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中心静脈カテーテルが大気開放され、脳梗塞などに陥る事故が多発―医療機能評価機構

2017.9.20.(水)

 大気に開放される状態で中心静脈ラインの接続を外してしまい、血管内に空気が流入し、空気塞栓による脳梗塞などが発生してしまった―。

 こうした事例が、2013年1月から2017年7月までに7件報告されていることが、日本医療機能評価機構の調べで明らかになりました(機構のサイトはこちら)。基本的な事項を再確認することで防げる事故と言え、院内での注意喚起、業務手順の再確認が急務と言えます。

クランプを閉じず中心静脈カテーテルを外せば大気開放される点の理解を

 日本医療機能評価機構は、注意すべき医療事故やヒヤリハット事例の内容をまとめた「医療安全情報」を毎月公表しています(最近の情報はこちらこちらこちら)。9月15日に公表された「No.130」では「中心静脈ラインの開放による空気塞栓症」がテーマとなりました。

 ある病院では、看護師が、患者座位の状態で更衣を介助する際、閉鎖式のコネクタと輸液ラインの接続が外れなかったため、中心静脈カテーテルのクランプを閉じないまま閉鎖式のコネクタを外してしまいました。このため中心静脈カテーテルが大気に開放され、空気が流入し空気塞栓による脳梗塞発症に至っています。

また別の病院では、看護師が中心静脈カテーテルのヘパリンロックを行う際、中心静脈カテーテルに閉鎖式のコネクタが付いていないにもかかわらず、「付いている」と思い込んで輸液ラインを外したため、中心静脈カテーテルが大気に開放されてしまいました。患者は顔面蒼白となり、ベッド上に倒れ、頭部CT撮影の結果、空気塞栓が疑われています。

 いずれも基本的な点をおろそかにしたミスと言え、機構では、▼閉鎖式コネクタを使用しない場合、中心静脈カテーテルのクランプを閉じないまま接続を外すと、大気に開放され血管内に空気が流入する危険性があることを院内で周知する▼中心静脈ラインの接続を外す際、閉鎖式コネクタが付いていることやクランプが閉じていることにより患者側のラインが閉鎖されているか確認する—といった基本的な事項を再確認するよう医療機関に注意喚起しています。

大気に開放される状態で中心静脈ラインの接続を外したことにより、血管内に空気が流入し、患者に影響があった事例が多数報告されている

大気に開放される状態で中心静脈ラインの接続を外したことにより、血管内に空気が流入し、患者に影響があった事例が多数報告されている

 
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