用なため、「さらなる拡大」を求める内容です。



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