ガイドワイヤーのコーティング剥離・ガイドワイヤー操作による破損・組織損傷等の事故防止に向けた提言—PMDA
2024.12.20.(金)
医薬品医療機器総合機構(PMDA)が12月16日に、「PMDA医療安全情報No.70(ガイドワイヤー取扱い時の注意について)」を公表しました(PMDAのサイトはこちら)。
医療機能評価機構でも、同様の医療安全情報を公表しており、各医療機関において、これらを参考に「事故防止策」を構築・実施することが重要です。
ガイドワイヤーの添付文書で「金属針等と併用禁忌」など使用上の注意点確認を
金属針と併用禁忌であるガイドワイヤーを引いたり、金属針を進めたりしたことにより、ガイドワイヤーが破損し、体内に残存してしまう医療事故が散発しています(関連記事はこちら)。
PMDAは、こうした事故の再発防止に向けて、(1)ガイドワイヤーのコーティング剥離に関する注意点(2)ガイドワイヤーの操作による破損・組織損傷等に関する注意点—を提言しました。
まず(1)の「ガイドワイヤーのコーティング剥離」に関しては、▼金属針を留置したまま、ポリマー被覆型のガイドワイヤーを引き抜くと、表面のポリマーコーティングに金属針等のエッジ(刃面)が引っかかってコーティングが剥離し、体内に残存してしまう▼金属針を留置したまま、コイル型のガイドワイヤーを引き抜くと、金属針等との過度な接触によりコーティング効果が低下してしまう—の事故事例があることを紹介。
こうした事故を防止するために「金属針や金属製外套管の使用中にポリマー被覆型のガイドワイヤーを引いたり、留置した状態で金属針を進めたりしない」という注意点を掲げました。
あわせて、ガイドワイヤーには様々な構造や特性の製品(金属針等と併用が禁忌の製品、使用に際して注意が必要な製品など)があるため「各製品の添付文書をよく確認する」よう強く求めています。
また、(2)のガイドワイヤーの操作による破損・組織損傷等に関しては、▼ガイドワイヤーを挿入し、狭窄部位を通過する際に抵抗を感じたものの無理に進めたところ、血管穿孔が生じてしまった▼膵管の膵石除去術においてガイドワイヤーを引き抜いた際に、ガイドワイヤーの先端部が切れてしまった—という事故事例を紹介。ガイドワイヤーが病変部位や結石に捕捉された際に「無理に動かす」と、意図しない動きにより組織損傷やガイドワイヤー破損が生じることがあるのです。
こうした事故を防止するために、▼抵抗が生じた場合、もしくは本品の先端部がスタックした場合は「エックス線透視下で位置や状態を確認」する▼ガイドワイヤーを抜去した際には、「剥離やほつれなどの異常」がないか点検する▼取り出したガイドワイヤーに異常を確認した際には「画像検査において遺残物等がないか確認」する—よう強く注意喚起しています。
また医療機能評価機構でも、こうした事故の再発防止に向けて▼「コーティングがされているガイドワイヤー」には「金属針との併用が禁忌」の製品があり、金属針を使用中にガイドワイヤーを引いたり、金属針を進めたりするとガイドワイヤーが破損する可能性があることを院内に周知する▼単品のガイドワイヤーを使用する場合は、金属針との「併用禁忌」や「併用する際の注意事項」がないか添付文書で確認する—ことなどを提案しています(関連記事はこちら)。
こうした提言等を十分に参考にして、各医療機関において、自院にマッチした対策を早急に立て、また全スタッフに周知し、全スタッフが院内ルールを遵守する環境を整えることが重要です。
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併用禁忌である金属針とガイドワイヤーを併用し、ガイドワイヤーが破損し、体内に残存してしまう事故事例が散発—医療機能評価機構