Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
メディ・ウォッチはGemMed(ジェムメド)に生まれ変わりました 運営会社 GLOBAL HEALTH CONSULTING

2017年5月までに624件の医療事故が報告され、6割超で院内調査完了―日本医療安全調査機構

2017.6.9.(金)

 今年(2017年)5月に医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告された医療事故は23件。一昨年(2015年)10月に医療事故調査制度がスタートしてから、累計で624件の医療事故が報告され、このうち6割超(61.5%・384件)で院内調査が完了。また遺族や医療機関からのセンターへの調査依頼は累計で32件となった―。

 こうした状況を、日本で唯一のセンターとして指定されている「医療安全調査機構」が9日に公表しました(機構のサイトはこちら)。

医療事故調制度、一般国民にも徐々に制度の内容が浸透してきている可能性

 医療事故調査制度は、事故の責任追及ではなく「再発防止」を目指す仕組みとして、一昨年(2015年)10月にスタートしました。医療機関の管理者(院長など)が予期しなかった「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」が発生した場合、管理者はまず事故発生についてセンターに報告。報告を前提として、当該医療機関で原因を調査し(院内調査)、調査結果をセンターに報告するとともに、遺族に説明します。センターでは事故事例を集積していく中で具体的な再発防止策などを練ることとしており、すでに今年(2017年)3月には「中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析―第1報―」を作成・公表しています。

医療事故調査制度の概要、「院内調査」を第一に行い、「医療事故調査・支援センター」がそれを補完する格好で調査が行われ、再発防止策に結びつける

医療事故調査制度の概要、「院内調査」を第一に行い、「医療事故調査・支援センター」がそれを補完する格好で調査が行われ、再発防止策に結びつける

 
 我が国唯一のセンターとして指定されている医療安全調査機構では、毎月、医療事故の報告状況を公表しています(前月の状況はこちら)。今年(2017年)5月には、医療事故が新たに23件報告され、制度発足からの累計報告件数は624件となりました。

 5月の報告は、病院からが22件、診療所からが1件で、診療科別に見ると▼脳神経外科3件▼泌尿器科3件―などで多くなっています。

2017年5月に、新たに23件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で624件の医療事故が報告されている

2017年5月に、新たに23件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で624件の医療事故が報告されている

 
 医療事故が発生した場合、医療現場では「患者が予期せずに死亡してしまったが、これはセンターに報告すべき医療事故だろうか?」「センターへの報告はどのように行えばよいのか?」といった疑問が生じます。また遺族側が「家族が医療機関で死亡したが、医療事故として報告されていない。隠蔽されているのでは?」といった疑問を抱くケースもあるでしょう。そこでセンターでは医療機関や遺族からの相談にものっており、今年(2017年)5月には、新たに151件の相談がセンターに寄せられています。制度発足からの累計は3119件となりました。内訳を見ると、医療機関からが90件、遺族などからが47件、その他・不明が14件という状況です。

 医療機関からの相談内容を見ると、「医療事故報告の手続き」が49件と過半数を占めています。「医療事故に該当するか否かの判断」は19件にとどまっており、時間の経過に伴う制度の浸透、運用の改善(医療事故該当性の判断などを標準化するための「支援団体等連絡協議会」設置など)の効果が出ていると言えます(関連記事はこちらこちらこちら)。

 一方、遺族などから寄せられた相談の中身を見てみると、依然として「医療事故に該当するか否かの判断」が最多で、26件・55・3%となっています。この中には「制度開始前の事例」「生存事例」など報告対象外のものも含まれています。ただし、「医療事故に該当するか否かの判断」に関する相談が、全相談件数に占める割合は前月(70%)から大きく低下しており、国民の間でも徐々に制度が浸透してきている可能性があります。ただし、病院側は「さらなる制度浸透が必要である」と厚生労働省に強く求めています。今後の動向を見守る必要がありそうです。

センターへの相談は2017年5月に151件あり、うち90件が医療機関から、47件が遺族などからのものとなっている

センターへの相談は2017年5月に151件あり、うち90件が医療機関から、47件が遺族などからのものとなっている

 
 先に述べたとおり、医療事故調査制度は「再発防止」を目的としていることから、「医療事故が発生した医療機関自らが、原因究明に向けた調査を行う」ことが基本となります。今年(2017年)5月に新たに院内調査が完了した事例は30で、制度発足からの累計では384件となりました。報告された全631件のうち61.5%で院内調査が完了しており、各医療機関における調査のスピードは制度発足から向上の一途をたどっています。
医療事故を報告した医療機関のうち、院内調査が済んだものは2017年5月に30件、制度発足からの累計で384件で、報告された事故全体の61.5%となった

医療事故を報告した医療機関のうち、院内調査が済んだものは2017年5月に30件、制度発足からの累計で384件で、報告された事故全体の61.5%となった

 
 もっとも、遺族の中には「院内調査結果に納得できない」「院内調査が遅すぎる(何かを隠すために時間稼ぎをしているのではないか)」と感じる人もいるでしょう。一方の医療機関側でも、例えばクリニックなどの小規模医療機関では、自力での院内調査が困難なところも少なくありません(医師会や病院団体などの支援団体がサポートを行う仕組みあり)。そこで、「遺族や医療機関がセンターに調査を依頼」できる仕組みも用意されています。今年(2017年)5月にセンターへなされた調査依頼は1件のみでした(遺族からの依頼)。制度発足からの累計では32件(遺族から23件、医療機関から9件)となっています。このうち28件が「院内調査結果報告書の検証中」(適切な院内調査が行われたかの確認)、1件が「院内調査結果報告書検証準備作業中」、3件が「院内調査の結果待ち」という状況です。

 

MW_GHC_logo

【関連記事】
2017年4月までに601件の医療事故が報告、約6割で院内調査が完了―日本医療安全調査機構
2017年2月までに546件の医療事故が報告、過半数では院内調査が完了済―日本医療安全調査機構
2017年1月までに517件の医療事故が報告、半数で院内調査が完了―日本医療安全調査機構
2016年12月までに487件の医療事故が報告され、46%超で院内調査が完了―日本医療安全調査機構
2016年11月に報告された医療事故は30件、全体の45%で院内調査が完了―日本医療安全調査機構
2016年10月に報告された医療事故は35件、制度開始からの累計で423件―日本医療安全調査機構
医療事故報告、制度発足から1年で388件が報告され、161件で院内調査完了―日本医療安全調査機構
2016年8月に報告された医療事故は39件、制度開始からの累計で356件―日本医療安全調査機構
2016年7月に報告された医療事故は32件、制度開始からの累計で317件―日本医療安全調査機構
2016年6月に報告された医療事故は34件、制度開始からの累計では285件―日本医療安全調査機構
制度開始から半年で医療事故188件、4分の1で院内調査完了―日本医療安全調査機構

医療事故に該当するかどうかの判断基準統一に向け、都道府県と中央に協議会を設置―厚労省
医療事故調査制度、早ければ6月にも省令改正など行い、運用を改善―社保審・医療部会
医療事故調査制度の詳細固まる、遺族の希望を踏まえた事故原因の説明を―厚労省

中心静脈穿刺は致死的合併症の生じ得る危険手技との認識を—医療安全調査機構の提言(1)

2018年度診療報酬改定で、DPC病棟における持参薬管理の評価を—全自病