脳卒中・心臓病予防のための生活習慣改善、国民の3割超が改善を考えておらず、18-39歳でその傾向が強い―内閣府・世論調査
2024.11.12.(火)
脳卒中や心臓病等の発症予防のためには「生活習慣の改善」が重要だが、3割超(31.6%)の人は改善しようと思っておらず、その傾向は、性別にみると「男性」で、年齢別に見ると圧倒的に「若い世代」(18-39歳)で高い—。
「脳卒中や心臓病等の発症の予防を目的として病院を選ぶ」際の情報源としては、「かかりつけ医からの紹介」「病院のホームページ」「家族・友人・知人からの紹介」などが多い—。
国民の多くは、脳卒中や心臓病等対策に関して「治療できる医療機関の充実」「リハビリの充実」「発症後も仕事や学校を続けられる環境整備」「救急搬送体制整備」などを政府に望んでいる—。
こうした状況が、内閣府が11月8日に公表した「脳卒中や心臓病等に関する世論調査」結果から明らかになりました(内閣府のサイトはこちら)。
目次
ほとんどの国民が脳卒中・心臓病を「怖い」と感じていることを再確認
今般の世論調査では、代表的な超急性期疾患と言える脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)と心臓病(狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈、大動脈解離など)に関して、「予防」「救急車の要請」「病院選び」「政府への要望」などについて、18歳以上の日本国民1666名を対象に考え方を調査しました。
まず脳卒中や心臓病等に対する一般国民の印象を見ると、95.7%とほとんどが「怖い」(怖い:72.5%、どちらかと言えば怖い:23.2%)と考えていることが確認されました。性別にみると「女性」のほうが、年齢別にみると「若い世代」のほうが、「怖い」と考える人の割合が高くなっています。
「怖い」と考える理由を見ると、▼死に至る場合がある:82.1%▼日常生活の中で、突然、発症する:78.5%▼麻痺や喋りにくさなどの後遺症が残る場合がある:73.1%▼治療や療養には、家族や親しい友人などに負担をかける場合がある:52.5%—などが目立ちます(複数回答)。
若い世代では「生活習慣の改善」を考えていない割合が高い
また、脳卒中や心臓病等の発症予防のためには「生活習慣の改善」が重要で、既に多くの人が生活習慣改善を考えています(改善を始めて6か月以上:37.8%、改善を始めて6か月未満:7.5%、1か月以内に改善予定:10.3%、6か月以内に改善予定:10.5%)が、3割超(31.6%)の人は「改善しようと思っていない」ようです。性別にみると「男性」のほうが、年齢別に見ると圧倒的に「若い世代」(18-39歳)のほうが、「生活習慣改善を考えていない」状況です。
なぜ「生活習慣改善を考えていない」のかを見ると、▼病気の自覚症状がない:52.3%▼生活習慣改善のための時間的なゆとりがない:30.2%▼生活習慣改善のための経済的なゆとりがない:22.5%▼生活習慣改善がストレスになる:21.5%—など、多岐にわたる理由があげられています。様々な機会を通じて「生活習慣改善の重要性」を説いていくことが重要でしょう。
脳卒中・心臓病の初期症状、8割弱が「すぐに救急車を呼ぶ」と考えている
次に、脳卒中や心臓病等の初期症状(脳卒中:片側の手足の動かしにくさ、喋りづらさなど、心筋梗塞:胸の痛み、呼吸の苦しさなど)が身近な人に現れた場合の対応を聞くと、▼すぐに救急車を呼ぶ:76.5%▼午前中は様子をみてから救急車を呼ぶ:10.3%▼夕方までは様子をみてから救急車を呼ぶ:1.0%▼翌朝まで様子をみてから救急車を呼ぶ:0.9%▼我慢できなくなったら救急車を呼ぶ:5.6%▼日常生活に不自由を感じたら救急車を呼ぶ:1.3%▼救急車は呼ばない:3.4%—などと考えていることが分かりました。性別にみると「女性」のほうが、年齢別にみると「高齢世代」のほうが、「すぐに救急車を呼ぶ」人の割合が高くなっています。
また、「すぐに救急車を呼ばない」(一定程度、様子を見る)理由を見ると、▼症状が改善するかどうか少し様子をみてから、救急車を呼ぶかどうかを判断したい:66.7%▼緊急性があるかどうか分からない:51.3%▼症状が軽い場合は、救急車を呼ばずにタクシーなどで受診
すればよいと思う:39.0%—などの声が多いようです。
脳卒中・心臓病の治療体制・リハビリ体制・救急搬送体制の充実などに国民は期待
他方、「脳卒中や心臓病等の発症の予防を目的として病院を選ぶ」際の情報源については、▼かかりつけ医からの紹介:68.1%▼病院のホームページ:41.8%▼家族・友人・知人からの紹介:39.2%—が多くなっています。
さらに、ほとんどの人が「リハビリ」「栄養管理、口腔ケア」の重要性を認識していることも確認されています。
最後に、政府に対してどのような要望をしたいかを見ると、▼脳卒中や心臓病等を発症した際に治療できる医療機関の充実:74.1%▼脳卒中や心臓病等を発症した後のリハビリテーションの充実:71.6%▼脳卒中や心臓病等を発症した後にも仕事や学校を続けられるための環境整備:57.5%▼脳卒中や心臓病等を発症したときの救急搬送の体制整備:57.2%—などが多くなっています。
例えば、脳卒中や心臓病等に対する治療体制等は、都道府県の作成する「医療計画」の中に定められます。上記の世論調査も踏まえながら「医療計画に沿った医療提供体制の整備」「今後の医療計画の見直し」などが進んでいくことに期待が集まります(関連記事はこちら)。
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