併用禁忌である金属針とガイドワイヤーを併用し、ガイドワイヤーが破損し、体内に残存してしまう事故事例が散発—医療機能評価機構
2024.12.17.(火)
金属針と併用禁忌であるガイドワイヤーを引いたり、金属針を進めたりしたことにより、ガイドワイヤーが破損し、体内に残存してしまった—。
日本医療機能評価機構が12月16日に公表した「医療安全情報 No.217」から、こうした事例(医療事故)が2019年1月1日から本年(2024年)10月末までの間に15件も報告されていることが分かりました(機構のサイトはこちら)。
金属針とガイドワイヤー、「併用禁忌」などでないか添付文書で必ず確認を
日本医療機能評価機では、全国の医療機関から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故には至らなかったものの担当医療スタッフ等が「ヒヤリ」とした、「ハッ」とした事例)の報告を受け、背景等を詳しく分析して「事故等の再発防止に向けた提言」等を定期的に行っています【医療事故情報収集等事業】(国立病院や特定機能病院などでは事故等の報告が義務付けられている、本年(2024)年4―6月を対象とした第76回報告書に関する記事はこちら)。
さらに事故事例などの中から「特段の注意が必要と考えられる事例」(繰り返し発生している医療事故など)を毎月ピックアップ。簡潔に整理し「医療安全情報」として公表しています。医療現場に「こうした事故が頻発しているので最大限の注意を払ってほしい」と強く呼びかけるものです。
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12月16日に公表された「医療安全情報No.217」では、「金属針との併用によるガイドワイヤーの破損」事例がテーマに取り上げられました。
ある病院では、腎瘻造設術の際に使用していたキット製品のガイドワイヤーが曲がってしまったため、医師は、新たに単品のコーティングがされているガイドワイヤーを出してもらいました。金属針からガイドワイヤーを挿入し、進めたり引いたりしたところ、コーティング材が剥がれ、体内に残存してしまいました。確認したところ、使用した単品のガイドワイヤーは金属針と「併用禁忌」であることが分かりました。
また別の病院では、医師がPICC(末梢静脈挿入式中心静脈用カテーテル)を挿入する際に、普段からキット製品のガイドワイヤーを使用せず、単品のコーティングがされているガイドワイヤーを使用していました。金属針で穿刺後、ガイドワイヤーを挿入したところ抵抗を感じ、金属針を留置したままガイドワイヤーを引き抜いたところ、ガイドワイヤーの先端が切れ、血管内に残存してしまいました。確認したところ、使用した単品のガイドワイヤーは金属針と「併用禁忌」であることが分かりました。
体内に異物が残存すれば、重大な健康被害につながりかねません。
機構では、▼「コーティングがされているガイドワイヤー」には「金属針との併用が禁忌」の製品があり、金属針を使用中にガイドワイヤーを引いたり、金属針を進めたりするとガイドワイヤーが破損する可能性があることを院内に周知する▼単品のガイドワイヤーを使用する場合は、金属針との「併用禁忌」や「併用する際の注意事項」がないか添付文書で確認する—ことなどを提案しています。こうした提案内容も参考に、各医療機関において、自院にマッチした対策を早急に立て、また全スタッフに周知し、全スタッフが院内ルールを遵守する環境を整えることが重要です。
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