人工呼吸器、換気できているか装着後に確認徹底せよ-医療機能評価機構
2018.2.16.(金)
人工呼吸器を「スタンバイ」状態に設定したまま患者に装着し、換気を開始しなかったために患者が心肺停止などに陥ってしまった―。
こうした事例が、2009年11月から2017年12月までに7件も報告されていることが、日本医療機能評価機構の調べで明らかになりました(機構のサイトはこちら)。機構では、「人工呼吸器を装着した後、患者の胸郭の動きや人工呼吸器の画面を見て、換気されていることを確認する」ことなどを医療機関に呼び掛けています。
2009年に注意喚起するも、同様の事例報告が後を絶たず
日本医療機能評価機構では、注意すべき医療事故やヒヤリ・ハット事例の内容について、「医療安全情報」として毎月公表し、注意喚起を行っています(最近の医療安全情報はこちらとこちらとこちら)。機構では、2009年12月に公表した「No.37」で「『スタンバイ』にした人工呼吸器の開始忘れ」を取り上げ注意喚起を行いましたが、その後も類似事例が発生しているため、2月15日公表の「No.135」で再度取り上げています。
ある病院では、CT検査を受ける患者から外した人工呼吸器を、医師が「スタンバイ」の状態に設定しました。検査後、患者に人工呼吸器を装着した別の医師や看護師は、「スタンバイ」状態であることに気が付かず、装着から約4分後、患者の心肺が停止してしまいました。
また別の病院では、医師と看護師が人工呼吸器を外して「スタンバイ」状態に設定し、気管吸入を行った後、人工呼吸器を再び装着しました。その際、医師・看護師ともに「相手が『スタンバイ』状態を解除した」と思い込んでしまい、約10分後、患者が徐脈・低血圧の状態になってしまいました。
人工呼吸器は、患者が自力では適切な換気を行うことができない場合に装着し、患者の呼吸を補助します。製品の中には、換気を行わない「スタンバイ」の状態にして設定変更などを行うものもありますが、換気を開始しなければ呼吸が補助されず、患者が危険な状態に陥ります。機構では、「人工呼吸器装着後は、胸郭の動きや人工呼吸器の画面を見て換気されていることを確認する」といった対策を求めています。
なお、厚生労働省は2001年3月に通知「生命維持装置である人工呼吸器に関する医療事故防止対策について」を発出し、「人工呼吸器とパスルオキシメータ(患者の動脈血酸素飽和度をモニタリングする機器)などを併用して、患者の血中酸素濃度の低下などが起きていないか確認することが、患者に対する一層の安全対策となる」ことなどを指摘しています。人工呼吸器が正常に機能していることかどうかを、パスルオキシメータなどでもチェックする取り組みも考慮すべきでしょう。
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