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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

膀胱留置カテーテルによる尿道損傷、2013年以降に49件も発生―医療機能評価機構

2018.9.18.(火)

 膀胱内にカテーテルが届く前に、バルーンを拡張したため尿道を損傷してしまった―。

 こうした事例が、2013年6月から2018年7月までに、なんと49件も報告されていることが、日本医療機能評価機構の調べで明らかになりました(機構のサイトはこちら)。患者はすべて「男性」です。

2011-13年には同様の事例が14件報告されていたので、年間「3件弱」のペースで事故が発生していましたが(関連記事はこちら)、2013-18年には、年間「10件弱」に増加しています。各医療機関において、後述の取り組みなどを確認・徹底し、事故防止に努める必要があるでしょう。

膀胱内にカテーテルが届いたか、「尿の流出」などで適切に確認を

 日本医療機能評価機構は、全国の医療機関(国立病院や特定機能病院等は義務づけ)から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故に至る前に気づいたものの、ヒヤリとした、ハッとした事例)を収集し、その内容や背景を分析して事故等の再発防止に向けた提言等を行っています(医療事故情報収集等事業、関連記事はこちらこちらこちら)。また事故事例などの中から、毎月、とくに注意すべき事例等をピックアップし、「医療安全情報」として公表しています(最近の情報はこちらこちらこちら)。9月18日に公表された「No.142」では「膀胱留置カテーテルによる尿道損傷(第2報)」がテーマとなりました。

 ある病院では、看護師が全身麻酔導入後の患者に14Fr(外径では4.7mmに相当)の膀胱留置カテーテルを根元まで挿入しました。尿の流出はなかったものの、抵抗なく挿入できたため、「膀胱内に入っている」と判断しました。しかし、バルーンに滅菌蒸留水を注入した直後に出血があったため、カテーテルを抜去。その後、泌尿器科医師が診察を行ったところ、尿道損傷と診断され、6日間入院が延長しました。

 
また別の病院では、看護師が全身麻酔導入後の患者に14Frの膀胱留置カテーテルを挿入したところ、抵抗があったため抜去しました。次いで12Fr(外径では4.0mmに相当)のカテーテルに変更して再度挿入しましたが、やはり抵抗があったため、10Fr(同3.3mmに相当)のカテーテルを挿入しました。その際、尿の流出は確認できませんでしたが、根元まで挿入できたことから「膀胱内に入っている」と判断しました。しかし、バルーンに滅菌蒸留水を注入したところ出血があったため、カテーテルを抜去しました。泌尿器科医師が診察を行ったところ、尿道損傷と診断され、予定手術が延期となってしまいました。

機構が、報告された49例を分析したところ、「尿の流出が確認されなかったにもかかわらず、『膀胱内に入った』と思い、バルーンの拡張を行った」背景は、主に次の3パターンに分類できることが分かりました(重複あり)。
(1)挿入したカテーテルの長さが十分であると思った(27件)
(2)カテーテル挿入時に抵抗がなかった(15件)
(3)排尿直後や禁食のため、膀胱内に尿が溜まっていないと思った(15件)
医療安全情報142 180918の図表
 
 カテーテルが膀胱にまで届かず、尿道にある間にバルーンを拡張すれば、尿道が損傷してしまうことは明らかで、「膀胱内にまで到達した」ことを適切に確認することが求められます。機構では、類似事例が頻発している状況を重く見て、▼膀胱留置カテーテルの挿入時に抵抗がなくても、「尿の流出がない」場合は、バルーンを拡張しない(尿流出を確認してからバルーン拡張を行うよう徹底する)▼膀胱留置カテーテルの留置が困難な場合には、早期に泌尿器科医師に依頼する―などの対策をとるよう提案しています。

 
 
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