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医療用医薬品の供給停止・薬価削除の手続きを明確化、医療現場の混乱を避けながら製薬メーカーの負担軽減を図る—厚労省

2024.8.19.(月)

厚生労働省は8月7日に通知「医療用医薬品の供給停止及び薬価削除について」を発出し、医療用医薬品の供給停止・薬価削除に関する手続きの明確化を図りました(厚労省サイトはこちら)(関連記事はこちら)。

医療用医薬品が突然供給停止された場合の医療現場の混乱を避けるとともに、医薬品製造販売業者の負担軽減を図るものです。

医療用医薬品の供給停止・薬価削除の手続きを明確化

医薬品の製造販売業者が「医療用医薬品の供給を停止しよう」とする場合には、あらかじめ▼厚労省に「医療用医薬品供給停止品目の事前報告書」を提出する▼「医療用医薬品の供給停止計画について医療機関等への説明が概ね終了した」と製造販売業者が判断した段階にで、「薬価基準収載品目削除願」を厚労省に提出する—ことが求められています。突然の供給停止は医療現場に大きな混乱をもたらす可能性があるためです。

この点、「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会 報告書」で、「後発医薬品産業全体の構造的な問題として「中小規模企業が多く生産能力や生産数量が限定的な中で、比較的収益性の高い新規製品の薬価収載を繰り返し、容易に市場から撤退することができないという医薬品特有の事情もあいまって、少量多品目生産が広がっている。このことが生産の非効率等の問題を招いている」と指摘され、「関係学会や製薬企業双方の負担軽減も考慮し、供給停止・薬価削除プロセスについて明確化を図る」とされました。

今般、こうした点を踏まえて、次のような「医薬品の供給停止・薬価削除プロセスの明確化」が図られました。「本年(2024年)9月中旬以降」に厚労省に対し供給停止事前報告書が提出される医療用医薬品に対し適用されます(ただし、▼「承継品目」「代替新規」については本年(2024年)12月以降に厚労省に薬価削除願が提出される医療用医薬品に▼「G1品目」については来年度(2025年度)以降に薬価削除願が提出される医療用医薬品に▼「経過措置期間の延長」は来年度(2025年度)以降に経過措置期間の延長願が提出される医療用医薬品に—それぞれ適用される)。

【対象範囲】
▽薬価基準に収載された全ての医薬品
→これまで医療需要に応えてきた医薬品が製造販売業者の経営事情等により突然供給停止されることは国民医療に重大な支障をきたすことから、厚労省が薬価削除に係る経過措置への移行(以下「経過措置移行」)手続きを行うまでは、供給継続できる体制を維持することとし、これを前提にスケジュール上の余裕をもって手続きを進める
→供給停止事前報告書提出時点で「実質的に医薬品を供給停止している、供給停止方針を変更できない」という状況を招くことは厳に慎む(そのおそれが生じた時点で厚労省に相談する)



【具体的な手続き】((1)(2)(3)・・の順に進める)
(1) 製造販売業者は、供給停止・薬価削除を希望する品目について、その代替品(同一成分品目に限らず、臨床上の位置付けが同じものも含む。普通錠と口腔崩壊錠(OD錠)は互いに代替品として扱う、以下同)を有する製造販売業者(代替供給企業)に説明し、代替供給企業がそのシェア(同一成分、剤形、含量、効能内のシェア)に相当する数量を代替供給することについて、代替供給企業から「文書」(以下「代替供給了承文書」)による了承を得る
(留意事項)
▽代替供給企業が自社である場合も同様
▽供給停止・薬価削除希望品目が先発品で、代替品が後発品である場合には、双方の製造販売業者が「先発品の製造販売業者が有する社内資料の引継ぎ等に係る協議」を行う

(2)製造販売業者は、供給停止・薬価削除希望品目について、そのシェア・代替品について該当学会すべてに説明し、「当該品目の供給停止に向けた手続きを行う」ことの文書による了承を得る(学会了承文書)
(ア) 次に掲げる学会のうち、対象品目の使用が想定される学会
日本内科学会/日本小児科学会/日本感染症学会/日本消化器病学会/日本循環器学会/日本精神神経学会/日本外科学会/日本整形外科学会/日本産科 婦人科学会/日本眼科学会/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会/日本皮膚科学会/日本泌尿器科学会/日本腎臓学会/日本医学放射線学会/日本化学療法学 会/日本麻酔科学会/日本脳神経外科学会/日本形成外科学会/日本臨床検査医学会/日本消化器内視鏡学会/日本胸部外科学会
(イ)小児領域など、対象品目が臨床現場において保険適用外で使用されているこ とを製造販売業者が把握している場合、その使用が想定される学会
(ウ)(ア)(イ)のほか、製造販売業者が把握している対象品目の使用が想定される学会
(留意事項)
▽学会における標準検討期間は3か月とし、それを前提に余裕をもって必要な対応ができる十分な期間を設けて学会に対し検討依頼を行う
▽供給停止希望する品目について、▼代替品が存在する▼過去5年間の平均シェアが3%以下である—のいずれも満たすと製造販売業者が判断する場合には、学会の了承等は不要((3)での厚労省への提出も不要)

(3)代替供給企業(上記(1))・学会からの了承(上記(2))が得られた品目について、製造販売業者は厚労省に対して「供給停止事前報告書」「代替供給了承文書」「学会了承文書」を提出する
▽提出された資料を厚労省が確認し、内容に不備があるものは受理しない(その場合、厚労省の指示に従う)
▽▼代替品が存在する▼過去5年間の平均シェアが3%以下である—のいずれも満たすかを厚労省が必要に応じて確認し、「該当しない」と判断した場合には「内容に不備がある」ものとして取り扱う(その場合、厚労省の指示に従う)

(4)製造販売業者から供給停止事前報告書が提出された品目について厚労省が関係学会に対し供給停止の意見聴取をした際、厚労省は製造販売業者にその旨を通知する(意見聴取は、(2)の(ア)に掲げる学会に対し、年4回(4、7、10、1月頃)、2-3か月程度の期間をかけて行う)

(5)関係学会への意見聴取が完了した品目について、厚労省は製造販売業者に対し「医療機関・薬局へ販売中止に係る情報提供を行うことを了承する」旨のメールを送付する
→関係学会から「供給継続要望」が提出された品目については、製造販売業者で今後の対応を検討する

(6)「医療機関・薬局に対して販売中止に係る情報提供を行うことが了承された品目」について、製造販売業者は、医療機関・薬局へ販売中止に係る情報提供を行う
→当該情報提供が終了したと製造販売業者が判断した段階で、製造販売業者は、厚労省へ「薬価削除願」「販売中止について医療機関・薬局へ情報提供した案内文書」などを提出する(内容に不備があれば受理されず、厚労省からの指示に従う)
(留意事項)
▽医療機関・薬局における対象品目の在庫状況、使用期限等を考慮し、医療機関・薬局が余裕をもって必要な対応ができる十分な期間を設けて周知を行った上で「薬価削除願」を提出する

(7)「製造販売業者から薬価削除願が提出された品目」について厚労省が関係学会に「経過措置移行の意見聴取」をした際、厚労省は製造販売業者に対し、その旨を通知する(上記(2)の(ア)に掲げる学会に対して、年2回(9、12月頃)、1-2か月程度の期間をかけて行う)

(8)「関係学会への意見聴取が完了した品目」「▼代替品が存在する▼過去5年間の平均シェアが3%以下である—のいずれも満たす品目」について、厚労省は中央社会保険医療協議会へ報告する

(9)「中医協への報告が完了した品目」について、厚労省は経過措置移行のための手続きを開始する
(留意事項)
▽経過措置期間は通常最大1年間(10月頃に中医協報告を行った場合、当該年度の3月末まで、2月頃に中医協への報告を行った場合、翌年度の3月末まで)
▽製造販売業者は、経過措置期間の延長申請の活用も含め、使用期限の残存する医薬品が薬価削除されることにより医薬品流通当事者が被り得る不利益等に対し適切に対応する



【安定供給確保のための少量多品目生産の適正化】
薬価削除希望品目について、代替供給企業との合意の下「後発品安定供給確保のための少量多品目生産の適正化を目指した」と考える場合は、代替供給了承文書にその旨を明記する



【承継品目】
▽「承継に伴い薬価削除が必要な品目」(承継に伴う薬価削除品目)については、上記手続きによらず、「薬価基準既収載品の承継等に関する薬価基準上の事務手続きの見直しについて」(2020年9月30日付事務連絡)に基づいて手続きを行う
▽薬価削除願が提出された承継に伴う薬価削除品目(統一名収載医薬品の承継に伴い薬価削除が必要な品目を除く)について、厚労省は、次の期限にそって手続きを行う
・薬価削除願が「12月から翌年2末までに提出」:3月頃の中医協へ報告→4月頃に経過措置移行手続き
・薬価削除願が「3月から5月末までに提出」:6月頃の中医協へ報告→7月頃に経過措置移行手続き
・薬価削除願が「6月から8月末までに提出」:9月頃の中医協へ報告→10月頃に経過措置移行手続き
・薬価削除願が「9月から11月末までに提出」:12月頃の中医協へ報告→翌年3月頃に経過措置移行手続き



【代替新規】
▽代替新規品目の薬価収載に伴い薬価削除が必要な品目(代替新規に伴う薬価削除品目)について、厚労省は、次の期限にそって手続きを行う(上記手続きによらない)
・薬価削除願が「12月から翌年5月末までに提出」:6月頃の中医協へ報告→7月頃に経過措置移行手続き
・薬価削除願が「6月から11月末までに提出」:12月頃の中医協へ報告→翌年3月頃に経過措置移行手続き



【G1品目】
▽「G1品目」(後発品置き換え率が80%以上の長期収載品、「後発品価格の2.5倍」に薬価を設定し、その2年後に「同2倍」、4年後に「同1.5倍」と段階的に引き下げ、6年度に「後発品と同価格」とするもの、いわば市場からの「撤退」を求める、関連記事はこちら)については、原則として「後発医薬品への置換えが進んでいる長期収載品(G1品目)の供給停止等に係る手続について」(2019年3月29日付事務連絡)に従う
▽薬価削除願は、「2年に1回(偶数年度)の11月頃」のみ提出を認める
▽ただし、早期撤退が認められた品目については、奇数年度の11月頃の薬価削除願提出をめる
▽薬価削除願が提出された場合、厚労省は、関係学会への報告、翌年2月頃の中医協への報告を行った後、3月頃に経過措置移行手続きを行う



【経過措置期間の延長】
▽上記【具体的な手続き】【承継品目】【代替新規】【G1品目】に基づいて「経過措置移行手続き」が行われた品目において、その経過措置期間延長を希望する場合は、12月頃に発出予定の事務連絡「薬価基準経過措置期間の延長願の提出について」に基づいて経過措置期間の延長願を提出する
▽厚労省は、当該品目の経過措置期間の延長について、翌年2月頃の中医協への報告を行い、3月頃に「翌年度の3月末までの経過措置期間の延長の手続き」を行う

医薬品の供給停止・薬価削除の手続き



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