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外来診療 経営改善のポイント 2024年度版ぽんすけリリース

咀嚼、嚥下機能の低下した患者に誤ってパン食を提供し、患者が窒息してしまう医療事故散発―医療機能評価機構

2021.1.15.(金)

咀嚼、嚥下機能が低下している患者に対し、誤って「パン」食を提供し、患者が窒息してしまった―。

日本医療機能評価機構が1月15日に公表した「医療安全情報 No.170」から、こうした事例(医療事故)が2016年1月1日から昨年(2020年)11月30日までの間に5件報告されていることが分かりました(機構のサイトはこちら)。

咀嚼、嚥下機能が低下した患者に「パン食」が提供され、患者が窒息する医療事故が散発(医療安全情報170 210115)

咀嚼・嚥下機能低下患者へのパン食提供の危険性を院内で共有せよ

日本医療機能評価機構では、全国の医療機関から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故には至らなかったものの、「ヒヤリとした、ハッとした」事例)の報告を受け、背景等を詳しく分析した「事故等の再発防止に向けた提言」等を定期的に行っています【医療事故情報収集等事業】(国立病院や特定機能病院などでは報告が義務付けられている)。

さらに事故事例などの中から、「特段の注意が必要と考えられる事例」(繰り返し発生している医療事故など)を毎月ピックアップ。その内容を簡潔にまとめて「医療安全情報」として公表しています。医療現場に最大限の注意を払うよう強く呼びかけるものです。

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「事前に患者が選択・同意した術式」と異なる術式による手術の実施
誤った情報登録によるアレルギーのある薬剤の投与
IVH実施時のガイドワイヤー回収忘れ
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パルスオキシメータープルーブの長時間装着による熱傷事例
気管・気管切開チューブの誤接続事例
徐放性製剤を粉砕した事例
立位での浣腸による直腸損傷事例
鎮静薬の誤調整事例
小児用ベッドから転落事例
電子カルテの誤入力
ガーゼの体内残存2
ガーゼの体内残存1



1月15日に公表された「医療安全情報No.170」では、「咀嚼・嚥下機能が低下した患者への合わない食物の提供」がテーマとなりました。

ある病院では、「全粥食」をオーダした場合には、「パン禁止」と入力しなければ、献立によってはパンが提供されることがありました。それを知らない医師が、嚥下機能が低下した患者に「全粥食」をオーダした際、「パン禁止」と入力しませんでした。入院3日目の朝食にパンが提供され、看護師A見守りのもと患者は食事を開始しましたが、患者は前日までむせ込まずに摂取できていたことから、看護師Aは他患者対応のために、当該患者のそばを離れました。数分後、看護師Bがモニター上で心拍数が毎分44回に落ちていることに気付き訪室したところ、当該患者の呼吸が停止していた。口腔内のパン塊を取り除き、心肺蘇生を実施し、人工呼吸管理となってしまいました。



また、別の病院では、軟菜食について、朝食の主食はパンに設定されていました。それを知らない医師が、ある患者の食種を「全粥・一口大とろみ食」から「軟菜食」に変更しました。朝食にパンが提供され、看護師見守りのもと患者は食事を開始。口腔内に食物が残っていたため看護師は止めようとしたが、患者はパンを食べ続け、その後、窒息してしまいました。



機構では事態を重くみて、例えば▼咀嚼・嚥下機能が低下した患者にオーダする食種では「原則としてパンを提供しない」設定にシステムを変更する▼咀嚼・嚥下機能が低下した患者にパンを提供することによる窒息の危険性を院内に周知する—ことをアドヴァイスしています。

急性期病院においても、高齢の咀嚼・嚥下機能が低下した入院患者が増加しています。すべての病院・有床診療所において自院のシステムを再点検し、必要な改善を行うことが重要でしょう。



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