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GemMed塾 看護モニタリング

遠隔画像診断で【核医学診断】や【コンピューター断層診断】の点数を取得する際に必要な指針を策定—医学放射線学会

2024.3.14.(木)

日本医学放射線学会が3月5日に「保険診療における遠隔画像診断の管理に関する指針」を公表しました(学会サイトはこちら)。

保険診療において遠隔画像診断を行う際には、本指針を遵守することが求められます。

遠隔画像診断を安全・適切に行う際の順守すべき指針を策定

医療技術、通信技術等が進展する中で「撮影した画像を遠方の専門医に伝送して診断してもらう【遠隔画像診断】の重要性」が増しています。専門医には限りがあるため「すべての医療機関に配置する」ことはあまりに非現実的なことから、例えば「専門の読影医を基幹的な病院に配置」し、関連医療機関が当該基幹病院に「読影を依頼する」といったネットワークを地域で整えることで、効果的かつ効率的な画像診断体制が構築できるでしょう。また、十分な注意を払うことで「読影医の働き方改革」を実現する道にも期待が集まります。

保険診療においても【遠隔画像診断】の実施が認められており、次のような施設基準 を満たした場合、遠隔画像診断によってE001【写真診断】、E004【基本的エックス線診断料(1日につき)】、E102【核医学診断】、E203【コンピューター断層診断】の点数を算定することが可能です。

●遠隔画像診断に関する施設基準
(1) 送信側(画像撮影を行う医療機関)で以下の基準を全て満たす
(ア)画像の撮影・送受信を行うにつき十分な装置・機器を有しており、受信側医療機関以外の施設へ読影・診断を委託していない
(イ)関係学会の定める指針に基づく画像診断管理を行っていることが望ましい

(2)受信側(画像診断を行う病院)で以下の基準を全て満たす(歯科画像診断では歯科画像診断管理加算の要件を満たせばよい)
(ア)画像診断管理加算1、2、3、または4に関する施設基準を満たす(後述「参考」で示す)
(イ)特定機能病院、臨床研修指定病院、へき地医療拠点病院、または医療資源の少ない地域に所在する病院である
(ウ)関係学会の定める指針に基づく画像診断管理を行っていることが望ましい



このうち(1)の(イ)、(2)の(ウ)にある「関係学会の定める指針」を、今般、日本医学放射線学会が明らかにしたものです。同学会では「本指針が適切に運用され、過疎地で都市部でも一定水準の画像診断が安全に提供されることが期待される」、「本指針は保険診療上のエックス線診断、コンピューター断層撮影診断(CT 撮影およびMRI撮影を含む)等を遠隔画像診断で実施する際を対象とし、健康診断等については保険診療外だが、効率的な運用が求められ、本指針に準ずる対応が望まれる」とコメントしています。

【画像診断管理】
→質の高い画像診断を実施するためには適切な臨床データを取得したうえで、正しい撮影プロトコルにより精度の担保された撮影機器を用い実施されることが必要である。その際の造影剤管理、被曝管理、撮影後にも読影結果の管理、診断医や技師等の人的管理なども画像診断の精度管理には重要である
→これらの画像診断にあたっては、保険診療点数の多寡に影響を受けることなく、効率的で合理的な診断アプローチが求められる
→質の高い適切な画像診断を実施するための具体的な管理には次の点が重要となる
・検査目的を考慮した適切な臨床情報、臨床検査データ等の取得
・撮影部位、目的等を考慮したモダリティ別撮像プロトコルの作成
・撮影機器の適切なメンテナンス
・造影剤使用歴の管理(副作用・アレルギーの既往を含む)、造影剤副作用発生時の対応手 順の準備
・被曝線量管理(撮影毎の被曝管理ならびに最新の診断参考レベルの利用等)
・MRIにおける高磁場事故対策
・読影、診断および画像診断報告書の適切な作成と保存
・依頼医(主治医)に対する緊急性の告知
・各診療科との連携やカンファレンス
・放射線診療に関する教育

【送信側で遵守すべき事項】
▽上記の適切な画像診断管理を実施する(当該画像診断管理は必要に応じ、受信側と適宜分担して実施してよい)
▽遠隔画像診断は「受信側の放射線診断専門医」に依頼する
▽受信側の放射線診断専門医の求めに応じ「読影に必要な情報提供」を行う
・画像診断に必要な検査目的、臨床情報、臨床検査データ等を明確に記載する
・画像診断に必要な過去画像、過去の画像診断報告書を参照できる
・画像診断の結果、特段の処置等が必要であると認められる際に、送信側の担当医師に直接的な連絡や注意喚起ができる
▽受信側から「検査の適応やプロトコル等について改善すべき点がある」などの指摘があった場合、適切な対応をとる
▽「緊急での画像診断の依頼」「診断の結果、特別の対応・処置を要する」などの場合、電話や画像診断システム上のコミュニケーションツール等を活用し連絡できる
▽画像診断に必要な臨床情報等を追加で必要な際に、電話や画像診断システム上のコミュ ニケーションツール等を活用し、迅速に連絡をとれる体制を作る
▽定期的に送信側・受信側の医療者が参集するカンファレンス等を開催する
▽その他、診断結果のフィードバック等、画像診断の質の向上のための取り組みを継続して行う

【受信側が遵守すべき事項】
▽送信側から依頼された遠隔画像診断は放射線診断専門医が実施する
▽検査の適応やプロトコル等について改善すべき点がある場合、送信側に情報提供する
▽「緊急での画像診断の依頼」「診断の結果、特別の対応・処置を要する」などの場合、電話や画像診断システム上のコミュニケーションツール等を活用し連絡できる(再掲)
▽画像診断に必要な臨床情報等を追加で必要な際に、電話や画像診断システム上のコミュ ニケーションツール等を活用し、迅速に連絡をとれる体制を作る(再掲)
▽定期的に送信側・受信側の医療者が参集するカンファレンス等を開催する(再掲)
▽その他、診断結果のフィードバック等、画像診断の質の向上のための取り組みを継続して行う(再掲)



(参考)画像診断管理加算の施設基準
●画像診断管理加算1

▽放射線科を標榜している医療機関である
▽画像診断を専ら担当する常勤医師(専ら画像診断を担当した経験10年以上、または当該療養について関係学会から示されている2年以上の所定研修(専ら放射線診断に関するもので、画像診断、Interventional Radiology(IVR)、核医学に関する事項全て含むもの)を修了し、その旨が登録されている医師に限る)を1名以上配置する
→「画像診断を専ら担当する医師」とは、勤務時間の大部分、画像情報の撮影・読影に携わっている者をいう
▽画像診断管理を行うにつき十分な体制を整備している
▽当該医療機関以外の施設に読影・診断を委託していない

●画像診断管理加算2
▽放射線科を標榜する病院である
▽画像診断を専ら担当する常勤医師(専ら画像診断を担当した経験10年以上、または当該療養について関係学会から示されている2年以上の所定研修(専ら放射線診断に関するもので、画像診断、Interventional Radiology(IVR)、核医学に関する事項全て含むもの)を修了し、その旨が登録されている医師に限る)を1名以上配置する
→「画像診断を専ら担当する医師」とは、勤務時間の大部分、画像情報の撮影・読影に携わっている者をいう
▽自院で実施される全ての核医学診断、CT撮影、MRI撮影について、上記医師の下に画像情報の管理が行われている
▽自院の核医学診断、コンピューター断層診断のうち、少なくとも8割以上の読影結果が、上記医師により「遅くとも撮影日の翌診療日」までに当該患者の診療担当医に報告されている
▽画像診断管理を行うにつき十分な体制が整備されている
▽当該医療機関以外の施設に読影・診断を委託していない
▽関係学会の定める指針を遵守し、MRI装置の適切な安全管理を行っている

●画像診断管理加算3
▽放射線科を標榜している病院である
▽救命救急センター、高度救命救急センター設置医療機関である
▽画像診断を専ら担当する常勤医師(専ら画像診断を担当した経験10年以上、または当該療養について関係学会から示されている2年以上の所定研修(専ら放射線診断に関するもので、画像診断、Interventional Radiology(IVR)、核医学に関する事項全て含むもの)を修了し、その旨が登録されている医師に限る)を3名以上配置する
→「画像診断を専ら担当する医師」とは、勤務時間の大部分、画像情報の撮影・読影に携わっている者をいう
▽自院で実施される全ての核医学診断、CT撮影、MRI撮影について、上記医師の下に画像情報の管理が行われている
▽自院の核医学診断、コンピューター断層診断のうち、少なくとも8割以上の読影結果が、上記医師により「遅くとも撮影日の翌診療日」までに当該患者の診療担当医に報告されている
▽院内で、関係学会の定める指針に基づく夜間・休日の読影体制を整備する
▽画像診断管理を行うにつき十分な体制を整備する
▽当該医療機関以外の施設に読影・診断を委託していない
▽関係学会の定める指針を遵守し、MRI装置の適切な安全管理を行う
▽関係学会の定める指針に基づいて、人工知能関連技術が活用された画像診断補助ソフト ウェアの適切な安全管理を行う
→その際、画像診断を専ら担当する常勤医師(専ら画像診断を担当した経験10年以上、または当該療養について関係学会から示されている2年以上の所定研修(専ら放射線診断に関するもので、画像診断、Interventional Radiology(IVR)、核医学に関する事項全て含むもの)を修了し、その旨が登録されている医師に限る)を責任者として配置する

●画像診断管理加算4
▽放射線科を標榜している特定機能病院である
▽画像診断を専ら担当する常勤医師(専ら画像診断を担当した経験10年以上、または当該療養について関係学会から示されている2年以上の所定研修(専ら放射線診断に関するもので、画像診断、Interventional Radiology(IVR)、核医学に関する事項全て含むもの)を修了し、その旨が登録されている医師に限る)を6名以上配置する
→「画像診断を専ら担当する医師」とは、勤務時間の大部分、画像情報の撮影・読影に携わっている者をいう
▽自院で実施される全ての核医学診断、CT撮影、MRI撮影について、上記医師の下に画像情報の管理が行われている
▽自院の核医学診断、コンピューター断層診断のうち、少なくとも8割以上の読影結果が、上記医師により「遅くとも撮影日の翌診療日」までに当該患者の診療担当医に報告されている
▽院内で、関係学会の定める指針に基づく夜間・休日の読影体制を整備する
▽画像診断管理を行うにつき十分な体制が整備され、院内で実施される全ての核医学診断、CT撮影、MRI撮影について夜間・休日を除き「検査前の画像診断管理」を行う
▽当該医療機関以外の施設に読影・診断を委託していない
▽関係学会の定める指針を遵守し、MRI装置の適切な安全管理を行う
▽関係学会の定める指針に基づいて、適切な被曝線量管理を行う
→その際、施設内の全てのCT検査の線量情報を電子的に記録し、患者単位・検査プロトコル単位で集計・管理の上、被ばく線量の最適化を行う
▽関係学会の定める指針に基づいて、人工知能関連技術が活用された画像診断補助ソフト ウェアの適切な安全管理を行う
→その際、画像診断を専ら担当する常勤医師(専ら画像診断を担当した経験10年以上、または当該療養について関係学会から示されている2年以上の所定研修(専ら放射線診断に関するもので、画像診断、Interventional Radiology(IVR)、核医学に関する事項全て含むもの)を修了し、その旨が登録されている医師に限る)を責任者として配置する



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