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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

シリンジポンプに入力した薬剤量や溶液量、薬剤投与開始直前に再確認を―医療機能評価機構

2016.10.17.(月)

 シリンジポンプの入力を間違え、意図しない流量で薬剤を投与してしまった―。

 このような事例が、2013年1月から16年8月までに3件報告されていることが、日本医療機能評価機構の調べで明らかになりました(機構のサイトはこちら)。

 機構では、シリンジポンプに設定した薬剤量や溶液量を「投与開始直前」に確認するという初歩的な取り組みを徹底するよう呼びかけています。

全身麻酔薬の薬剤量・溶液量を誤って設定する事例が発生

 日本医療機能評価機構は、注意すべき医療事故やヒヤリハット事例の内容をまとめた「医療安全情報」を毎月公表しています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。17日に公表された「No.119」では「シリンジポンプの設定間違い」がテーマに取り上げられました。

 ある病院では、シリンジポンプで全身麻酔薬のプロポフォール静注を薬剤量「10mg」、溶液量「1mL」で投与しようとしたところ、誤って薬剤料「1mg」と入力。そのため実際の10分の1の濃度で、投与予定の10倍に換算された流量で薬剤の投与が開始されてしまった。投与から3分後に誤りに気づき、投与を中止したといいます。

 また別の病院では、やはり全身麻酔薬のアルチバ静注用を体重「60kg」、薬剤量「0.1mg」、溶液量「1mL」、投与量「1分間、1kgあたり0.5μg」で投与しようとしたところ、誤って溶液量を「5mL」と入力して投与。投与開始直後に血圧低下が確認され、誤りに気づきました。医師は、シリンジポンプに表示された流量を投与前に確認していなかったといいます。

 このほか、局所麻酔の作用延長や、心停止の際の補助治療に用いられるボスミン注について、シリンジポンプに10倍の濃度で設定(溶液量を10分の1として設定)してしまった事例も報告されています。

シリンジポンプに誤った薬剤量などを入力し、誤りに気づかないまま(確認不足など)薬剤の投与を開始してしまった事例が発生している

シリンジポンプに誤った薬剤量などを入力し、誤りに気づかないまま(確認不足など)薬剤の投与を開始してしまった事例が発生している

  

 薬剤の投与量誤りは、重篤な健康被害が死亡事故に結びつく可能性もあり、再発防止に向けた取り組みを早急に実行する必要があります。

 機構では、「シリンジポンプに設定した薬剤量や溶液量を投与開始直前に確認する」ことや「換算された流量が正しいか確認する」ことといった、基本的な取り組みを確実に実施することが必要と指摘しています。ここでも、入力者と別の人間(できれば複数)が確認することで誤りに気づきやすくなると考えられます。

 
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