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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

適切に体重に基づかない透析で、過除水や除水不足が発生―医療機能評価機構

2017.1.17.(火)

 適切に体重測定を行わなかったため、透析において「過除水」や「除水不足」が生じてしまった―。

 このような事例が、2011年1月から16年10月までに4件報告されていることが、日本医療機能評価機構の調べで明らかになりました。

 機構では、「透析前の体重測定の際に、体重計の設定や測定時の条件を確認する」よう強く求めています。

院内の体重測定ルールを周知し、遵守の徹底を

 日本医療機能評価機構は、注意すべき医療事故やヒヤリハット事例の内容をまとめた「医療安全情報」を毎月公表しています。16日に公表された「No.122」では「透析前の体重測定の誤り」がテーマとなっています。

 ある病院では、ICUで患者の体重を測定し透析を行い、翌日もICUで同じ設定で体重を測定し、透析を行いました。しかし3日目に「透析室」で体重を測定したところ、患者の体重が目標体重より減っていました。ICUに問い合わせたところ、「リフト式体重計でストレッチャーシーツ分の重さとして予め『マイナス3kg』と設定している」ことが分かりました。ICUでは、実際よりも重い体重で除水量を計算して透析を行っており、過除水になっていました。

 また別の病院では「透析の際の体重測定では義足を含める」ルールでしたが、看護師はある患者について「体重には義足を含めない」と思い込んでいました。そこで、「義足を装着し、車椅子に乗った患者」の重さを測定し、そこから「義足と車椅子」の重さを差し引き、患者の体重を算出しました。この結果、同院のルールに基づくものより義足分(1.3kg)少ない体重となり、これをもとにした除水量で透析を行ったため「除水不足」となり、翌日に追加透析が必要となりました。

適切に体重を測定せずに透析を行ったため、過除水・除水不足になった事例が報告されている

適切に体重を測定せずに透析を行ったため、過除水・除水不足になった事例が報告されている

 

 こうした事例が2011年以降、4件発生していることから、機構では「透析前の体重測定の際に、体重計の設定や測定時の条件を確認する」よう強く求めています。とくに高齢患者では体内の水分量の過不足が重篤な事態に結びつくことも少なくありません。院内のルール周知・遵守徹底や複数確認などのシステム作りが必要と言えます。

 
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