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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

腎機能が低下した患者に通常量の薬剤を投与してしまう事例が頻発―医療機能評価機構

2018.12.18.(火)

 薬剤量の減量などが必要な「腎機能が低下した患者」に対し、誤って通常量の薬剤を提供してしまい、患者に悪影響が生じた―。

 こうした事例が、2014年1月から今年(2018年)10月までに8件 報告されていることが、日本医療機能評価機構が12月17日に公表した「医療安全情報 No.145」から明らかになりました(機構のサイトはこちら)。

医師、薬剤師は、患者の腎機能を把握して薬剤の用量調整を

 日本医療機能評価機構は、全国の医療機関(国立病院や特定機能病院等については義務づけ)から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故に至る前に防いだが、ヒヤリとした、ハッとした事例)の報告を受け、その内容や背景を詳しく分析したうえで、事故等の再発防止に向けた提言等を行っています(医療事故情報収集等事業、医療事故情報収集等事業、関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。また事故事例などの中から「とくに留意すべき事例」等を毎月ピックアップし、「医療安全情報」として公表。医療現場に特段の注意喚起を行っています(最近の情報はこちらこちらこちら)。12月17日に公表された「No.145」では「腎機能低下患者への薬剤の常用量投与」がテーマとなりました。

 腎機能が低下した患者では、薬剤を対外に排出する能力が落ちており、例えば「薬剤が効きすぎる」といった弊害が出ます。このため、通常よりも減量した薬剤の投与を行ったり、慎重投与を行ったりといった対応が必要となります。

 この点、ある病院では、透析中の患者が夜間に外来を受診した折に、対応した医師が「病歴から透析中である」ことは把握していたものの、「薬剤減量の必要性」を把握しておらず、通常量の薬剤(帯状疱疹等の治療に用いる「バルトレックス錠」、腎障害のある患者又、腎機能の低下している患者、高齢者では精神神経系の副作用が現れやすいことが添付文書に記載されている)を処方。服用した患者に▼呂律の緩慢▼幻視―が生じたため、入院することになりました。

また別の病院では、医師が「患者が透析を受けている」ことを把握せず、通常量の薬剤(抗菌剤の「クラビット錠」、腎機能低下患者では高い血中濃度が持続するので、必要に応じて減量することが添付文書に記載されている)を処方。後に患者は嘔吐症状が強くなり、汎血球減少が認められ、薬剤が原因と疑われました。

腎機能が低下した患者に、誤って通常量の薬剤を提供してしまった事例が散発している

腎機能が低下した患者に、誤って通常量の薬剤を提供してしまった事例が散発している

 
機構では、▼医師は、薬剤を処方する前に患者の腎機能を把握し、患者の腎機能に応じた用量で処方する▼薬剤師は、腎臓で代謝・排泄される薬剤を調剤する際、患者の腎機能を確認する―よう注意喚起しています。

 
 
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