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GemMed塾 病床ユニット

緊急訪問看護の際にやむを得ず遠方に駐車した結果、患者・利用者に不利益が生じる事例が少なからず発生—訪問看護財団

2024.6.21.(金)

緊急訪問看護の際、患者宅等に駐車スペースがなく、駐車許可等も得られなかったために、やむを得ず遠方に駐車した結果、患者・利用者に不利益が生じる事例が少なからず発生してまっている—。

警察署に駐車許可申請をしても「訪問診療(医師)なら許可できるが、訪問看護では許可できない」とにべもない対応をとられることもある—。

日本訪問看護財団がこのほど「訪問看護事業における『短時間の駐車が不可避である業務用車両に係る駐車規制の在り方』に関するWebアンケート調査」報告書を公表し、こうした点を明らかにしました(財団サイトはこちら)。

駐車許可申請の手間も非常に煩雑

訪問診療や訪問看護、訪問介護等においては、医師や看護師、介護職員等が「乗用車」等で移動するケースが少なくありません。その際、患者・利用者宅や近隣に「駐車場所」があればよいのですが、ない場合には「路上」などに一時駐車せざるをえないケースが出てきます。

こうした点について日本訪問看護財団は、全国の訪問看護ステーションの管理者を対象にWEB調査を実施(本年(2024年)4月)、2314件の有効回答が得られました。

回答結果を眺めると、次のような点が目立ちます。

▽2024年3月の緊急訪問回数の平均値は14.0回、中央値は6回、主治医の指示による緊急訪問回数は、平均2.7回、中央値0回
▼緊急訪問があった事業所のみをみると、緊急訪問回数は平均値15.6回、中央値7回、主治医の指示による緊急訪問回数は平均5.8回、中央値3回



▽過去の緊急訪問で、駐車許可証・駐車禁止除外標章がなかったことで「利用者の状態が重篤となった」「利用者・家族への不都合・不利益が生じた」事例としては、例えば以下のようなものがある(ごく一部を抽出)
▼駐車場がなく近隣のパーキングへ駐車し訪問したところショックバイタルであった
▼苦痛の時間を長引かせてしまうことになった
▼点滴漏れ疑いの連絡を受けたが、早急に対応できずに上肢の点滴漏れによる腫れが強くなった
▼頭部からの出血を止血するのが遅れたため、血圧や意識も殆ど消失。救急搬送や全てが後手後手になり、なんとか一命を取り止めたものの、大量の輸血を強いられてしまった
▼すでに呼吸停止されていた
▼止めるところがなく探して駐車すると廊下に倒れていた
▼すぐに対応出来なかったため、転倒後に低体温になってしまった



▽駐車許可証・駐車禁止除外標章がなかった理由としては、以下のようなものがある(ごく一部を抽出)
▼300メートル以内にパーキングがあれば申請できない
▼マイカーでの緊急対応なので、駐禁許可証がなかった
▼そのような事が出来る事実も知らなかった
▼対応が厳しくなり、その都度警察に連絡してもらう事といわれたが、緊急時などそうした時間はない
▼いつの間にか、申請しても許可が得られなくなった
▼警察署に事前に問い合わせたが、訪問診療(医師)ならよいが、訪問看護は対象外と言われた
▼手続きが煩雑である
▼駐車許可書をとっても駐禁をとられることがある
▼訪問時間がまちまちなので、申請ができない



▽過去の緊急訪問で、駐車許可証・駐車禁止除外標章がなかったことで「利用者の状態が重篤となった」「利用者・家族への不都合・不利益が生じた」事例では、駐車した場所と患者宅とのおよその距離は平均401.7メートルであった



▽緊急訪問を行った際、過去に駐車違反として取り締まりを受けた経験は24.0%の事業所で経験している



▽緊急の連絡相談があった際に「直ちに救急要請を行う」場合としては、▼利用者・家族からの訴えを聴取し、状態から救急要請の必要性ありと判断した:86.6%▼主治医に報告し、救急要請を指示された:73.7%—などが多い



こうした調査結果を踏まえると、「緊急訪問看護の多くで生命に関わる必要な診療の補助・療養上の世話が行われていたが、駐車許可がなく対応が遅れ、患者・利用者に不利益が生じるケースが少なからず生じている」ことが分かります。また駐車許可が得られない理由を眺めると、きわめて腹立たしいものが含まれていることに驚かされます。

日本訪問看護財団では、こうしたアンケート結果も参考に「警察関係者等への要望書」を作成する考えです。



なお、厚生労働省は4月3日に事務連絡「訪問診療等に使用する車両に係る駐車許可の周知について」を示し、「訪問診療や訪問看護、訪問介護等の車両について、駐車場所がない場合には『警察署長の駐車許可を受ける』ことで、駐車禁止場所に駐車することが可能となる」点を明らかにしていますが、より踏み込んだ対応が期待されます。



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