インスリン1単位を「1mL」と誤解、100倍量の過剰投与する事故が後を絶たず―医療機能評価機構
2017.10.16.(月)
インスリンについて「1単位=1mL」と誤解して、100倍量を患者に投与してしまった―。
こうした事例が、2012年1月から2017年8月までに3件報告されていることが、日本医療機能評価機構の調べで明らかになりました(機構のサイトはこちら)。基本的知識が不足していたこと、専用注射器を用いていないことという複合的な要素が関係して生じた医療事故と言え、「ルールの遵守徹底」の重要性を再認識できます。
インスリンのバイアル製剤を使用する場合に、専用注射器の使用徹底を
日本医療機能評価機構は、注意すべき医療事故やヒヤリハット事例の内容をまとめた「医療安全情報」を毎月公表しています(最近の情報はこちらとこちらとこちら)。10月16日に公表された「No.131」では「インスリン単位の誤解(第2報)」がテーマとなりました。
ある病院では、看護師が、スライディングスケールの指示で「ヒューマリンR注100単位/mL」4単位を皮下注射することを確認しました。『インスリン専用注射器』の存在は知っていたものの、「インスリン4単位は4mLである」と思い込み、5mL注射器にヒューマリンR注4mLを準備し、注射してしまいました。これは「400単位」に該当し、後にリーダー看護師への報告で「100倍量投与」が判明したといいます。
また別の病院では、後期研修医が「ヒューマリンR注100単位/mL」を0.5単位/hで投与する際、「1単位=1mL」と思い込んで、「ヒューマリンR 持続静注0.5mL/h」と指示してしまいました。看護師は「原液?おかしい?」と思ったものの、オーダー画面上で「ヒューマリンR注」のみが処方されていたことから、誰にも確認せず、ヒューマリンR注の原液を20mL注射器に吸い、シリンジポンプにセットして0.5mL(50単位)/hで投与開始してしまいました。約4時間後に患者の血糖値が異常に低下(30mg/dL)していたことから、インスリンの過剰投与に気づいたといいます。
いずれのケースでも▼インスリン1単位=1mLと思い込んでいた▼インスリン専用注射器を用いていなかった▼「おかしい」と思った場合でも、他者に確認をしなかった—という複合的な要素が重なり、事故が生じてしまっています。
機構では、▼インスリンのバイアル製剤は「1単位=0.01mL」であることの教育を徹底する▼インスリンのバイアル製剤を使用する際は、専用注射器を用いることを徹底する▼インスリンのバイアル製剤のそばに専用注射器を置く—といった基本的事項を再確認するよう医療機関に注意喚起しています。
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