ベンゾジアゼピン受容体作動薬、漫然とした継続投与を避け、他医療機関での類似薬処方を確認し、慎重な減薬・中止を!—PMDA
2024.5.8.(水)
ベンゾジアゼピン受容体作動薬を催眠鎮静薬・抗不安薬として使用する場合には、▼漫然とした継続投与による長期使用を避ける▼用量を遵守し、類似薬の重複処方がないことを確認する▼投与中止時は、漸減、隔日投与など慎重に減薬・中止を行う—点に最大限留意してほしい—。
PMDAは5月7日に、医薬品適正使用の一環として「ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性について」を公表しました(PMDAのサイトはこちら)。2017年3月にも注意喚起を行っており、その更新版にあたります。
ベンゾジアゼピン受容体作動薬、承認用量の範囲内でも長期間服用により身体依存
ベンゾジアゼピン受容体作動薬は心身症等の治療において有用な薬剤ですが、「承認用量の範囲内でも、漫然とした長期間服用により身体依存が生じる」「減量や中止時に様々な離脱症状(不眠、不安、焦燥感、頭痛、嘔気・嘔吐、せん妄、振戦、痙攣発作など)が現れる」ことがあります。
このため2017年3月にPMDAは「漫然とした長期使用を避ける」「離脱症状を避けるために慎重な減薬・中止を行う」旨を注意喚起していますが、その後も「ベンゾジアゼピン受容体作動薬での依存性が疑われる症例」が報告されています。
事態を重視し、PMDAは改めて「ベンゾジアゼピン受容体作動薬を催眠鎮静薬・抗不安薬として使用する場合の留意点」を次のように整理し、医療現場などに最大限の注意を呼びかけました。
(1)漫然とした継続投与による長期使用を避ける
▽承認用量の範囲内でも、長期間服用で依存が形成されることがある
▽投与を継続する場合には、治療上の必要性を改めて検討する
(2)用量を遵守し、類似薬の重複処方がないことを確認する
▽長期投与、高用量投与、多剤併用により依存形成のリスクが高まる
▽「他の医療機関から類似薬が処方されていない」かを十分に確認する
(3)投与中止時は、漸減、隔日投与など慎重に減薬・中止を行う—点に留意してほしい
▽急に中止すると原疾患の悪化に加え、重篤な離脱症状(不眠、不安、焦燥感、頭痛、嘔気・嘔吐、せん妄、振戦、痙攣発作など)が現れる
▽個々の患者に合わせ、「隔日投与」などにて徐々に減薬・中止する
▽患者に「自己判断で中止しない」よう十分に指導する
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