電子カルテに誤った患者情報を入力する医療事故が散発、氏名確認の徹底を―医療機能評価機構
2019.9.18.(水)
電子カルテへの入力の際、患者の氏名を十分に確認しなかったため、別の患者の情報を入力してしまった―。
日本医療機能評価機構が9月17日に公表した「医療安全情報 No.154」から、こうした事例が2015年1月1日から2019年7月31日の間に6件報告されていることが分かりました(機構のサイトはこちら)。
患者氏名を十分に確認していないことが、誤入力の大きな要因
日本医療機能評価機構は、全国の医療機関(うち国立病院や特定機能病院等では義務)から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故に至る前に防いだものの「ヒヤリとした、ハッとした」事例)の報告を受け付け、その内容や背景を詳しく分析したうえで、事故等の再発防止に向けた提言等を定期的に行っています(医療事故情報収集等事業、関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。
また、事故事例などの中から、とくに留意すべき事例を毎月ピックアップ。内容を簡潔に整理して「医療安全情報」として公表し、医療現場に特段の注意を払うよう強く呼びかけています(最近の情報はこちらとこちらとこちら)。9月17日に公表された「No.154」では「電子カルテ使用時の患者間違い」がテーマとなりました。
ある病院では、夜間帯に2名の救急患者が搬送され、患者Aは痙攣重積で救命病棟に、患者Bは発熱で小児科病棟に入院しました。その際、医師が電子カルテの患者氏名を確認せず、患者Aに対するホストイン静注(てんかん重積状態等の治療薬)を、患者Bの電子カルテ画面で処方してしまいました。その後、救命病棟の看護師から「患者Aのホストイン静注が処方されていない」との報告があり、医師は「入力した内容が登録されていなかった」と考え、患者Aの画面で再び処方を行いました。薬剤師が、続けて2名の患者にホストイン静注が処方された点が気になり医師に確認したところ、「患者Bに誤って処方していた」ことが分かったといいます。
また別の病院では、手術室で「患者Aの赤血球液(RBC)」を輸血部にオーダする際、電子カルテは一件前に手術を行った患者Bの画面でした。しかし、医師は患者氏名を確認しないままオーダしてしまい、輸血部より「患者Bの赤血球液(RBC)」が払い出されたといいます。
電子カルテは、多くの病院で導入されている非常に有用なツールですが、紙カルテと同じく「人間が入力する」ためにヒューマンエラーが生じます。事例と同様に「患者の氏名を十分に確認せずに、ある患者の電子カルテ画面に、誤って別の患者の情報を入力してしまう」事例は少なからず生じています。
機構では、例えば▼オーダ入力する際は、その都度電子カルテの患者氏名を確認する▼電子カルテは、一定の時間で自動的にログオフになる設定とする―などの基本的な点を徹底することを強く求めています。
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