2018-22年の市区町村別合計特殊出生率、最高は徳之島町(鹿児島県)の2.25、最低は東山区(京都府)の0.76—厚労省
2024.4.23.(火)
2018-22年の市区町村別合計特殊出生率を見ると、最高は徳之島町(鹿児島県)の2.25、最低は東山区(京都府)の0.76で、両自治体の間には1.71人・2.96倍の格差がある—。
厚生労働省は4月19日に「平成30年-令和4年 人口動態保健所・市区町村別統計の概況(人口動態統計特殊報告)」を公表し、こうした状況を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。
人口減は、社会保障制度の崩壊とともに、日本国の崩壊をもたらす
人口動態保健所・市区町村別統計は、人口動態統計として公表している各事象(出生、死亡、死産、婚姻、離婚)について、国勢調査の年を中心とした5年間(今回は2018-22年)の日本における日本人のデータを基に、保健所および市区町村(2022年12月31日時点、区は特別区・行政、震災などの影響がある福島県双葉郡楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、相馬郡飯舘村、熊本県球磨郡球磨村を除く)ごとに作成したものです。
まず「出生」について見てみましょう。
2018-22年の合計特殊出生率を市区町村別にみると、▼「1.2以上1.5未満」に約6割の市区町村が分布している▼「1.3以上1.4未満」に分布する市区町村が最も多く、全国平均は1.33である—ことなどが分かります。
市区町村別にみると、上位5自治体・下位5自治体は次のようになりました。
(上位)
(1)鹿児島県大島郡徳之島町:2.25
(2)鹿児島県大島郡天城町:2.24
(3)沖縄県国頭郡宜野座村:2.20
(4)鹿児島県出水郡長島町:2.11
(5)沖縄県国頭郡金武町:2.11
(下位)
(1)京都府京都市東山区:0.76
(2)大阪府大阪市浪速区:0.80
(3)京都府京都市上京区:0.80
(4)京都府京都市下京区:0.82
(5)埼玉県入間郡毛呂山町:0.83
合計特殊出生率の低い自治体は東京・大阪・京都やその近郊に、高い自治体が鹿児島県・沖縄県に多い印象です。
最も高い徳之島町の「2.25」と、最も低い東山区「0.76」との間には2.96倍の格差があります。また合計特殊出生率は、「1人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数」に相当するため、「その差は1.71人」と考えることもできそうです。
次に死亡の状況を見てみましょう。
2018年-2022年の標準化死亡比(年齢構成の違いの影響を除いた死亡状況の比較指標、100より大きい場合、その地域の死亡率は全国より高く、100より小さい場合には逆に低いと判断される)を市区町村別にみると、▼約半数の市区町村が「95以上105未満」に分布している▼女性では75未満から135以上まで、男性は75以上から135以上まで幅広く分布している—ことなどが分かりました。
市区町村別にみると、上位5自治体・下位5自治体は次のようになりました。
(上位・男性)
(1)大阪府豊能郡豊能町:76.7
(2)神奈川県横浜市青葉区:77.1
(3)神奈川県川崎市麻生区:77.4
(4)大阪府箕面市:81.5
(5)京都府相楽郡精華町:81.7
(上位・女性)
(1)群馬県利根郡川場村:64.0
(2)沖縄県中頭郡北中城村:70.3
(3)長野県北安曇郡松川村:77.5
(4)神奈川県川崎市麻生区:78.9
(5)沖縄県国頭郡今帰仁村:79.2
(下位・男性)
(1)大阪府大阪市西成区:193.6
(2)大阪府大阪市浪速区:141.2
(3)東京都西多摩郡奥多摩町:136.7
(4)大阪府大阪市大正区:130.9
(5)神奈川県川崎市川崎区:130.7
(下位・女性)
(1)大阪府大阪市西成区:135.7
(2)東京都西多摩郡奥多摩町:135.2
(3)埼玉県児玉郡神川町:126.7
(4)新潟県加茂市:125.6
(5)東京都西多摩郡檜原村:125.5
どういった要素が死亡状況と関係しているのか、詳しい分析が待たれます。
人口減、とりわけ「子供の数」の減少は、社会保障制度の基盤を揺るがすことは述べるまでもありませんが、さらに言えば、日本国の存在そのものをも脅かします。国家として認められるためには、「領土」「統治機構」「国民」の三要素が不可欠なためです。「出生率の高い地域の状況」を詳しく分析したうえで、「実効性のある少子化対策」を実現することに期待が集まります。
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