Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
外来診療 経営改善のポイント 能登半島地震 災害でも医療は止めない!けいじゅヘルスケアシステム

脳手術での左右取り違えが、2010年から11件発生―医療機能評価機構

2017.7.18.(火)

 手術部位を左右取り違えて実施してしまった―。

 このような事例が、2010年12月から17年5月までに26件報告され、うち11件は脳神経外科手術であることが、日本医療機能評価機構の調べで明らかになりました(機構のサイトはこちら)。脳神経外科手術においては、「手術準備の直前に、複数の医療スタッフで画像所見と手術部位を照合する」「執刀直前に、医師が声に出した手術部位と執刀予定の部位と手術申込書を照合する」よう、機構は呼びかけています。

手術準備直前、執刀直前に術野の再確認を

 日本医療機能評価機構は、注意すべき医療事故やヒヤリハット事例の内容をまとめた「医療安全情報」を毎月公表しています(最近の情報はこちらこちらこちらこちら)。18日に公表された「No.128」では「手術部位の左右の取り違え—脳神経外科手術」がテーマとなりました。

 ある病院では、患者の入室後、執刀医が助手・外回り看護師と画像を見て「手術部位が右側である」ことを確認しましたが、器械出し看護師は術側を把握していませんでした。執刀医は「患者の顔が右を向き、術野が下になっている」ことに気づかず、術野と反対の左側頭部を剃毛し、局所麻酔を行いました。執刀医が、消毒・ドレーピングを行い、執刀直前に▼患者名▼疾患名▼術式▼術側(右側)―を周囲に伝えましたが、誰も「術野が右側である」ことを確認せず、皮膚切開後、骨を削り硬膜を切開する際に、助手が「血腫がない」ことに気付き、左右取り違えが明らかになったといいます。

左右取り違え事故が生じた原因

左右取り違え事故が生じた原因

 
また別の病院では、患者が右慢性硬膜下血腫のため緊急手術となり、医師は手術申し送り書に術側を右側とオーダしました。患者が手術室に入室後、医師は画像で手術部位が右側であることを確認したがマーキングはしませんでした。看護師Aが手術器械を展開し、看護師Bが患者のバイタルサインを測定している間に、医師は術野と反対の左側の頭部を剃毛。消毒・ドレーピング後、医師は「右慢性硬膜下血腫の手術を行います」と声に出し、看護師Aもこの言葉を聞きましたが、すでに覆布がかかっていたため術野が右側であることを確認できませんでした。左側の穿頭後、硬膜を切開したところ血腫がないことに気付き、左右取り違えが判明しました。

 
こうした脳神経外科手術における左右の取り違え事故が2010年12月以降、11件報告されており、いずれも「画像は確認したが、ポジショニングなどを行う前に手術部位を確認しなかった」事例で、うち4件は「執刀直前に医師が声に出した手術部位と執刀部位を照合しなかった」とようです。左右取り違えのオペは、言うまでもなく、患者に大きな負担がかかります。

 
 機構では、▼脳神経外科手術では、ポジショニングなどの手術準備の直前に、医師・看護師など複数の医療スタッフで画像の所見と手術部位を照合する▼執刀直前に手術部位を確認する際は、「医師が声に出した手術部位」と「執刀予定の部位」と「手術申込書」を照合する―という基本的対策を徹底するよう求めています。

 
診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

【関連記事】
経口避妊剤は「手術前4週以内」は内服『禁忌』、術前に内服薬チェックの徹底を―医療機能評価機構
永久気管孔をフィルムドレッシング材で覆ったため、呼吸困難になる事例が発生―医療機能評価機構
適切に体重に基づかない透析で、過除水や除水不足が発生―医療機能評価機構
経鼻栄養チューブを誤って気道に挿入し、患者が呼吸困難となる事例が発生―医療機能評価機構
薬剤名が表示されていない注射器による「薬剤の誤投与」事例が発生―医療機能評価機構
シリンジポンプに入力した薬剤量や溶液量、薬剤投与開始直前に再確認を―医療機能評価機構
アンプルや包装の色で判断せず、必ず「薬剤名」の確認を―医療機能評価機構
転院患者に不適切な食事を提供する事例が発生、診療情報提供書などの確認不足で―医療機能評価機構
患者の氏名確認が不十分なため、誤った薬を投与してしまう事例が後を絶たず―医療機能評価機構
手術などで中止していた「抗凝固剤などの投与」、再開忘れによる脳梗塞発症に注意―医療機能評価機構
中心静脈カテーテルは「仰臥位」などで抜去を、座位では空気塞栓症の危険―医療機能評価機構
胃管の気管支への誤挿入で死亡事故、X線検査や内容物吸引などの複数方法で確認を―日本医療機能評価機構
パニック値の報告漏れが3件発生、院内での報告手順周知を―医療機能評価機構
患者と輸血製剤の認証システムの適切な使用などで、誤輸血の防止徹底を―医療機能評価機構
手術中のボスミン指示、濃度と用法の確認徹底を―日本医療機能評価機構

手術室などの器械台に置かれた消毒剤を、麻酔剤などと誤認して使用する事例に留意―医療機能評価機構
抗がん剤投与の速度誤り、輸液ポンプ設定のダブルチェックで防止を―医療機能評価機構
2016年7-9月、医療事故が866件報告され、うち7%超で患者が死亡―医療機能評価機構
2015年に報告された医療事故は3654件、うち1割弱の352件で患者が死亡―日本医療機能評価機構
2016年1-3月、医療事故が865件報告され、うち13%超は患者側にも起因要素―医療機能評価機構
15年4-6月の医療事故は771件、うち9.1%で患者が死亡―医療機能評価機構
14年10-12月の医療事故は755件、うち8.6%で患者死亡―医療事故情報収集等事業

2017年6月までに652件の医療事故が報告され、6割超で院内調査が完了―日本医療安全調査機構
2017年5月までに624件の医療事故が報告され、6割超で院内調査完了―日本医療安全調査機構
2017年4月までに601件の医療事故が報告、約6割で院内調査が完了―日本医療安全調査機構
2017年2月までに546件の医療事故が報告、過半数では院内調査が完了済―日本医療安全調査機構
2017年1月までに517件の医療事故が報告、半数で院内調査が完了―日本医療安全調査機構
2016年12月までに487件の医療事故が報告され、46%超で院内調査が完了―日本医療安全調査機構
2016年11月に報告された医療事故は30件、全体の45%で院内調査が完了―日本医療安全調査機構
2016年10月に報告された医療事故は35件、制度開始からの累計で423件―日本医療安全調査機構
医療事故報告、制度発足から1年で388件が報告され、161件で院内調査完了―日本医療安全調査機構
2016年8月に報告された医療事故は39件、制度開始からの累計で356件―日本医療安全調査機構
2016年7月に報告された医療事故は32件、制度開始からの累計で317件―日本医療安全調査機構
2016年6月に報告された医療事故は34件、制度開始からの累計では285件―日本医療安全調査機構
制度開始から半年で医療事故188件、4分の1で院内調査完了―日本医療安全調査機構