脳血栓や急性心筋梗塞において血栓の溶解に用いる「ウロナーゼ」、使用期限の延長に伴い、既存流通製品の使用期限も延長—厚労省
2024.8.22.(木)
「ウロナーゼ静注用」「ウロナーゼ冠動注用」について、使用期限が延長されたことに伴って、既存の流通品についても使用期限を「60か月」として取り扱うことを認める—。
厚生労働省は8月20日に事務連絡「ウロナーゼ静注用6万単位及びウロナーゼ冠動注用12万単位の使用期限の取扱いについて(周知)」を示し、こうした点を明確にしました。
安定性データを踏まえて「使用期限」の延長を認める
「ウロナーゼ静注用」(一般名:ウロキナーゼ)は、▼脳血栓症(発症後5日以内で、コンピューター断層撮影(CT)において出血の認められないもの)▼末梢動・静脈閉塞症(発症後10日以内)—の血栓・閉塞性疾患の治療に用いられる薬剤、「ウロナーゼ冠動注用」(一般名:ウロキナーゼ)は、急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解(発症後6時間以内)に用いられる薬剤です。
両剤の室温での有効期間については、▼本年(2024年)2月7日に「42か月」から「48か月」に延長する製造販売承認事項の一部変更承認が行われた▼追加の安定性データを踏まえて、本年(2024年)2月8日に、室温での有効期間を「48か月」から「54か月」に延長する届け出がなされた▼さらなる追加の安定性データを踏まえて、本年(2024年)8月19日に、「54か月」から「60か月」に延長する届け出がなされた—という経緯があります。
厚労省は今般、この有効期間の延長は「現在流通している製剤にも適用可能である」と判断し、以下の点を明確にしています。
【ウロナーゼ静注用6万単位・同冠動注用12万単位の使用期限】
▽有効期間が、これまでの「42か月」または「54か月」であるという前提で使用期限が外箱・バイアルラベルに印字されている製剤についても、有効期間が「60か月」である製剤として取り扱って差し支えない
【見分け方、取り扱い】
▽▼ウロナーゼ静注用6万単位で、使用期限が「2026年2月まで」(「2026.2」と表示)およびそれ以前となっている製剤▼ウロナーゼ冠動注用12万単位で、使用期限が「2025年4月まで」(「2025.4」と表示)およびそれ以前となっている製剤—については、有効期間が「42か月」として印字されている
↓
▽下表のとおり、変更後の使用期限は「印字されている使用期限より18か月長いもの」として取り扱ってほしい
▽ウロナーゼ静注用6万単位で、使用期限が「2026年3月まで」(「2026.3」と表示)と表示)となっている製剤については、有効期間が「54か月」として印字されている
↓
▽下表のとおり、変更後の使用期限は「印字されている使用期限より6か月長いもの」として取り扱ってほしい
なお、厚労省は「貴重な薬剤を無駄にせず有効に活用する観点から、使用期限の短い製剤から使用してほしい」とも医療現場に要請しています。
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